【感想・ネタバレ】わたしの哲学入門のレビュー

あらすじ

第二次大戦敗戦後の混乱の渦中で青春期を生きた著者は、ハイデガーをどうしても読むという渇望から、東北大学哲学科に入学。『存在と時間』を何度も読み返しながら、その内容の理解には古代ギリシャ以来の西洋形而上学の展開を知ることが不可欠だと思いいたりました。「存在とは何か」というテーマを軸に、プラトン・アリストテレスからスコラ神学、そしてデカルト・カントに始まる近代哲学まで、わかりやすく解説します。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ここ最近、木田元の哲学書を連続して読んだが、その中でも最高の書。形而上学=哲学というのがプラトンが、現実社会(事実存在)と現実にはない理想の世界(本質存在=神の世=イデア)とを分離したことから始まり、それがニーチェにて終了し、現代哲学はこの形而上学的な二元論から、自然な存在というものを中心に論じるギリシャ時代の哲学(という言葉は正確ではないが)に戻ろうとしているという、古代から現代までの哲学と言われるものの推移をかなり簡易に解説している。これを読んで、やっとで形而上学を理解できた気がする。本質存在が、キリスト教の神になり、デカルトの理性になり、それがカントからヘーゲルまでのドイツ観念論に引き継がれていくという歴史のダイナミズムがよくわかった。しかしながら、これを読むと哲学というのは何という無駄なことをしているのだろうとつくづく思う。こんなことを考えなくても生きていくことは可能であるし、考えてもただの言葉遊びとしか思えないし、ただ木田元が言っているようにこんなことを考えないと生きていけない一部の人のための学問なのだと思う。その点で普通の人が読むような本ではないが、自分の思考能力を高めたいと思う人には面白い本だと思う。

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2019年03月10日

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