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Posted by ブクログ
気弱な探偵・音野順と、推理作家の助手・白瀬が事件を解決する短編集
「踊るジョーカー」
トランプがバラまかれた地下密室で殺人事件が発生
被害者はトランプの束が刺さった短剣で殺されていた
「時間泥棒」
高価な美術品を持つ姉弟が住む家から
アナログ時計だけが盗まれた理由とは
「見えないダイイング・メッセージ」
被害者が死の直前に撮ったポラロイド写真を手がかりに
金庫の暗証番号を解いてほしいと依頼を受ける
「毒入りバレンタイン・チョコ」
複数の人物が食べていたチョコの中から
毒入りチョコを被害者ただ一人に確実に食べさせた方法とは
「ゆきだるまが殺しにやってくる」
雪山の豪邸で花婿候補者が外にあった雪だるまの前で殺害される
凶器のバールは雪だるまの手にあり死体の周りには足跡がない雪密室だった
<感想>
「謎がすべて解けるまで探偵は推理を話さない」という探偵ものの”お約束”を
気弱で臆病な性格だから結論が出るまで話さないという人物像にしているのが
よくいる探偵と真逆の性格でありシックリくる設定でとても良かった。
短編なので無駄なくサクサク読めて面白かったし
探偵カワイイし、助手と刑事もナイスキャラなので次作が楽しみ。
Posted by ブクログ
ようやく読んだ名探偵音野順シリーズ。
小説の表紙も可愛らしいイラストなので、けっこうほんわか系?と思ったらなかなかコミカル。
殺人は起こるし、物騒な事件も起きているのに、シリアスになりきらぬ、ちょっと脱力感のある作品。
まず、名探偵の音野順が超弱気。
名探偵の才能はあるものの、彼を名探偵だと盲信したきつけるのは専ら大学時代からの友人であり推理作家の白瀬白夜。
自分の作品のネタになるということもあって音野の面倒をみつつ、やれ事件だと引っ張り出す。
そして、名探偵たるものこう言えこうしろとやいやい言うが、気の弱い音野は基本白瀬の背中に隠れ、人前に出されてもたどたどしく控え目に発言するばかり…。
そんなすったもんだコンビながら事件をきっちり解決するあたり、ちゃんと名探偵、かな?
個人的にはもう少しハラハラするミステリが好きだけれど、それぞれの事件、トリックはしっかりしていて興味深く、面白くて目が離せなくはなったので、次の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
引きこもりの名探偵「音野順」と,ワトソン役のミステリ作家「白瀬白夜」が活躍する短編集。それぞれの短編は,プロットもトリックも平凡なのだが,作品の雰囲気が素晴らしい。古きよき時代の本格ミステリを思わせるような様式美が守られつつ,そのパロディのような作りになっている。探偵と警察の関係,事件への関与の在り方,トリックが早業殺人だったり,容疑者が少ない状態で殺人をしたり…。リアリティこそないが,本格ミステリらしい作品ばかり。北山猛邦が本格ミステリを愛してやまないことが垣間見える,魅力的な短編集である。おすすめ。
個々の作品の所感は以下のとおり
○ 踊るジョーカー
大量のトランプが散らかされていた密室で南斉一郎が刺殺される。狂気のナイフは,多量のトランプを貫いていた。容疑者は三人。南斉一郎の子,南斉貴一。その恋人である藍子。そして,古くからの使用人の根津。密室の合鍵を持っている貴一が最大の容疑者として警察から疑いを掛けられる。
密室のトリックは,早業殺人。日頃からトランプで一郎を脅かしておき,多量のトランプを換気口から投入しておき,それを見て悲鳴を上げた一郎のために部屋に入り,その直後に根津が一郎を殺害した。問題は凶器。犯人は,ナイフでトランプを貫き,円状にしたトランプを転がすことで,ナイフを手に入れ殺害をしていたのだ。トリックは陳腐だが,作品全体の雰囲気,キャラクターが秀逸。なかなかの作品。
○ 時間泥棒
上野家で,アナログ時計が次々と盗まれるという事件があった。いずれも安物の時計だが,なぜ時計だけが盗まれるのか。上野カイという男は,姉,上野アサヒの恋人である長崎という男と一緒に,音野の事務所を訪れる。真相は,合鍵を持つ長崎が盗聴の際の邪魔な音をなくすために,アナログ時計を撤去していたというもの。音野と白瀬は長崎の本性をアサヒに伝える。プロットは特に目新しいというほどではないが,雰囲気がよく,これもなかなかの秀作。
○ 見えないダイイングメッセージ
笹川明夫が殺害されるシーンから,この物語が始まる。明夫は,自分しか暗唱番号を知らない金庫が開けられなくならないように,金庫の暗証番号を示すダイイングメッセージを残すために,ポラロイドカメラで写真を撮影する。ダイイングメッセージの真相は,映ったものではなく,写真そのものに指紋で残されていた。今回は音野順ではなく,兄,要がダイイングメッセージの謎を解き,順は,真犯人が依頼者である笹川明夫の子,笹川晃であることを見抜く。
○ 毒入りバレンタイン・チョコ
ある大学の研究室で,バレンタイン・チョコの中に毒が入っており,それを食べた女学生が倒れるという事件があった。32個入りのチョコのうち,1つのチョコから毒が検出された。ゼミに所属している2人の女学生と2人の男子学生がチョコを食べていた。無差別殺人なのか,女学生の自作自演なのか。真相は,男子学生が,女子学生の気を引くために致死量に至らない毒を飲ませたというもの。トリックは,磁石を使い,チョコを包んでいた包みを利用して狙っていた女学生がチョコを食べるチャンスを利用して毒を仕掛けたというもの。仕掛けがあるチョコをほかの人が食べるときは,仕掛けを作動させていない。犯人にとっては,この犯罪は,恋する人に接近するためのイベントだったのだ。チャンスを待った気の長い犯罪だった。
○ ゆきだるまが殺しにやってくる
音野と白瀬が遠方の依頼を終えた帰りに道に迷ってたどり着いた山荘で,事件が起こる。事件は,山荘は,笹宮家という名家。山荘では,一人娘の美子の結婚相手を見つけるために,雪だるまを作るというイベントが開催されていた。イベントの最中,二人の挑戦者のうちの一人,藤原昆が殺害される。狂気のバールは雪だるまの腕のところにあった。まるで,雪だるまが殺害をしたかのように。
真相は,美子が無理やり結婚させられることを辞めさせるために,殺害を行った。トリックは,風船利用して死体を隠し,殺害された時間をごまかすというアリバイトリック
Posted by ブクログ
名探偵 音野順シリーズ。
とっても気弱な名探偵。
一緒に活動している推理作家 白瀬の方が態度としては探偵らしい。
探偵活動に消極的で、暇さえあればドミノをしている…いや、ドミノさえしていれば満足している名探偵。
推理作家である、白瀬は彼を元に小説を書いているので、事件があれば、本人より張り切って捜査へ向かう。
そして、名探偵らしい事務所にしようと彼に何かを買い与えているがどこか空回り。
何個かの事件を含んだ1冊。
どことなく、トリックがユーモアがあって面白いです。
Posted by ブクログ
世界一気弱な名探偵と、名探偵より堂々としてる小説家のミステリ。
表題作のトリックに少し納得が行かなかったけど、楽しめました。
スタンドライトのくだりが好き。
Posted by ブクログ
気弱な引きこもり名探偵と助手を自負する小説家。ふたりのやりとりは微笑ましが、住居といい事務所といい、白瀬はなぜにそこまで?と思わんではない。私には助手というよりパトロンに見える。本人は否定しそうだけど。スタンドライトの下りで笑ってしまった。音野の方は推理能力になんの杞憂もないが、放っておくと世捨て人まっしぐらで、そっちのほうが心配だ。毎回、もっと強かに生きて!と叱咤激励したくなる名探偵も珍しい。