あらすじ
滝のような夕立に、江戸が白く煙る午後、木綿問屋の宗右衛門が軒先に飛び込んできた。飯炊き寮番の佐七は煎餅をふるまって、老いの孤独な境遇を語りあう。普段は慶次郎だけが示してくれる優しい気遣いに触れ、佐七はうれしさを抑えがたいが、それを聞いた蝮の吉次は胸騒ぎが収まらない……。老境の日々を照らす小さな陽だまりを描く表題作ほか、江戸の哀歓を見守る慶次郎の人情七景。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表題作「白雨」で、吉次が「何となく会いたくなって」慶次郎に会いに行くのが何とも可愛くて。ああもう、素直じゃないなあ、とか思ってしまう。この人は、もし慶次郎と最初に出会っていたらもっと別の人生を歩めたんじゃないかと思う。
ちなみに全てドラマ版で脳内再生。
もう新作が読めないのが残念でならない。
Posted by ブクログ
『白雨とはこういう光景をいうのかと(略)、今更のように先人達の残した言葉のたくみさに感心した』
こうした先人達のたくみな言葉を、今また、次の世代に引き継ぐように、そっと教えてくれる北原亞以子さんに、わたしは感心しました。
Posted by ブクログ
追悼、北原亞以子さま。2013年3月12日。
慶次郎シリーズの続きが読めないとはなんと残念なこと。文庫化を待って買い繋いで来た身としては、あと2作。暗い作品が続いてやや不満に思っていたところ、よりによって今作の温かみある七景は、まさに北原さんのいいところ全開。ますます惜しまれる。佐七にもう一度友人を。蝮の吉次が素直になるまでもう一声。慶次郎は花ごろもでもう一足踏み出して。
「十年なんて、あたふたした年が十回あっただけでございますね」
Posted by ブクログ
慶次郎シリーズ12作目、番外編いれると13作目、全く飽きない。
1作目からの結論は読者に委ねる形を踏襲、人生白か黒かで割り切れるもんじゃないと、北原さんは言いたいんだろうと思う。
表題作「白雨」は殊の外染み入る。
Posted by ブクログ
俄かに読みやすくなった。ストーリーが分かりやすくなった。何気ない市井の出来事が胸をすうっとさせてくれる。あんしんさせてくれる。そんな短編集だった。2016.12.2