あらすじ
いじめを苦に子どもが自殺する事件が後を絶たない。いまや社会全体で問題の克服を真剣に考えるべきではないか。長年、子どもや教育の問題に向き合ってきた著者が、子どもの関係性の変化、集団主義が浸透する教育現場など、今日のいじめの背景を分析。いじめを防止するために学校、家庭、社会がすべきことを具体的に提言する。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いじめはなくすことができる。そのように尾木さんは断言する。ただ、そのためには大きな変革が必要だ。
社会構造が教師や教育委員会に事実の隠蔽を求め、いじめが問題とされない。個人主義で競争をするため、自己保身が第一に必要とされるからだ。
子どもについても、いじめ被害者に原因を求めたり、いじめ加害者を排除することが往々にして見られる。いじめ被害者の能力の問題としたり、いじめ加害者の性質の問題とする見方があるからだ。どちらも、大きなストレスにさらされ、自分を表現できない結果にすぎない。よって、厳罰化では解決しない。
くだらねー精神論を安倍政権(第一次・第二次)の時は垂れ流していたけど、無意味どころか逆効果だ。いじめをちゃんと定義し、具体的方策を立てる必要がある。第二次の時は、法律ができて少しはましになった。
内容で印象に残っているのは、以上のような感じだった。子どもを個として尊重することが「子どもの権利条約」に求められているし、やらなきゃいけないこと。尾木さんのその姿勢はぶれずに一貫していて好感がもてる。一方で、尾木さんの考えでは、教師への負担が大きすぎる印象がある。授業と授業準備と子どもと向き合う時間を増やすために、他の時間を減らさないと、人間としての教師が危機的状況に陥りかねないと思った。
Posted by ブクログ
いじめ問題のこれまでの経緯、いじめの本質、大津事件の概要、いじめ防止対策推進法、問題を克服する方法が順に述べられている。解決方法として①教員の時間的なゆとり②教員の研修③シチズンシップ教育をあげている。シチズンシップ教育はオランダの「個」を尊重する教育を例にして説明している。
Posted by ブクログ
現場のことやメディアまでの言及がある。いじめ自殺があった学校が道徳研究指定校であったということは問題とされていないので知っている人は多くないのではないか。
いじめを卒論で扱うためにはまず読むべき本である。
Posted by ブクログ
現状の簡易な解説及び将来案。
教諭の多忙化・聖域なき改革・教育委員会が抱えている問題点について取り上げている。ただし新書という制約もあってか詳細は別の書籍もあたる必要がありそう。大津いじめ事件について、たびたび言及されるが大津いじめ事件の詳しい内容についてはユリイカ特別号の特集の方が詳しい。
諸外国の制度についてこれがすばらしい、と持ち出すのにはまだ時期尚早、というよりか現状が追いついていない部分が多いように感じた。
Posted by ブクログ
大津の件も詳しいところがわかってよかった。
尾木さんの頭の中では、すっきりと「いじめ」克服の理屈があるのもわかりました。
行きつくところは・・・。
やっぱり政治の力なんだろうなぁ。