あらすじ
〈オレンジ賞受賞作〉半神の少年アキレウスに出会い、強い絆を結んだ王子パトロクロス。しかし、トロイア戦争が始まり、二人の上に暗い影を投げる……神々が人間に干渉するギリシア神話の世界を鮮やかに語り直した戦いと青春の物語/掲出の書影は底本のものです
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Posted by ブクログ
『イリアス』に登場するアキレウスと、従者パトロクロスに焦点をあてた物語。2人に焦点をあてていることは一貫していて、純愛といってよいほどの関係に驚いた。パトロクロスは今回初めて知ったのだけど、アキレウスにそんな解釈があったのか…!
アキレウスとアガメムノンが決裂した後からのストーリーの緊張感と、その先の悲劇の予感が高まっていく様が感じ取れる書きぶり(翻訳も素晴らしい)は白眉といってよいのではなかろうか。アキレウスとパトロクロスがイチャついているシーンよりも心に残っているくらい。アキレウスが誇りと名誉を重んじるが故に、味方の兵士から彼が憎まれることを恐れるパトロクロス。パトロクロスは心から優しい男だ。だからアキレウスは、母親で女神のテティスが反対しても、パトロクロスを愛したのだと思う。そして彼の優しさをちゃんとわかっていたもう1人が、パトロクロスによって助けられたブリセイスだ。パトロクロスを「最高のミュルミドネス」と称えたブリセイスだけど、その言葉が、神の予言「最高のミュルミドネスが2年以内に死ぬ」を実現させてしまったような展開に、思わず唸ってしまった。パトロクロスを巡る、彼女とアキレウスの確執も印象深い。
オデュッセウスに「神が作った最高の殺人兵器」と言わしめたアキレウスの、パトロクロスの死後の悲しみと怒りの描写が、冷酷で苛烈で虚無にまみれていて大変素晴らしい。そして最後、アキレウスとパトロクロスが死後も共にいることをテティスが許したようで、しんみりと、でもちょっとほっとしたような気持ちでページを閉じた。
ギリシャ神話を扱っているからかもしれないが、パトロクロス視点の語り口調も全体的に静謐な雰囲気に満ちていて、読んでいるこちらも静かに感情を煽られる感じ。紙の本が手に入らないので、渋々電子書籍を購入したけど、この作品は紙で欲しいなぁと思った。
Posted by ブクログ
日本語版が絶版かつ古本もめちゃ高いので、原書を買いました。それくらい好きな本です。こんなにも美しいBL本があったとは…海外BLの奥深さをまざまざと感じます。もはや国内だけでは満足できなくなったので、もっと海外作品に目を向けなくては、そう思わせてくれました。
Posted by ブクログ
これ隠れた傑作でしょう(米ではベストセラー)!ギリシャ神話をよく知っている人からは賞賛を受け、特にギリシャ神話好きでもない私みたいな人(アキレス腱やトロイの木馬くらいしか知らなかった)はハラハラしながら楽しく読めてしまう。これも著者の知識量と整理力、そして何よりストーリーテリング能力のなせる技かと。パトロクロス目線の文体は、激しい感情を内包しながら抑制が効いていて、ひたすら物哀しくて美しい。元の「イーリアス」をちゃんと読みたくなったし、この著者の次の作品「Circe(キルケ)」 もすでに購入した。
Posted by ブクログ
流石は長年にわたり読み継がれてきたイリアスです。ストーリー構成が見事です。読んだ後にわだかまりが残ることもありません。主人公達が友情を超えた深い愛情で結ばれていますが、そこは女性作家ならではです。心情が丁寧に描かれていますので違和感なく読むことができました。真っ直ぐな主人公達が導かれる運命に惹かれて最後まで読む手が止まりませんでした。
私はとても好きな本です。