あらすじ
男はミイラとなり女の棲む黄泉へと向かう。即身仏伝承の残る山形を舞台に、男女のもつれ合う情念と因縁を、濃密な官能と斬新怪異な物語で綴るホラー恋愛小説。ベストセラー『モルヒネ』の著者が描く究極愛。
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Posted by ブクログ
安達千夏は少し腕を上げた。
これは、生きることに不自由さや怒りを感じる女の話だ。古事記や八犬伝や即身仏というモチーフを絡めながら、男の視点に立って描かれていく。古事記も結局は男の視点に立っていたように。
身勝手を身勝手とも思わない男の一般論に対して、女として生きることの不自由さはしばしば隠されている。男女共に、鈍感になっているのか、気付かない振りをしているのか。いずれにせよ、安達千夏は竜子に、私は生きているのだ、と言わせる。騎寅の論理、イザナキの論理。それに竜子は反旗を翻す。男の論理で形作られたこの世界そのものに、魔斬りを向けるのだ。
愛など信じない。否、そんなものは初めから存在してはいない。たとえ、死んだ騎寅が竜子の呼ぶ声に応じてやって来たのだとしても。
Posted by ブクログ
殺すか殺されるか、
自分と他人が見ているものは果たして真実なのか。
連続通り魔を返り討ちして殺害してしまった騎寅は
それ以来自分が腐乱死体に見えるようになり
災害を口実に実家の山形に逃げる形で帰省した。
家業の鍛冶を継いだ昔の女である竜子は、失踪した父拓馬の後妻になっていて、
かつて祖父が旅人の即身仏を手伝ったという氷室が放つ怪しげな空気
即身仏を一目見ようと企む人たちの陰謀
竜子にたいする騎寅の思い。
即身仏なんて修行の成り果てがあるのね。
騎寅の行動が結構あいまいに書かれているので
ぼんやり推理しながら読む感じ。
ネタバレは騎寅は殺人犯してそのまま死んでしまいーの
死人の状態で竜子に会いに山形に行きーの
氷室には即身仏なんていなくて
竜子が護衛のために殺してしまった拓馬の死体がありーの。
祖父の存在が不思議だけど彼も死んでたってことかな?
著者ってこんな話も書くのかーって感じ。
確かに、ホラー要素ありの恋愛ものといえば恋愛だ)^o^(