【感想・ネタバレ】日本の難点のレビュー

あらすじ

現代とは「社会の底が抜けた時代」である。相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の本は初めて。人間関係や教育、日本の社会や民主主義について章立てして著者の考えを述べています。
関心を惹かれる部分は多かったですが、まずは日本の民主主義について書かれた中での”民主主義の不可避性と不可能性”の部分が印象に残りました。
単語の概念が難しい(ここに限らず…)ですが、”民主的決定であれば正しいということはあり得ないし社会の複雑化に伴って益々あり得なくなる。かといって、一部のエリートに任せてもうまくいくわけでもない。そうなると民主的決定に任せるしかなくなる。” ”この状況を何とかするには、民主的なプロセスで「様子を見る」→そこでの社会学的啓蒙を通じて民主主義を社会的なものにしていく他ない” と。この後半部分は具体的にはイメージしにくいですが、別の個所でこうも述べています。
”社会には移ろいやすい庶民感覚や生活感覚をあてにしてはいけない領域があり、感情的反応から中立的な長い歴史の蓄積を参照できる専門家をあてにすべき領域が確実に存在し(例示で司法制度)、その領域を毀損すると庶民感覚や生活感覚に従う「市民政治」自体が疑念の対象になる。”
この辺りを読んでいて思い出したのは、トクヴィルが150年以上前に主張した民主主義に拙速さを求めるべきではないということ。恐らく日本でしばしば耳にする、”参議院廃止”や”政治にも企業なみの意思決定速度を”などは、個人的にはやはり少々危険な気がします。

他にも、国家(行政)は、”個人の自立”ではなく”社会の自立”を促すべきとの主張や、子育てに関する興味深い主張が展開されています。

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2014年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全体を5章に分けて、それぞれの分野での社会学的な知見を”躊躇せず”書き下ろした一冊です。
かなりディープな領域まで行ってて、門外漢な自分にはbeyond understandingな点ばかり。。。

日本における「社会的包摂」を高めるためには、地域の近接性を軸にした「みんな」への「価値コミットメント」が必要だというのが、一つの大きな主張であったように考えます。
自分の思う方向性といい具合に一致したのがちょっと感動でした。

同時に、まだまだ全然知らない世界があるんだなと痛感させられた一冊でもあったわけで、自分の学をどのように修めていくのかも大いに悩まされます。

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2013年08月10日

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