あらすじ
人間関係の根底にある「共感性」が失われつつある。わが子を愛せない母親、すぐにキレる若者など、殺伐とした現代人に特効薬はあるのか。本書は、脳生理学の立場から「共感」とは何かを問う。人間には本来、他人の表情や態度から直感的に心を読み取る「共感脳」が備わっているという。その働きを活性化するのが、セロトニンという脳内物質。著者は、セロトニンをはじめ、ドーパミン、ノルアドレナリンの三つの脳内物質の相互作用を光の三原色にたとえて説明する。つまり、興奮をもたらすドーパミンはポジティヴな赤、ストレスを感じた時のノルアドレナリンはネガティヴな青、セロトンは心が安定した状態を表わす緑にたとえている。人間生活には、この三原色のバランスが大切である。とりわけ現代人には、セロトニン神経を刺激するリズム運動や、涙の効用の必要性を説く。さらに、愛する人の痛みを感じる脳の実験データも興味深い。人間らしさを科学した注目の一冊。
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Posted by ブクログ
本書では共感という現象と、脳との関係を明らかにしている。
特に人間の成長という側面から語られ、具体的には、共感する力がない場合の人間社会で生きる上での不便さや、赤ん坊が共感を覚えることの成長における役割などが紹介されている。
後半では共感ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンという3つの脳内物質と共感との関係性を明らかにする。そうしたうえで共感脳を発達させるための方法論へと、話はつながっていく。
全体を通して理解しやすかった。内容面では、まさにタイトル通り「脳」と「共感」との関係性が書かれており、ほぼほぼ要望通りの内容を得ることができた。