あらすじ
世界が変わる。働き方が変わる。企業が変わる。
真の「働きがい」を求めて。
『ワーク・シフト』のリンダ・グラットン教授が日本の読者に送る、新たなメッセージ。
世界はいま、数々の深刻な問題に直面している。
若年層の失業、根深い貧困、エネルギー・環境問題など、どれも一国、一地域で解決できるものはない。
これまでグローバルな大企業は諸問題の根源とも批判されてきたが、
いまこそ知識、技術、ネットワークを有効に生かして「解決者」の役割を担うべきである。
組織、地域、世界のレジリエンスを高めるための経営のあり方とは?
そのために不可欠な新しいリーダー像とは?
これらの問いに対し「世界においてもっとも重要な能力は『レジリエンス』である」
という考えに基づき、具体的な解を示していく。
ストレスからの回復力、困難な状況への適応力、災害時の復元力といった
意味合いで使われるようになったレジリエンス。
「働き方の未来」研究における第一人者の著者が、
希望を感じさせる企業の取り組みを紹介しながら、
経営者も従業員も自らの仕事に心から誇りを持つことができる「未来企業」の姿を描く。
【目次】
◆日本の読者のみなさんへ
◆はじめに 企業へのラブレター
◆第1部 変化を糧に成長する企業とは
◇第1章 変わり続ける企業と仕事
◇第2章 レジリエンスの三つの領域
◆第2部 内なるレジリエンスを高める
◇第3章 知性と知恵を増幅する
◇第4章 精神的活力を高める
◇第5章 社会的つながりを築く
◆第3部 社内と社外の垣根を取り払う
◇第6章 よき隣人としての行動規範
◇第7章 サプライチェーンの末端まで
◆第4部 グローバルな問題に立ち向かう
◇第8章 研究とイノベーションの力
◇第9章 展開力と動員力
◇第10章 複数のステークホルダーと協力する
◆第5部 リーダーシップを再定義する
◇第11章 リーダーシップ像の変容
◇第12章 本物のリーダーの条件
◇第13章 世界を見据える視座をもつ
◇第14章 未来企業のリーダーとフォロワーへの手紙
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Posted by ブクログ
世界が平和になり永続するには企業の姿勢が変わる必要があり、リーダーの部下たるフォロワー達も出来ることから働きかけよう、という本。
内容と著者の意識の高さには脱帽。
この本のレベルに到達するには人類全体の意識の向上が必要と思う。
実現にはまだまだ各企業トップの意識はエゴにまみれており時間が掛かると思う。
しかし、このような本が書かれる時代になっているのは、少しずつ人類の意識が高まりつつあるからとも思う。
世界に期待しつつも時代がまだ早いと感じたので☆は4つ。
Posted by ブクログ
『ワークシフト』で一躍有名になった、リンダ・グラットン教授の「企業版働き方本」。三つの領域でレジリエンスを高めよというメッセージである。
(領域1)内なるレジリエンスを高める
(領域2)社内外の垣根を取り払う
(領域3)グローバルな問題に立ち向かう
具体的なメッセージの一つひとつは、すでに多くの経営論で紹介されているものも多いが、事例を丁寧に重ねているので理解しやすい。ただ、他の方の書評にもあるように、「レジリエンス」がメインコンセプトでありながら、その意が日本人にポンッと馴染むものにまで昇華されていない感がある。
しかし、「サステナビリティ」というタームがそうであったように、今後の社会のなかで「レジリエンス」とは何であるのか、と考えるヒトが増えていくと、自然と理解が深まっていくのではないかと期待して待つ事とする。
個人的にメモを多く残した項目は下記の通り。
「第四章 精神的活力を高めるため」に、企業はなにができるのか。とくに、一律的な採用から、60歳前後でのリタイヤまで、一本道としてのキャリアラダーを前提とした「就社文化」が、いかに自然なリズムに外れるかを考えさせられる。
また、「第六章 よき隣人としての行動規範」では、地域社会に思いやりを発揮する企業としてのあり方が紹介されている。そのなかで、唯一日本企業の事例として「ヤクルトレディ」が取り上げられている。一見、非生産的に思える「高齢者に話しかけ、手助けをする」という見守り行為を、会社が思いやりのある行動として、正当に評価している」からこそ、ヤクルトレディが命の救出者となった事例が生まれたとしている。
また、地域社会への貢献には、「疲れを残さない働き方」が欠かせないとして、「労働時間が長くなると地域社会における社会的な行動が減る傾向にある」との社会学研究を引き合いに出しつつ、フレキシブルな働き方や疲れを残さない仕事の進め方の奨励も、企業が取り組むべきテーマとしている点も興味深い(BTやデロイトのフレキシブル・ワーク事例を引用)。
「地域住民の即戦力となるスキルを高める」活動について、教育格差の広がるインドで、インフォシス、タタ、ウィプロなどが協力しあい、若年層のスキルギャップを埋めようとする試みは、日本型職能システムの限界を克服する処方箋にも思われた。