あらすじ
「戦く」から「お腹」「凹む」、さらに「GW」や、絵文字まで全て「訓読み」が可能。かくも幅広い訓読みの世界を具体例とともに見てゆき、日本語の面白さを「再発見」する。
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Posted by ブクログ
日本語は同じ漢字文化圏の中でも訓読みを発達させた点で朝鮮語やベトナム語とは特異な位置にある。本書はその訓読みの様相を多方面から論じ、日本語における訓の多様性、面白さを存分に紹介している。同時に他言語における「訓読み現象」にも言及して興味深い。ただ、訓読みを問題にする場合、やはりその「功」だけでなく「罪」についても、もう少しつっこんだ議論があってもいいのではないか。専門用語と訓読みではおそらく鈴木孝夫氏を意識して、その利点をあげてはいるが、訓と音とのずれ、問題点にはついてはふれない。同訓異字もそうで、「はやい」を「早い」と「速い」に書き分ける場合、「早口言葉」は例外的というが、「速い」は「速度」の連想か、「はやく、はやく」「はやく来て」の場合「速く」は使いづらい。つまり、かなりハヤイ場合にしか使えないような気がする。もちろん著者も訓の問題点についてふれてはいるが、それは本来中国語を書くために存在した漢字を日本語に適用しようとしたことからきているというような議論にはもっていかない。それより著者としては「訓」の魅力の方を知ってほしかったのだろう。