【感想・ネタバレ】離婚で壊れる子どもたち~心理臨床家からの警告~のレビュー

あらすじ

三組に一組が離婚に至る現在、乳幼児を抱えての離婚も急増している。両親の葛藤や子の奪い合いに巻き込まれた子どもたちは何に苦しみどう発達していくのか。その現状と解決策。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とってもいい本でした。尊敬すべき人がまた一人増えました。
著者自身がインタビューを含め自分の目で見てきたアメリカの現状が中心だというオリジナリティ、そして、世界の常識から甚だしく遅れてしまっている日本の現状をどうにかしたいという使命感、その2つの点で特に素晴らしかったと思います。
「最良の親は両親!」「離婚後も共同養育を!」というのが世界の離婚の常識になりつつあるのだそうです。離婚は失敗ではなく、離婚を成功させるにはどうしたらいいのか、特に離婚後の子どもが健全な精神を育むためにはどうしたらいいのか、という視点でアメリカでは様々な制度が整備されているんだそうです。
心理学を学ぶ人が、どういった場所で活躍できる可能性があるのかを考えるにも、有意義な本でした。

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2013年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「子供にとって両親の離婚は大きなストレスになる。
だけど、それ以上にもっと深刻なダメージを与えるのは、
離婚後、別居親と子供の関係が断絶されることである。」

どうやら、日本以外の先進諸国は、このことにいち早く気がついて、
ずっと前から法改正したり、
色んなサポートプログラムを実施していたようだ。
離婚後も父母が協力して共同監護できるシステム作りや、
面接交流を円滑にするためのサポート、
虐待親に関してさえも、ケースに合わせていろいろな対策がとられている。
全て子どもの心理を重視した考え方だ。

いやー、知らなかった。
ハーグ条約問題で、日本が拉致大国と言われ、
子連れで帰国した母親が誘拐犯扱いされている理由も腑に落ちた。
アメリカのやり方が完全か?といったら、それは多分ぜんぜん不完全かもしれないけど、
それでも日本のやり方はやっぱり間違っているのでは…。

ハーグ条約を批准するなら、日本も単独親権制度から共同親権制度に法改正して
「子の福祉とはなんぞや」を啓蒙していく必要があるのでは。
法が変われば、人間の意識も変わる。
お隣の韓国ではもうすでに始めている。

父親不在が長い間容認されてきた日本では
すこし難しい事かもしれないけれど。

――――――――――――――――
目次が小刻みなので、これを記録。

はじめに 
第一章 離婚で母親、父親はどう変わるのか――プロセスとしての離婚
 1 「出来事」であると同時に「プロセス」でもある離婚
 2 まずは「法的離婚」
 3 さらに経済的離婚へ
 4 難しい「情緒的離婚」
 5 子どもとの関係の変化
 6 友人・親族・学校――社会での関係性や役割の変化
 7 依存から抜け出し、自立へ向かって

第二章 子どもは親の離婚にどう反応するのか――年齢別に考察する
 1 愛着と絆の形成が困難になる――0ヶ月から18ヶ月
 2 親からの分離と個体化が困難になる――18ヶ月から3歳児
 3 離婚は自分のせいだと思う――3歳から5歳児
 4 深い悲しみに陥る――6歳から8歳児
 5 グレイゾーンを許せない――9歳から12歳児(前思春期)
 6 離婚体験をプラスに転ずる事も可能――13歳児以上(思春期・青年期)

第三章 事例からみる――子どもにとって辛い離婚、救われる離婚
 1 離別家庭の子どもは非離別家庭の子どもより適応が悪いのか
 2 子どもの適応に影響を与える要因は何か
 3 短期的な影響と長期的な影響がある
 4 事例から見えてくること
  【事例1】離婚の悪影響を長く引きずった事例
  【事例2】子どもへの悪影響が少なかった事例
  【事例3】離婚が虐待からの解放となった事例
  【事例4】母親へのDV目撃――子どもが両親に対して忠誠葛藤を抱く事例
  【事例5】離婚が世代を超えて繰り返された事例

第四章 単独養育から共同養育へ―米国での試みに学ぶ
 1 日本の現状――面会交流と、その考えの変化
 2 「クレイマー、クレイマー」以前の米国
    ――母親の単独看護(養育)、父親の面会交流
 3 子どもの視点からの論争――米国・1970年代以降
 4 米国における180度の大転換――1980年
 5 多様化する離婚後の親子関係――1980年代以降
 6 子どもに対する「共同責任」を象徴的に示す共同法的看護
  【事例1】片親に単独監護権、他方の親に面会交流圏、そして両親に共同法的監護権
 7 姿を消す父親たち

第五章 高葛藤離婚で壊れる子どもたち――「片親疎外」という病
 1 高葛藤のはざまで――難しくなる面会交流
 2 子どもと別居親が互いに疎外されていく高葛藤離婚の事例
  【事例1】間接強制が功を奏して、年3回の面接交流が実現した事例
  【事例2】父親の不倫を理由とする離婚において面接交流が拒否された事例
  【事例3】夫婦喧嘩がDV申し立てとなり、こどもとの関係を切断された事例
  【事例4】再婚後の養子縁組によって、実夫と子どもとの関係が切断された事例
  【事例5】深刻な片親疎外の事例
 3 何を持って「子どもの福祉」と考えるか

第六章 事件・悲劇から学ぶ――子どもの福祉に適った面会交流を探る
 1 「子どもの福祉」を害する危険がある場合の面会交流
 2 「DV加害親」と子どもの面会交流
  【事例1】母親が接近禁止命令を、父親が娘との面会交流の再開を求めた事例
  【事例2】父親には52週のDVプログラム参加と父方祖父母宅での監督付き面会交流
 3 高葛藤離婚夫婦の特徴
 4 子どもが別居親との面会交流を拒否する場合
 5 乳幼児との面会交流のあり方
 6 離婚後の「再婚家庭・内縁家庭」における子どもの虐待事件と面会交流
  【事例1】西淀川小4女児遺棄事件(2009年3月)
  【事例2】兵庫幼児冷蔵庫死体遺棄事件(2007年7月)
  【事例3】尼崎小1男児虐待死事件(2001年8月)
  【事例4】岸和田中学生虐待事件(2004年1月)

第七章 葛藤を超えて離婚を成功させるには
 1 養育計画と養育費の取り決めを義務づける
   ――法改正で子どもへの責任を明確に
 2 離婚調停の前に養育計画の作成を宿題にする
 3 それぞれの親による「平行養育」を
 4 「教育プログラム」を充実させる――成長の契機に
 5 面会交流の調整者(ペアレンティング・コーディネーター)を育てる
 6 面会交流を支援するシステムを作る
   ――ビジテーションセンター、非専門家によるサポートの活用

あとがき

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2012年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幅広い読者を対象にしている、と書いてあるけど、結構専門的な内容に突っ込んで書かれていると思う。

離婚で両親はどのような影響を受けるのか。
子は、どのような影響を受けるのか。
どのように関わることが、望ましいのか。

日本は、母親が子を連れて家を出たら、それが監護実績になってそのまま母親が親権者になるパターンが多い。
言葉は乱暴かもしれないけど、でもあたってる面はあるかもしれない。
母親が子を連れて黙って家を出ることが、海外では子の拉致になるのだから。

日本では、両親の葛藤に子を板ばさみにさせることが望ましくないから、面会交流自体が行われないケースも多い。
海外は、ちゃんと第三者を間にはさんで、面会交流の実施に意欲的なんだと感じた。

それぞれの立場でできることには限界があるけど、
具体的な示唆が書かれているのも好印象。

いろいろと考えさせられる本でした。

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2012年06月14日

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