【感想・ネタバレ】使える 弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見えるのレビュー

あらすじ

ネット市場を読み解く秘密は弁証法の活用にあった!IT社会の未来を語らせては右に出る者が無い著者による弁証法を使った予見力の鍛え方の本。ヘーゲル3つのテーゼで未来が見える!
【主な内容】
序 話 なぜ、調査や分析をせずに、未来が見えるのか

第一章 弁証法は、役に立つ

第二章 弁証法を、どう使うか

第三章 弁証法で、身につく力

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Posted by ブクログ

ネタバレ

田坂氏の本。
哲学的思索により森全体をみる、。
弁証法により、洞察力と予見力がみにつくとのこと。
なかなか興味深い。さすがの一冊。

行間が広めで、考えながら読みやすくて良い。

メモ
・螺旋的発展の法則
 物事は螺旋的に発展するというもの。
 進歩発展と復活復古が同時に起こっているというもの
・何が一弾登ったのか、何が進歩発展したのか
 深く考える必要がある。
・未来進化と原点回帰は同時に起こる
 進化するとき、便利になった懐かしいものが
 復活してくる。
 または、懐かしいものが残りつつ、便利になっていく
・進化の本質は多様化。古いものは淘汰されることはあっても、必ずしもそうとは限らない。その結果世界はますます豊かな世界になっていく
・我々の人生の長さに比べ、
 世の中の変化が早くなった。
 そのため、局所的変化のみならず、
螺旋的発展を目撃するように。
・ビジョンや戦略の陳腐化
 書を捨てよ街に出よ
・弁証法の使い方
 →何が復活してくるかを読む
 →そのために何が消えて行ったのかを見る
  合理的効率化の中で消えたものはなにか
 →なぜ消えていったのかを考える。
 →どうすれば復活できるのかを考える
・新しいものを古い眼鏡で見ると過ちになる。
 新しいものは新しい眼鏡でみる必要あり
 →いかなる形で新たな価値が付加されるか
  復活とともに何が付加されているか
・ある指標の量が一定の水準を越えたかを判断する
 には、キーワードが忘れられたか。
 インターネットといった言葉が日常化し、当たり前のものになったか。それが一つの目安となる。
・否定の否定による発展
・量から質への転化による発展
・対立物の相互浸透による発展
 争っているもの同士は互いに似てくる
・弁証法においては、対立し、争うかにまえる二つのものがある意味で互いに相手を内包していき、結果として両者が統合されていく。
・根底に存在する法則は、矛盾の止揚による発展の法則。物事は矛盾の止揚により発展する。
全てのものごとには内部に矛盾が含まれるが、矛盾こそが発展の原動力になる。矛盾を機械的に解消するのでなく、弁証法的に止揚したとき、物事は発展する。
・割り切らないこと。矛盾を抱えて進めることこそが矛盾のマネジメント。
・矛盾を機械的な割り切りによって解消してしまうと矛盾とともに生命力や原動力も消えてしまい進歩や発展が止まってしまう。
・止揚とは、対立するように見えるものに対して、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することで高い次元のものに昇華していくこと。
・矛盾のマネジメントとは振り子をふること。二つの局を極端にふってみる。経営者の行うべきことはバランスを取るために振り子を振り続けること。
・割切りとは魂の弱さ。矛盾と戦い続けること。

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2021年05月16日

ネタバレ 購入済み

対話と会話の違い

対話と会話の最も大きな違いは、お互いが持てる知識を出し合うことで、そこに新たな気づきが生まれることだと思います。一方の出した意見が他方に否定され、そこから対話を通した両者の深い思考が始まる。お互いがお互いの意見を取り込みながら、真理を追究して思考を続けることで、最終的にお互いの意見を内包した、新たな気づきが生まれる。この過程こそが対話の真髄であり、これを弁証法と呼ぶということです。筆者はこの弁証法こそが現代に求められる思考術だと述べています。

0
2016年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

弁証法という言葉は聞いた事がありますが、何なのかはわからない。そんな中でタイトルに惹かれて読みました。
個人的には第三章の弁証法における解説をはじめに持ってきて欲しいと思う構成でしたが、予測するための一つの考え方としては面白いです。ただ、弁証法自体の知識が無いので、肝である螺旋的発展が対話としての方法である弁証法との関連が未だによく分かりませんが。。
何事もそうですが、読んですぐ使える訳では無いし、あくまで参考になる部分を取り入れる事が重要です。未来の予見というよりは、起きた現象の本質を理解するというのに適しているのかな、と思います。

以下は具体例を省いた学びのポイントです。

◉未来を予見する
本質の洞察・未来の予見に必要なのは『弁証法』という哲学的思索。
・分析に偏ると細部に囚われ、論理思考では直観や大局観が働かなくなる。
・弁証法により、洞察力と予見力、対話力が身に付く。

第一章『使える弁証法』
・弁証法‥‥ドイツ観念論の哲学者・ヘーゲルの思想。
人類が生み出した哲学で、最高峰と称される哲学。
◉重要な法則はただ一つ
【螺旋的発展の法則】
‥‥物事が発展するとき、螺旋的に発展する。右肩あがりに進捗するのではない!
‥‥「進歩・発展」と「復活・復古」が同時に起こる。
◉螺旋的発展の一例
・ネット革命でのオークション
‥‥電子上で世界とオークション・逆オークション(指値)が可能になったが、ビジネスモデル自体は昔からあった。
→合理化に合致しないので、姿を消していたモデルがネット革命により、大幅に発展して再び現れた。=螺旋を一段上がって発展したという事。
◉螺旋的発展はどこか?
・復古してきたモノを表層的に見るのではなく、何が進歩・発展したのかを深く考えなくてはならない。
◉未来進化と原点回帰は同時に起こる
・懐かしいモノが便利になって再登場する。=進化
@進化とは、元々生物学の用語。単なる連続的な変化ではなく、不連続的な飛躍を意味する。
・進化の本質は多様化である。
・『同時に起こる』とは、
①未来進化が起きるとき、必ず原点回帰も起こり、懐かしいものが復活する
②原点回帰が起こるとき、必ず未来進化も起こり、便利になって復活する
の二つの視点である。
◉螺旋的発展を目にする変化が起きた
・世の中の時間速度が早くなっている。その為、局所ではなく、螺旋的発展を目にするようになっている。
→ドッグイヤー‥‥犬の寿命は人間にくらべ、1/7。七年が一年で起こるという比喩。
→マウスイヤー‥‥人間の18倍の速さで成長する。
◉一生において、世の中の大きな螺旋的発展を目撃する時代。
日常生活において、様々な物事の螺旋的発展を目撃する時代。
→螺旋的発展は街にある。
便利になった懐かしいものを発見し、考える。

第二章『弁証法をどう使うか』
◉弁証法を使う為の思考法
①螺旋的発展において、何が復活してくるかを読む
②合理化と効率化の中で何が消えていったのかを読む
③その段階で、それがなぜ消えていったのかを考える
④新しい技術や方法てわ、どうすれば復活できるかを、考える
◉次の思考ステップ
・消えたモノの理由を考える
①合理化を実現するための均質化
②合理化の極点での反転
③均質化から個性化への回帰
◉新しいモノを新しい眼鏡で見なければならない
→いかなる形で新たな価値が付加されたか?
◉『動き』の視点から、螺旋的発展を見る
・現在の動きは「反転」する。
→言い換えればトレンドのリバウンド
【否定の否定により発展」の法則】
◉世の中は振り子のように動く
@タオイズム(道教)
陽、極まれば、陰
陰、極まれば、陽
→物事の変化は、その極点において、反転するという東洋思想
◉戦略的思考への応用
・次なる主戦場を読む
‥‥世の中の変化が激しく、次なる主戦場を考えて立案しなければならない。
→主戦場が移行する可能性を判断する法則
【物事は量から質への転化により発展する】
‥‥量が増大し、一定の水準を超えると、質の変化が起こる。
     ex.水の沸点
→量が一定の水準を超えたかを図るには?
‥‥キーワードが忘れられたか?
◉本質の洞察、未来を予見するもう一つの法則
【対立物の相互浸透による発展】
‥‥対立し、闘争している二つのものは、互いの性質が相互に浸透していく。
◉矛盾にこそ、意味がある
【矛盾の止揚による発展】
‥‥弁証法の最も基本的な原則。
矛盾とは、物事の発展の原動力である。
@止揚とは、ドイツ語でアウフヘーベン。ヘーゲル哲学の難解な概念。
止揚‥‥互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくこと。
・矛盾のマネジメント
‥‥振り子を振ること。矛盾を割り切らないこと。
@亀井勝一郎‥‥割り切りとは、魂の弱さである。

第三章『弁証法で身に付く力』
◉弁証法を知ると対話力が身に付く
@弁証法はギリシア時代に用いられた方法。ソクラテス。
プラトンの著作『ソクラテスの弁明』
弁証法‥‥対立した意見の持ち主が対話を行うことによって、互いに、より深い思考に向かっていくための方法。
→具体的な方法は、正・反・合による思考の深化である。
正(テーゼ)、反(アンチテーゼ)、合(ジンテーゼ)
→一人が語った意見(正)に対して、もう一人がその反対の意見(反)を語り、それぞれの意見に基づく対話を通じて、二人がともに、二つの意見を包含し、統合し、止揚した、さらに深い理解(合)に到達するという方法。
◉弁証法によって、歴史観が付く
東洋と西洋の止揚。
これがこれからの歴史におきる螺旋的発展。
西洋文明が開花させた最先端の科学技術と資本主義。
東洋文明の根本にあった生命的世界観と深い精神性。
@人類の文明は5000年前に東洋において生まれた。
エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、中国文明。

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2012年10月08日

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