あらすじ
三組に一組が離婚に至る現在、乳幼児を抱えての離婚も急増している。両親の葛藤や子の奪い合いに巻き込まれた子どもたちは何に苦しみどう発達していくのか。その現状と解決策。
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Posted by ブクログ
参考になった。
多くの事例はそれぞれ、おそらくより複雑な背景があるだろう。短くまとめて文章にしなければならないからか、必ずしも中立的な立場で描かれてはいないと思う。
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離婚において、子どもに与える影響が事例に分かれ、取り上げられている。先進国では日本が唯一単独親権で、共同親権のアメリカや韓国の事例など、今の日本で議論されている「単独親権のまま」か「共同親権」か決めていく過程において、非常に参考になる著書。
いずれにしても子を育てる立場にある親の勝手で子どもが不幸になることはあってならないし、いかに子ども中心でこの議論が進められるかが鍵だ。
端々に著者としてのメッセージが散りばめられており、それをきちんと論理的に語られており、理解しやすく読みやすい。
Posted by ブクログ
10年以上前の本だがとても勉強になった。
夫婦目線の本ではなく子供目線の本。
この本は決して、離婚は子供に悪影響があるから踏みとどまりましょう、と言う内容ではなく、日本でも3組に1組は離婚している現状において、離婚を前提にしながら離婚が子供に与える影響、特に共同親権について書かれている。また、前半の発達心理の部分も分かりやすく勉強になる。
日本では離婚は夫婦の別れ=親子の別れとなっているが、片親から引き離された子供の傷は永遠に癒えることはないとの事。子供にとっての最高の親は両親である。たとえDVやアルコールや薬物依存の親であってもだ。海外では親教育プログラムを行ったりカウンセリングを積極的に行い、子供だけでなくDV親を援助する仕組みを作ってなるべく親と交流できるようにしている。子供の健全な発達には実の両親が欠かせない。
この本の中では海外、主にアメリカでの事例や研究が書かれているが、共同親権にしてもいかに日本が遅れていて、子供の気持ちを尊重していないかがわかる。
法制度上日本は単独親権なので別居親を疎外(片親疎外)をよりし易くなってしまう。別居親の悪口を吹き込んだりして意図的に片親疎外するのは、子供に対する心理的虐待だということに気付かされた。反対に海外では、いくら別れた相手を恨み憎んでも、子供の養育は両親が関わるよう努力していると書かれてあり、日本の親は親権親、別居親共に未熟であると感じてしまった。制度上関わらざるを得ないようにしなければ無責任に親を放棄し易くなってしまう。
一方で、制度が無ければ親と子の関係も簡単に切れてしまうのかと悲しい気持ちにもなる(もちろん離婚しても子供を大切にする人の方が多いと思うが)。
子供を作った以上は、たとえ離婚しても親としての責任をしっかり果たさなければならない事を胸に刻みたい。
Posted by ブクログ
離婚が子どもに与える影響について、米国などの事例も含めて書かれていて大変参考になった。
特に印象深かったのは、どんなに葛藤を抱えた夫婦の離婚であっても、子の養育計画を決めなければ離婚届が出せないというサンフランシスコのシステムだ。
そして、離婚後も子どもを第一に考え「共同養育」をサポートする様々な取り組み。
離婚すると片親と会えないという状況が、日本の離婚家庭で多い中、真に子どものことを考えどうすればいいのか考えるのに役立つ一冊だと思う。
Posted by ブクログ
「子供にとって両親の離婚は大きなストレスになる。
だけど、それ以上にもっと深刻なダメージを与えるのは、
離婚後、別居親と子供の関係が断絶されることである。」
最良の親は両親であることは常々考えていたけど、離婚してその関係性をどうやって続けていくことがよいのか、という疑問に、共同養育というキーワードが回答してくれた。
具体例を交えながら、丁寧に考察の進む良書。
子どもがいて離婚を検討する夫婦は是非読んでほしい。
Posted by ブクログ
子どもがいるけれど離婚も考えているという方にぜひ読んでほしい本です。離婚が子どもにどれだけ影響するのか、私自身悩みに悩んだことでした。もっと早くに出会いたかった。
Posted by ブクログ
とってもいい本でした。尊敬すべき人がまた一人増えました。
著者自身がインタビューを含め自分の目で見てきたアメリカの現状が中心だというオリジナリティ、そして、世界の常識から甚だしく遅れてしまっている日本の現状をどうにかしたいという使命感、その2つの点で特に素晴らしかったと思います。
「最良の親は両親!」「離婚後も共同養育を!」というのが世界の離婚の常識になりつつあるのだそうです。離婚は失敗ではなく、離婚を成功させるにはどうしたらいいのか、特に離婚後の子どもが健全な精神を育むためにはどうしたらいいのか、という視点でアメリカでは様々な制度が整備されているんだそうです。
心理学を学ぶ人が、どういった場所で活躍できる可能性があるのかを考えるにも、有意義な本でした。
Posted by ブクログ
離婚によって、離れて暮らす親が子供と会えないケースがあります。
また、離婚によって、相手に子供を会わせたくないという親権者もいます。
子供が離れて暮らす親に会う権利、離れて暮らす親が子供に会う権利である「面接交渉権」について、深く考えさせられる本です。
大人の事情で、一方の親と引き離された子供について、子供の福祉について、この本を読んで、考えてもらいたいものです。
Posted by ブクログ
「最良の親は、両親です」というアメリカの裁判で語られた言葉というのが、印象的だった。それは離婚を思いとどまれ、というのではなく、離婚したあとであっても、両親として子どもと接しろという話だ。子どものことを考えると、大切なことだと思う。
仕事の関係で読んだ。いろいろ考えさせられるな。日本の状況は、諸外国に比べると、特にアメリカと比べるとまだ離婚を伝統的な家族形態からの離脱、つまりネガティブなものととらえていると感じられる。まぁ、たいへんなことではあるんだろうけどさ。ハードルをあげておいて、なるべくそういう状況に陥らないようにするというのは、ある意味社会の知恵なのかもしんないが、もう時代は変わりつつあると思う。子どものことを考えると、もう少し変化があってもよいのではないか。
Posted by ブクログ
米国では、別居する前に、面会交流を含む養育計画の取り決めをしなくてはいけないので、夫婦の一方が相手との話し合いもせずに子どもを連れて勝手に別居することは、子どもの「拉致」に当たり、犯罪行為とみなされる。
米国では、別居親には「相当なる面会交流権 (多くの場合、月2回金曜日の夜から日曜日の夜まで2泊3日での面会交流)が、非常に強い方的権利として与えられている。
Posted by ブクログ
「子供にとって両親の離婚は大きなストレスになる。
だけど、それ以上にもっと深刻なダメージを与えるのは、
離婚後、別居親と子供の関係が断絶されることである。」
どうやら、日本以外の先進諸国は、このことにいち早く気がついて、
ずっと前から法改正したり、
色んなサポートプログラムを実施していたようだ。
離婚後も父母が協力して共同監護できるシステム作りや、
面接交流を円滑にするためのサポート、
虐待親に関してさえも、ケースに合わせていろいろな対策がとられている。
全て子どもの心理を重視した考え方だ。
いやー、知らなかった。
ハーグ条約問題で、日本が拉致大国と言われ、
子連れで帰国した母親が誘拐犯扱いされている理由も腑に落ちた。
アメリカのやり方が完全か?といったら、それは多分ぜんぜん不完全かもしれないけど、
それでも日本のやり方はやっぱり間違っているのでは…。
ハーグ条約を批准するなら、日本も単独親権制度から共同親権制度に法改正して
「子の福祉とはなんぞや」を啓蒙していく必要があるのでは。
法が変われば、人間の意識も変わる。
お隣の韓国ではもうすでに始めている。
父親不在が長い間容認されてきた日本では
すこし難しい事かもしれないけれど。
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目次が小刻みなので、これを記録。
はじめに
第一章 離婚で母親、父親はどう変わるのか――プロセスとしての離婚
1 「出来事」であると同時に「プロセス」でもある離婚
2 まずは「法的離婚」
3 さらに経済的離婚へ
4 難しい「情緒的離婚」
5 子どもとの関係の変化
6 友人・親族・学校――社会での関係性や役割の変化
7 依存から抜け出し、自立へ向かって
第二章 子どもは親の離婚にどう反応するのか――年齢別に考察する
1 愛着と絆の形成が困難になる――0ヶ月から18ヶ月
2 親からの分離と個体化が困難になる――18ヶ月から3歳児
3 離婚は自分のせいだと思う――3歳から5歳児
4 深い悲しみに陥る――6歳から8歳児
5 グレイゾーンを許せない――9歳から12歳児(前思春期)
6 離婚体験をプラスに転ずる事も可能――13歳児以上(思春期・青年期)
第三章 事例からみる――子どもにとって辛い離婚、救われる離婚
1 離別家庭の子どもは非離別家庭の子どもより適応が悪いのか
2 子どもの適応に影響を与える要因は何か
3 短期的な影響と長期的な影響がある
4 事例から見えてくること
【事例1】離婚の悪影響を長く引きずった事例
【事例2】子どもへの悪影響が少なかった事例
【事例3】離婚が虐待からの解放となった事例
【事例4】母親へのDV目撃――子どもが両親に対して忠誠葛藤を抱く事例
【事例5】離婚が世代を超えて繰り返された事例
第四章 単独養育から共同養育へ―米国での試みに学ぶ
1 日本の現状――面会交流と、その考えの変化
2 「クレイマー、クレイマー」以前の米国
――母親の単独看護(養育)、父親の面会交流
3 子どもの視点からの論争――米国・1970年代以降
4 米国における180度の大転換――1980年
5 多様化する離婚後の親子関係――1980年代以降
6 子どもに対する「共同責任」を象徴的に示す共同法的看護
【事例1】片親に単独監護権、他方の親に面会交流圏、そして両親に共同法的監護権
7 姿を消す父親たち
第五章 高葛藤離婚で壊れる子どもたち――「片親疎外」という病
1 高葛藤のはざまで――難しくなる面会交流
2 子どもと別居親が互いに疎外されていく高葛藤離婚の事例
【事例1】間接強制が功を奏して、年3回の面接交流が実現した事例
【事例2】父親の不倫を理由とする離婚において面接交流が拒否された事例
【事例3】夫婦喧嘩がDV申し立てとなり、こどもとの関係を切断された事例
【事例4】再婚後の養子縁組によって、実夫と子どもとの関係が切断された事例
【事例5】深刻な片親疎外の事例
3 何を持って「子どもの福祉」と考えるか
第六章 事件・悲劇から学ぶ――子どもの福祉に適った面会交流を探る
1 「子どもの福祉」を害する危険がある場合の面会交流
2 「DV加害親」と子どもの面会交流
【事例1】母親が接近禁止命令を、父親が娘との面会交流の再開を求めた事例
【事例2】父親には52週のDVプログラム参加と父方祖父母宅での監督付き面会交流
3 高葛藤離婚夫婦の特徴
4 子どもが別居親との面会交流を拒否する場合
5 乳幼児との面会交流のあり方
6 離婚後の「再婚家庭・内縁家庭」における子どもの虐待事件と面会交流
【事例1】西淀川小4女児遺棄事件(2009年3月)
【事例2】兵庫幼児冷蔵庫死体遺棄事件(2007年7月)
【事例3】尼崎小1男児虐待死事件(2001年8月)
【事例4】岸和田中学生虐待事件(2004年1月)
第七章 葛藤を超えて離婚を成功させるには
1 養育計画と養育費の取り決めを義務づける
――法改正で子どもへの責任を明確に
2 離婚調停の前に養育計画の作成を宿題にする
3 それぞれの親による「平行養育」を
4 「教育プログラム」を充実させる――成長の契機に
5 面会交流の調整者(ペアレンティング・コーディネーター)を育てる
6 面会交流を支援するシステムを作る
――ビジテーションセンター、非専門家によるサポートの活用
あとがき
Posted by ブクログ
幅広い読者を対象にしている、と書いてあるけど、結構専門的な内容に突っ込んで書かれていると思う。
離婚で両親はどのような影響を受けるのか。
子は、どのような影響を受けるのか。
どのように関わることが、望ましいのか。
日本は、母親が子を連れて家を出たら、それが監護実績になってそのまま母親が親権者になるパターンが多い。
言葉は乱暴かもしれないけど、でもあたってる面はあるかもしれない。
母親が子を連れて黙って家を出ることが、海外では子の拉致になるのだから。
日本では、両親の葛藤に子を板ばさみにさせることが望ましくないから、面会交流自体が行われないケースも多い。
海外は、ちゃんと第三者を間にはさんで、面会交流の実施に意欲的なんだと感じた。
それぞれの立場でできることには限界があるけど、
具体的な示唆が書かれているのも好印象。
いろいろと考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
最良の親は、(実の)両親である。,米国の共同監護制度は、面会交渉がままならない日本の父親から見れば、別世界のようです。,,しかし、日本のように、別居親(父親がほとんど)と関係を遮断されてしまうと、子供たちのこころが壊れてしまうとの著者の指摘…。,,離婚は子供たちのためにも、何としても避けたいです。
Posted by ブクログ
小さい頃、兄や妹と「パパとママが離婚したらとっちについていく?」と話しあったことが数回はあった。きっとそういう予感があったんでしょう。「夫婦の別れ」が「片親との別れ」と子供ながらに認識していたくらい日本では常識的だったんだと思う。
現在ではその社会通念は多少の変化を示してはいるものの、単独親権制度という法律は依然としてかわらない。
米国では、夫婦が離婚しても親としての機能は共同で果たすことが大原則となっている。
また、離婚する夫婦の9割ぐらいは争いのない協議離婚であり、離婚前の夫婦が、離婚後の子供の養育計画や養育費の取り決めをして裁判所に提出し裁判官がこれを認めれば承認印を押し、正式に離婚が成立する。問題があると思うときには当事者と話し合い変更することも必要になってくる。
日本でも同じように9割近くの離婚が協議離婚である。しかし米国の場合と異なって親権者のみを決めて役所に提出すれば離婚が成立する(マジで?!)
つまり、日本の協議離婚の場合には離婚後に両親が親として子供にどのように責任を持って関わっていくのかの取り決めをしなくても離婚が認められるのだ。
これはあまりにも安易どころか、子供に対して無責任すぎる。
理想的には、最良の親は両親だ。しかし、もはや離婚がまれな時代、子どもが育つまで離婚を待つ時代ではない。
結婚の3組に1組が離婚に至り、胎児や乳児を抱えてでも離婚を選びとる人たちが増えている時代だ。
離婚後の法制度、サポートシステムづくりへと力を注ぐのって大事かもね。というのは子供達の未来を案じているというより、次世代を担う子供たちの問題ってこれ即ち社会全体に影響を及ぼす問題だしね。
学齢期の子供がいる家庭での父子家庭や母子家庭は珍しくなくなってきているんだそうで、地域によっては離婚家族がクラスの3分の2もの多数をしめるというようなこともあるらしい。
若い層における離婚がふえてくれば必然的に離婚歴のある女性と男性がそれぞれ子供を抱えて再婚することも増えてきて家族の構成もより複雑になってくる。となると再婚問題も浮上する。
内縁家庭と再婚家庭における子供の虐待なんてのも最近よく聞くニュース。いずれにしても「離婚が悪いんだ!」という単純な話ではなくその先の話ですよね。世の中婚活ブームだけど、離活も大変ですな。68点。