【感想・ネタバレ】イグアナの娘のレビュー

あらすじ

その日、生まれてきたのはとても可愛い女の子だった。だけどなぜか母親の目には、その子の姿がイグアナに見える…。母と娘の間に横たわる愛と憎しみの葛藤を描いた表題作ほか、両親にスポイルされた少年が人生をみつけるために戻らなければならなかった場所「カタルシス」、アバンチュールへの一瞬の迷い「午後の日射し」、コミックス未収録の短編「帰ってくる子」など6編の異色傑作集。

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イグアナの娘

イグアナの娘読了。
母と自分には自分がイグアナに見える。
終始辛かったけど、ラストにホッとした。
また同じ作者の漫画を読みたい。

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2022年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ドラマ化の際に見て、不思議な作品だと思ったのがきっかけ。書店で見つけて、短編集だったのに驚いた。

母は娘を愛せない。娘の上に、自分の中に存在する、自分の一部でありながら受け入れることのできなかったなにものかを見てしまうからだ。母はそれを無意識の底に沈めて、そんなものなどなかったようなつもりで生きていた。イグアナの姿をした娘は、実は自分自身だということに、母は気づかない。
母‐娘という関係は、世代間で連鎖していく。しかし、娘は母の死に際して、気づくのだ。母とのあいだに穿たれた溝の中にあるものに。
そこに光明がある。

その他「帰ってくる子」も、心に突き刺さる物語でした。

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2018年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと昔に読んだ『イグアナの娘』が懐かしくて手にとってみたのだけど、他の作品の方が印象に残ってしまった。
特に中年主婦のアバンチュールへの迷いを描いた『午後の日差し』が、あんなに家族への優しい眼差しに溢れたラストを迎えるとは思わなくてインパクト大だった。
主婦の気持ちまで汲み取る作品まで上手だとは感服せざるを得ない。

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2012年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大傑作「イグアナの娘」は、決して奇蹟のようにポツンと存在を始めた作品ではない、ということが解る一冊。
親子に生じるあれやこれやを、母視点、娘視点、さらに母と子に挟まれた世代視点、きょうだいの存在、男視点、女視点、老若男女なるべく多くの方角から多層的に描き・重ねている。
ピンク・フロイドの「狂気 DARK SIDE OF THE MOON」のジャケ写よりももっと多方面から、ブラックボックスに光を当てて、当て直して、当て直し続けて、毎回どういうプリズムが出るか吟味している、という感じ。
で、たぶん結論としては地味なところに落ち着く。
歳を重ねたからこそ判ることがある・見えるものがある、と。
あるいは萩尾先生にとってもその年齢にならなければ描けなかった作品群なんだろう。
渦中にあってはどうしようもなかった物事に、別の場所で基地作りした後で再度直面する。
ここには時間の流れがある。
親との和解は、渦中においては困難で、時間差で、可能の兆しが見える。
これは年齢差ゆえ仕方ないことだが、往々にして手遅れになりがち。
と「シン・エヴァ」後の身として、平凡なことも恐れずに書いてみる。

■イグアナの娘 50p
私の世代だと菅野美穂主演のテレビドラマのインパクトが強い。
が、原作の凄まじさはまた一層で、コミカルなタッチだからこその恐さが、ちょっと度を越している。
思春期に読んだときは完全に子供の視点で親を見ていたが、今回見てみると、序盤はむしろ母親視点で進むので、少し驚く。
途中で娘視点になり、娘が成長し母になり、後半が前半と対になる形で描かれ……と時間の経過があり、むしろそこが大事なんだな、と。

■帰ってくる子 24p
漫画ならでは、映像ならでは、いや小説でもあるかな、な醍醐味。
それは、ある存在が誰に見えて誰に見合ないのか、という設定。
なんでも初出は井上雅彦監修「チャイルドー異形コレクション7」らしく、あのアンソロジーの中でこれを出すとは、いい仕事をするな! と。
実際私はヒデが心の底から叫ぶ場面で、不覚にもぐっときてしまった。

■カタルシス 40p
この作品を読むあたりで気づいたのが、この本全体として、「ごく普通の人」が描かれているということ。
おそらく萩尾先生が、天才や選ばれし美形を主役にしたら「自分が救われない」から、と決めたんではなかろうか。
ロボットみたいな自分を変えようとし、一歩踏み出し、しかし何もかもが改善したわけではないまま生活が続く、という真理もここには描かれている。

■午後の日射し 50p
一時期の近藤ようこが描いていそうな題材。
ザ・昼ドラ。

■学校へ行くクスリ 40p
コミカルだがまっとうな成長譚・ジュブナイル。
周囲の人物が変に見えるだけでなく話している言葉がバグったよう、という描写が面白い。
また単純に絵柄の話だが、この時期に萩尾先生が描いている少女も可愛いな~、と花だらけのマユミを見て思った。

■友人K 8p
全ページ横一段ブチヌキという実験的なコマ割り。
萩尾作品でこういう人物が視点人物に据えられるのは少し珍しいかも。

◇エッセイ―どこまでも、いく:江國香織(作家) 4p

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱ萩尾先生は神だわ~。スゴすぎてあたまおかしくなりそうになるわ。
イグアナの娘、最初読んだときは「お母さんイグアナだったんか。あ、そう」だったんだけど、二回目読んだらお母さん可哀想で泣けたよ。美容整形の暗喩? とか思ったけど、そういうわけじゃないんだよな。親または子を愛したいけど愛せない親子関係全体のお話なんだって思ったら、すごい不幸で切実だった。周囲に当然出来ると思われている(自分もそう思っている)ことがどうしても出来ないなんてね…

あとのお話はやっぱり表題作に比べるといまいち。受験生の男の子が喫茶店に住み込む話は読み込んでいくうちに登場人物の印象が逆転するのがよかったけど、終わり方が微妙だったなぁ。

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2016年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親になったら読み返したいです。

現在は「子供」側の立場に近いので「そうだよね~」という印象なのですが、親になっても忘れないようにするために読み返したいです。


『イグアナの娘』「子供を愛したいけど愛せない親と、そんな親を愛したいけど愛せない子供」の話。

『カタルシス』
面倒臭さから親の言うことを聞いてばかりいた少年が、友達の葬式に行くことを止められて行かなかったことを悔やみ、自立をめざす。
都合の悪いことは全部忘れる母親、都合の悪いことは全部母親のせいにする父親。

『午後の日差し』
自分に恋してる年下の男性の愛を自分にしらんぷりしていたら、その男性は何事にもはっきりとした性格の自分の娘を好きになってしまった。

『学校へ行くクスリ』
『友人K』
格下だと思ってバカにしていた相手だが、本当はかまって欲しいのも、相手にされない格下だったのも自分だった。

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2014年02月19日

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