【感想・ネタバレ】憲法の創造力のレビュー

あらすじ

条文を変えても国や社会は変わらない。
「改憲論議」をする前に、必読の一冊!

良い国家や社会を創るために、良い憲法を創ること。それは、すなわち新憲法を制定したり、改憲することではない。憲法の原理を理解した上で、想像力を駆使して我々の「頭の中」に理想のルールを創造することなのである。それはいかに可能なのか。君が代斉唱、一票の格差など、最新の判例に現れた憲法問題を題材に、気鋭の憲法学者が、先端的な憲法学の成果を踏まえながら考察する。これまでにない実践的憲法入門書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やっぱりファンになれる(以下略)。
楽しい。わりと初期の本のせいか、前はこう考えてたけど違うことに気づいた、とか、この文を読んでこう考え直した、とかいう木村先生自身の勉強とか思索の痕跡が有体に描かれてて面白い。
身近にいそうで、いたら敬して遠ざける面倒臭い理屈屋臭が素晴らしい。楽しい。

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2022年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『憲法の創造力』というタイトルからは、どんな内容か想像がつかない。はしがき「憲法を創る」(ここにも”創る”と書かれているが)の「本書が目指すこと」の段落に、”憲法問題を考える際には、様々な角度から思考を巡らせ、苦境に置かれた人々の状況に想像力を働かせなければならない。また、その解決のためには、多くの人の納得が得られるような公平なルールを創造することが求められる。”と書かれていて、どうやら憲法の理解のもとに公平なルールを創造することらしいと思うが、まだピンと来ない。しかし、君が代起立問題など具体的な論点を読み進めていくと、「憲法の創造力」ということがより具体的にわかってくる。
今までニュースなどの報道を聞いて、どう考えたらいいのか分からないとか、どうも釈然としないと感じていたことが、よく整理されて理解でき、この本を読んでとても良かった。日本的多神教についても、よくまとめられていると感じた。

特に、興味深かったのは、「生存権保障の三つのステップ」の章で、ここで述べられている三つのステップは、職場環境についてもいえることだと感じた。職場でも「最低限」はこの三つのステップを含むと考えるべきだ。

短い解題のついた文献案内が付されている。

取り上げられている論点
1.君が代不起立問題
2.一人一票
3.裁判員制度合憲の条件
4.政教分離
5.生存権
6.公務員の政治的行為
7.生存権
8.憲法9条

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2014年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

木村草太氏の憲法入門書。君が代の不起立問題・一票の格差問題などなどホットな話題から、日本人の宗教観・憲法9条などの根深い問題までさまざまな課題を扱っている。一見関係ない無駄話のように見える話題が導入に書かれており難しい憲法の話題にすんなりと入っていけた。

団体とは、要するに、共通の「ルール」に従う「人の集まり」である。「ルール」と「人」の二大要素のうち、「ルール」は頭の中にしかないが、「人」は目に見えるし、触ることもできる。団体の「正体」を、「ルール」だと見るのが擬制説、人間という「実在」だと考えるのが実在説だが、団体の「正体」などという怪しげなものを観念する必要はなくて、擬制説と実在説は同じものを右から見るか左から見るかの違いにすぎない、と評価するのが筆者の立場である。

経験により検証できない性質の事実認識を「宗教」と呼ぶのである。

ボーアの蹄鉄 ある人が宗教を「信じていない」といったからといって、その宗教を行動の前提としていないとは限らない。

などなど参考になる文章が多数

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2013年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ニッポンのジレンマ」に出演していた若手憲法学者の本。テレビ出演時の意見が興味深かったので、購読。

<国家と憲法の定義>
国家:権力を作ることを目的とした組織。
権力:暴力を背景に有無を言わさず人に言うことを聞かせる権利のこと。
憲法:国家のルール。国家の領域範囲、王位継承の方法、裁判の手続き、軍隊の指揮権の所在などを決めたもの。

<入学式での「君が代」ピアノ伴奏拒否事件の判決について>
・入学式で「君が代」伴奏を拒否したピアノ教員は、「君が代」を軍国主義と結びつけて拒否した。
・反対論者は、「君が代」を古い日本の歴史と結びつけて擁護した。
・どちらも「君が代」と思想、歴史的価値の連関を認めている。
・最高裁は、「君が代」の固有の意味や、歴史的価値について考察することを留保した。「君が代」は今国歌なのだから、入学式で歌うことに問題ないとドライに扱った。
・憲法は、個人的なこだわりを他者に強いることを否定する立場を取っている。

<生存権保障>
・人間が人間らしく再生産される社会の創造は我々の義務。

<憲法9条の想像力>
・9条は自衛のための必要最小限の自衛権を認めている。
・憲法9条は世界の中で特殊な憲法なんかではなく、むしろ世界で主流の考え方。自衛以外で戦争するのは、世界では侵略行為と呼ばれる。9条が言っているのは、国際法の常識に照らしてみれば、実は当たり前のこと。

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2013年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

憲法の入門書。
なぜか、章の冒頭に時々同級生の「トミナガ」が登場し、ユニークなエピソードが披露される。これに引き込まれ本論は法律解釈の専門的な議論から離れ、一般常識を使った想像力により、法律の解釈を創造するというアプローチ。
もちろん、判例や通説も紹介されており、独善的な内容ではない。憲法にこんな考え方もできるのか、と新鮮な気持ちになった一冊。

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2013年08月16日

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