あらすじ
女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
読み応えのあるボリュームを備えた作品。ただ、薀蓄がちりばめられ、主筋を辿るのを妨害するきらいがある。アサコの恋の行方だけに集中できたら、どうだろう?とも思える。また、社長となった長良との恋の行方も気なるところ。だが、この小説の主役は、「輝く日の宮」なのだろうから、この結末でOKなのだろう。
で、作者がこめた数々の謎。これも、読者を惑わせるものだろうと思うし、いろんな読み方が出来てよいのだろうと思う。影の主役は、『源氏物語』であり、その創作の謎であろうのだろうから、表面に現れた暗喩や、文学史的な話題も、それぞれに役割を演じて、この作品を構成しているのであろう。