あらすじ
都を落ちのびて瀬戸内海を転戦する平家一門の衰亡を、戦陣にあって心身ともに成長して行くなま若い公達の日記形式で描出した「さざなみ軍記」。土佐沖で遭難後、異人船に救助され、アメリカ本土で新知識を身につけて幕末の日米交渉に活躍する少年漁夫の数奇な生涯「ジョン万次郎漂流記」。他にSFタイムスリップ小説の先駆とも言うべき「二つの話」を収める著者会心の歴史名作集。直木賞受賞。
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匿名
平家の若者が源氏との戦の中で成長していく物語。抑揚のきいた古風な語り口が私たちを源平の時代にいざなう。平氏の敗走の姿を平氏の側から描いたものである。若者と村の娘との合挽きの場面が印象的である。
Posted by ブクログ
平家ものだというので、読んでみました。
教科書の山椒魚以来の井伏鱒二です。
さざなみ軍記・・・ネタばれになります。
某平家の公達の日記形式です。
だいたい都落ちから一の谷後まで。
主人公の公達の名前は明かされませんが、
父が新中納言で十六歳、武蔵守ということで、平知章です。
小隊を預かり、若年ながら、軍を率いて成長する様子が、描かれています。
六波羅を懐かしんだり、逃げたいと思う気持ちも見え隠れしつつ。
精一杯背伸びしていたんだと思います。
が、言葉選びが難解で、読みにくい。
時代がかってるんですが、それが、
平安を現代語訳した雰囲気を出しているのか、昭和風なのかよくわかりませんが、どっちにしろ、難解。
感情移入はし辛い。
ついでに、新中納言だの、三位中将だの、能登守だの、平家の皆さんの呼称はみんな
官位なので、誰が誰が知ってないとわからない不親切設定。
官位呼びはまぁ、当然なのですが、系図とか、最初についててほしかった。
ちょっと、誰が誰かわかるように学ぼうと思いました。
最後にオチ。
なんか!え?ここで?ってところで、うやむやに終わります。
一の谷で打たれる史実を踏まえて、次の日の戦で死ぬってところでぶつ切れるならわかるんですが、
史実に反して、生き延びてるんですよ。この知章は。
なのに、中途半端に怪我して、代筆させてすやすや眠ってるって。
そこで終わり!?
消化不良だわ。この、生き延びちゃった後どうするよ。
むしろ、くっついてるジョン万次郎の方が面白かったです。個人的に。