あらすじ
「お義母さん、ちょっと出掛けてきます」。たったそれだけの言葉を契機に、かつて内気で平凡な主婦だった伸江は、妄想を肥大させた世界の旅で、逞しく変貌を遂げる。しかし、現実では、彼女による血と狂気の宴が繰り返されていた……。恐怖のヒロイン・伸江が、あなたの中で全ての垣根を破壊する。『オズの魔法使い』をモチーフに、平凡な主婦の狂気とロマネスクを描く。
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Posted by ブクログ
ホラー。
オズの魔法使いをモチーフにしていても、仏教を主体にしちゃったので、どこが??ってところもあります。が、オズらしいです。
簪(かんざし)町に住む、平凡な主婦伸江。
ボケた義理の母の世話をしている彼女は、ある日義母から「小津(おず)さんから」といわれてハイヒールを貰う。
それを履いた彼女は妄想の世界に入り、殺戮を繰り返す。
ライオンという名前のついている老いた浮浪者。首吊り自殺をしようとしていたら、伸江に手助けされて殺された青年教師の手首(妄想世界ではクビツリという名で、アンデッドとして登場)、精神病院にいたらしいブリキ人形と呼ばれる体の動きの角張った老人。妄想の仔犬(餅みたいなスライムみたいな)コト。
妄想部分のファンタジーは生臭いながらも、無夜は好きだな。きしょいところがなんか良くて。現実よりも俗っぽい。
妄想世界の最大の敵非天を倒して帰還するのは伸江ではなくてドロシー。平凡に抑圧された主婦の妄想の集合体。それが帰還すると、主婦達は夫を殺しだす。
分厚いわりに(P491)一気に読める本でした。この種の世界が無夜は大好きなのでした。