【感想・ネタバレ】輝く日の宮のレビュー

あらすじ

女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読み応えのあるボリュームを備えた作品。ただ、薀蓄がちりばめられ、主筋を辿るのを妨害するきらいがある。アサコの恋の行方だけに集中できたら、どうだろう?とも思える。また、社長となった長良との恋の行方も気なるところ。だが、この小説の主役は、「輝く日の宮」なのだろうから、この結末でOKなのだろう。

で、作者がこめた数々の謎。これも、読者を惑わせるものだろうと思うし、いろんな読み方が出来てよいのだろうと思う。影の主役は、『源氏物語』であり、その創作の謎であろうのだろうから、表面に現れた暗喩や、文学史的な話題も、それぞれに役割を演じて、この作品を構成しているのであろう。

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2011年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わったとたんああ、とため息をついて目を上げたくなる、そんな本だった。先へ先へと読まされてしまった感じ。

安佐子は紫式部そのものなのだなあと。男性視点からの理想化もだいぶまじっている気がするけれど。最後に佐久良と話していてとつぜん千年前の情景が「おりてきた」シーンは美しくて恍惚とする。
安佐子という一人の女性の現実的な苦悩も織り交ぜながらも、めまぐるしく移り変わる場面の一つ一つが黄金色に霞む王朝文化の情景と重なり合って、雅やかな「物語めいた物語」がそこにある、というふうに感じました。

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2013年07月13日

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