あらすじ
現下、世界は新帝国主義体制である! 米露中はじめ、経済では保護主義的傾向が増し、権益のブロック化が志向される。では、国家機能を強化するにはどうすれば良いのか、我々はどうこの世界を生きればよいのかを示す
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
第一部、第二部ともに雑誌に連載されていたコンテンツ。これに序文を足して二部構成にして一冊の本にしているが、だからと言って論がバラつく訳ではないのが著者の力量か。
第一部は『資本論』をベースにした内容のため、経済学のベースがそれなりにないと読解は難しい。実際、最初はあまり理解できず、2回ほど通読してようやくある程度掴めてきた、という感じ。
この第一部の内容が連載されていたのは2007年だが、この時点で既に小沢一郎の地金を見抜き、「小沢や福田などの思想や哲学のない政治家が思想を外部から注入され、第三者に全く関係のない諍いを展開している。自民党も民主党も政策に大差がないので、意図的に小さな差異を作り、その疑似争点を巡って闘うというゲームをしている。小沢氏に信念があれば政治が切磋琢磨されるはずだったが、それがなかったのを見抜けなかった不徳を自己批判したい」という点にまで論を展開しているのは流石。
第二部は連載されていた2011年6月以降の時事を取り上げつつ、それらのニュースをどのような視座で見極め、読み解いていくべきかが開設されている。第一部に比べて圧倒的に読みやすい。著者のバックグラウンドにキリスト教、保守、ロシア、沖縄というキーワードがあるため、それらを念頭に置いて第二部を読むと、どんな土台であれ、土台をしっかり持っている人はこういう論点を見出すことができるのか、ということに気づく。
読みやすい本ではないので万人向けではないが、時事問題を読むための脳のトレーニングとしては良書。
Posted by ブクログ
書評誌と経済誌からの二部建て再構成である。序論が書き下ろし、第Ⅰ部が理論編、第Ⅱ部が実践編という構成となっている。
第Ⅰ部では浅田彰の「構造と力」をもって日本もポストモダニズムへと移行していることを挙げ、日本は神話(歴史・伝統・文化)の構築をしてゆくべきだと説いている。また、世界最強の偶像たる「国家」「貨幣」についてはマルクスの資本主義観察がもっとも本質を突いているとし、ポストモダンからマルクス経済学労農派の宇野弘蔵の論理に退却し、われわれの立ち位置を見いだすべきという主張をしている。
第Ⅱ部では検察特捜部の解体に触れ、結果として警察権力の増大を招ききわめて政治性の強い捜査が行われる危険を主張している。また、昨今の相次ぐ首相交代はヒトラーが「わが闘争」で指摘している「列をなす、軽い責任の指導者たち」を体現しており、わかりやすい言動で大衆を煽り、強いリードで権力を握る者の出現を警告している。