あらすじ
地球に生命が誕生して30数億年もの歳月が経過していた。海の中も、川の浅瀬も生物でいっぱい。いよいよ生きものたちは住み慣れた「水圏」を離れ、陸に上がろうとします。いまから、およそ5億年前のことです。そのころの地上は、岩や砂が広がるだけの不毛の大地でした。そこへ勇敢にも上陸していった植物たち、そして植物を追いかけるように上陸していく昆虫たちと脊椎動物たち……。地球における生物進化史上、間違いなく一大イベントである「生物の上陸」をテーマに、カラーイラストや図版をふんだんに使って、そのドラマを再現しようとします。最初に上陸した植物たちとは? なぜシダの森林は消えていったのでしょう? なぜ昆虫たちは大繁栄を遂げるのでしょうか? 最初に上陸した脊椎動物の先祖とは? 過去5億年の間に5回もあった大きな絶滅の原因はいったい何でしょうか? 「鳥」になった恐竜とはどんな生きものでしょうか? 魅惑に満ちた進化の冒険をいっしょに体験しましょう。
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Posted by ブクログ
最新の研究によると昆虫は甲殻類の鰓脚類と同じ祖先から分岐したとのこと。甲殻類に近いというより、「側系統の甲殻類に内包される」(wikipediaより)というべきものらしい。
残る謎は多足類の出自だ。海で祖先が見つかってない。
また、最初に上陸した節足動物は多足類とされる。かつて体長2m以上のヤスデ(アースロプレウラ)が地上を歩いていた。
Posted by ブクログ
約5億年から4億年前の間に生物が陸上へと進出した事件が起きた.本書はその事件の主人公たちがどのような進化を経たのかを,化石の記録や現在の生物のDNAに刻まれた情報を読み解きながら解説している.情報がわかりやすく整理されており,また,読みやすい文章である.
本書は,植物,昆虫,そして脊椎動物と,上陸を果たした順に解説が進む.それぞれの系統でどのような進化が上陸前後に起きたのか,上陸はどうして可能だったのか,に焦点が当てられている.
文字,行間ともに大きい.驚いたことにフルカラーである.化石の写真はなく,古生物はすべてイラストで描かれている.古生物以外も写真はきわめて少なく,その代わり,イラストが充実している.系統樹や解説で使われているイラストはわかりやすく,読者の理解を促進させる.特に巻頭の生きもの上陸作戦絵巻は,8ページにわたる生物の上陸にまつわる様々な出来事が横方向を時間軸にした絵巻である.これは素晴らしい.科学本ではイラストが重要であることを再認識させられた本である.
この本,どうやらJT生命誌研究館の展示にあわせて執筆された本らしい.この本を読んで,ぜひとも展示を見てみたくなった.
Posted by ブクログ
とても装丁がきれいで,生物学・進化史学の面白さを一般に広めてくれるものと大いに期待できる新書.著者から贈られてきた.僕の和文総説から図を引用してくれている(動物の染色体進化の図).