【感想・ネタバレ】王妃マルゴ -La Reine Margot- 8のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

8

2012年から2019年という、この約10年弱の萩尾望都の連載を、心の底から寿ぎたい気持ちでいっぱいなのだが、うーん誰一人共感できないし、人物を突き放して習俗の描写に徹する資料的な作品かといえば、独白たっぷりに描かれるので、それも違うし……。
あるいは萩尾望都はSFという枠組みを使って、美男や生殖や宇宙規模の孤独な思索を絵的に実現したが、
それと同じ程度の文化人類学的な「わからない文化」を描こうとしているというには、「わかる心情」に引き付けようとしているし……。
うーん……。
とにかく登場する人それぞれが、20世紀のあたりまえの感じ方から離れていて、単純に感情移入しきれない……もちろん萩尾望都は、感情移入や「わかるわかる」という共感ベースの物語を「否定すること」から始めている作家ということは知っているけれど。
にしても登場する誰もがどうかしているという、歯車狂いっぱなしの話を、現代の私たちに共感できるかどうかは別として判るように描いてくれた、その手つきをたたえるべきかもしれないが……やはり全員愚かだと見て、愚かな人類史のごくごく一端を切り抜いたものだと、考えたい。
わからない。作者がなぜマルゴを選んだのかも、マルゴと周囲の人の生が絵に実ったはいいが、それをどう受け止めればいいのか、も。

0
2021年10月25日

「少女マンガ」ランキング