【感想・ネタバレ】日本神話からの贈り物のレビュー

あらすじ

「私の身体にはなり合わぬところが一ところある」と伊邪那美命。「私の身体にはなり余ったところが一ところある」と伊邪那岐命。古事記の「国産み」物語が象徴する男女の「相補原理」こそ、日本人の人間性を深く本質的に形作ってきた…。神話は民族に禁忌と勧奨を伝える“先祖からの遺言”である。この豊饒なる贈り物「古事記」「日本書紀」を曇なき視点で現代に甦らせた、真実の日本論。

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Posted by ブクログ

象徴として神話を読むのは如何とも思うが(つまり何をどう描いてもどこかで胡散臭さが残る)、豊かな教養と柔らか思想によって面白い文化論にもなるということを示す好著と言える。ドイツ参謀本部では将校教育にカントを用いていたという指摘はすこぶる興味深い。カントの道徳は軍の義務感に通づるという。さらに近代的努力主義、プロテスタント的と続き、西洋ヒューマニズムには反幸福主義の指摘に至る。このエートスが「近代」を支えてきた。
あとは、「国家から超自然的要素を抜き取った近代的国家は、大規模な同胞殺戮の後に独裁制を生み易い」という指摘も然り。

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2017年01月05日

Posted by ブクログ

古事記、日本書紀の記述を紐解きながら、日本の男性観、女性観の特徴を諸外国と比較する。1976年に「正論」に掲載された文書に基づいており現代と時代背景が異なる部分もあるが、古来からの日本人の根底に流れる考え方について興味深い考察をしている。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの話から男女相補的な考え方。そこには、一神教の前提としている男尊女卑の考え方は全くない。ただし、性行為において、女は男に従うべきということが神の指示として受け止められている。
男は闘い、女は楽しさを供する、分業ができている。
伊勢神宮に祭られている、アマテラスオオミカミは、イザナギノミコトの左目から生まれた女神で、代々、皇女によってまつられている。
古事記や、日本書紀は、戦後、顧みられなくなっているが、史実として読むことにより、日本人のルーツに流れているものが見える。
命を懸けての戦いに夫を送り出す、妻の愛情。
今の初回では、夫が命を懸けて外に出ている状況ではなくなってしまい、女性の役割も変化してしてきている。
アメリカのウーマンリブは、日本よりもずっと権力のないアメリカ家庭での主婦の復権の動き。そもそも家庭で実験を持っている日本にはそぐわない考え方。
家庭の役割が変化している、これからの日本の意識のへの危機感から、古事記、日本書紀が教える禁忌、推奨を大事にすべきと主張している。

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2013年01月19日

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