【感想・ネタバレ】砂のクロニクル 下のレビュー

あらすじ

交錯する民族と宗教、今決戦が始まる。

マハバード奪還をめざすクルド人への武器の供給が、いよいよ間近に迫る。だが、武器密輸商人ハジの前にあらゆる障害が立ちはだかり、思うようにクルド人の元へたどりつけずにいる。
一方、そのクルドの民を押さえ込まなくてはならないイランの革命防衛隊が、内部の腐敗により、その機能が低下しはじめる。機能を失いつつある革命防衛隊を立ち直らせたいと、崇高な理想を掲げるサミルが、まさかの裏切りにあい、窮地に追い込まれる。
いざ決戦の時。クルド人のもとに、ようやく20000丁のカラシニコフが届く。彼らはマハバード奪還を成し遂げられるのか。イラン革命防衛隊は、それに応戦できるのか。マハバードの地でクルド人のカラシニコフが一斉に火を噴く。

絡み合った糸が、ほどけていくように、奇跡の再会を果たすサミル・セイフと姉のシーリン・セイフ、そして隻脚の日本人ハジと武器密輸商人ハジの一瞬の邂逅、そして、かつて愛し合ったシーリンと隻脚の日本人ハジとの不思議な縁・・・。
全ての伏線が一つになり、驚きの結末に。読む者は必ず、その壮大なストーリーに打ちのめされる。船戸与一最高傑作とも呼べる超大作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物のほとんどが哀しい結末を迎える。

ある者はイラン革命防衛軍の腐敗を正せずに散り、ある者は民族国家樹立の夢破れ撤退する。

欲望のままに生きてきたマフィアは実に呆気なく悲惨に、冷酷な武器商人は自分が売った武器の行く末を見届けて死ぬ。

隻脚の東洋人はかつて自身が魅せられ追い求めた“革命”が迎える結末の無情さを痛感し静かに息をひきとる。

それぞれ立場も考え方も違うが確固たる信念によって生きてきた。そのほとんどは光を浴びることはない。だけど、この物語に登場人物たちはなんとカッコいいのだろう…

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2017年01月29日

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