あらすじ
『キャズム』のムーア、5年ぶりの待望の新刊
『キャズム』のムーアがハイテク業界における20年以上にわたるコンサルティングの経験から戦略フレームワークをまとめた書籍。基本テーマは、グローバリゼーションがもたらす不連続な変化に対応するために、過去の繰り返しではなく、真に革新的な戦略をどのように立案すべきかという点である。著者の豊富なコンサルティング経験に基づき、著名IT企業の事例が盛り込まれる。また、過去のやり方を踏襲していてはいけないという提言は、まさに現在の日本企業にこそ当てはまるかもしれない。
原書タイトルにもなっている「エスケープ・ベロシティ」はロケットが地球の重力圏を離れて宇宙に飛び立つための「脱出速度」(第二宇宙速度ともいう)を指す。抵抗勢力に打ち勝ち、過去のやり方から離脱するための戦略立案にたとえている。
※本電子書籍は同名出版物を底本とし作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
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Posted by ブクログ
レビューというよりは感想。本書の内容と個人的に思ったことが混ざっていますのでご注意。
気になった点は3つ。
ほとんど人間心理の問題だと思うんですよね。
1.市場カテゴリ、企業、製品などには、それぞれにライフサイクルがあり、成熟状態によって必要とされる人材、戦いかたが異なる。が、必ずしもそういう人選はできない。
2.異なる成熟状態にある複数の事業が並列で進行した場合、社内予算の取り合いの力学により、次に一番儲かる事業が「一番資源を必要としているときに資源を配分されない」傾向がある。安定事業と「将来の」新規事業はかち合わないので共存しやすい。スタートアップ事業にリソースを張って安定事業に移行させる変化点の判断が、心理的にも物理的にも一番難しい。
3.本書の主題である「脱出速度」を稼ぐには、衰退期にある事業からは撤退して新しい事業にリソースを当てる必要がある。しかし、そう言われても撤退が最も難しい。顧客や提携先との関係もあるし、リストラや人員のシフトだって簡単にはできない。手遅れになる前に先読みして手を打とうとするとなおさら。
心理的に、利益は確実なほう/リスクは不確実なほうを選ぶ、とか、現行維持のほうに偏るの、というのは自然なので、「一度成功した企業」は意識して経営資源をハンドリングしなければいけないのでしょう。