【感想・ネタバレ】卑弥呼の赤い罠のレビュー

あらすじ

私が死ねばよいと思っている人間が七人いる――その言葉を残し、老古代史学者の新藤英二郎は殺された。復元した甕棺の中で「女王・卑弥呼」の再現衣装をまとい、顔を朱に塗られて! 日本という国の成り立ちに関する過激思想ゆえに生命を狙われていた老教授を殺したのは誰なのか? 教え子の歴女・村野杏美(あみ)は、新藤と巡った北九州古代史の旅をふり返りながら、恩師の死の謎の挑戦する! 歴史ミステリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

古代史学者新藤英二郎教授の苦悩。

日本古代史研究が玉石混合で諸説乱れる原因は、古代遺跡の発掘が宮内庁により制限されており、仮説を裏付ける証拠がなかなか発掘されない事、日本の成立背景を詳らかにする事に対する政治的、感情的な反発により議論そのものがタブーとされている事が挙げられる。そんな古代史研究のもつ閉塞感に絶望した教授の批難と自説の展開にほとんどが費やされている。ついていけない人は全くついていけないだろう。個人的には新しい発見もあって面白かった。

邪馬台国と言えば魏志倭人伝。その日数、戸数の記述については中華帝国対抗のために日本側が行った水増し報告によるものという説、また神武東征も中国からの逃避の観点から本拠地の移転という説をとっており、興味深い。表意と表音の両方を併用しなければならず語学習得で混乱を生じているという、日本語の欠陥についての指摘もなるほどと思わせる。「銃・病原菌・鉄」にも類似の記述があったのを思い出す。

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2013年06月02日

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