あらすじ
高校入学を機に、琵琶湖畔の街・石走にある日出本家にやって来た日出涼介。本家の跡継ぎとしてお城の本丸御殿に住まう淡十郎の“ナチュラルボーン殿様”な言動にふりまわされる日々が始まった。実は、日出家は琵琶湖から特殊な力を授かった一族。日出家のライバルで、同様に特殊な「力」をもつ棗家の長男・棗広海と、涼介、淡十郎が同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がる……!
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Posted by ブクログ
しゅららぼん、読み出したときは「思い出したように、店を開いている」街に来た主人公と一緒に、冒険が始まるワクワク感にとらわれた。こんなことは久しぶり。RPGのような。
滋賀の琵琶湖が舞台。湖の民。珍しいよね。
(成瀬・・・があるので今は珍しくないかも。)
以下はお気に入りの文の引用です。
「必要以上に持ち上げられた場合には、バランスを保持しておかなければ、という気持ち」
「ちゃんと観察している自分がとても嫌である。」
「城から舟でドンブラコとやってくる。どう見ても普通じゃない。」
「レッツ、ご神水タイムよ」
「本当に何もないな琵琶湖、と唐突に感じられた。」
「その顛末を、馬鹿馬鹿しいとは、僕は決して思わない。」
「世の中には、出そうとしても出せない、そして本人だけがわからない音に溢れている」
Posted by ブクログ
再読です。「鴨川ホルモー」「プリンセス・トヨトミ」「鹿男あをによし」を再読したからには、「しゅららぼんも再読せねばならぬ」という強い意志を持って、本棚に向かった結果、この「しゅららぼん」と「とっぴんぱらりの風太郎」を手に戻った私でしたが、やはり「風太郎」は(私の中では)重いので、当初の目的通り「しゅららぼん」を再読するに至りました。
読み始めてビックリしました。内容を全く覚えていなかった・・・初読みした時の私はどうかしてたのだろうかと思うほど、覚えていなかったのです。例えば、就職したてで、学生時代が懐かしく、淋しく、心が病んでいたとか、夫単身赴任中で、幼子二人抱えて復職して心が病んでいたとか、転職して新しい環境に馴染めずに心が病んでいたとか・・・真実はわかりませんが、とにかく初読みのように新鮮な気持ち読めました。読み進めるうちに朧げに思い出したことは、「そういえば竹生島に行ってみたいと思ったな」ということと、白馬にまたがる清子と思しき女性の(自分の心に浮かんだ)絵だけでした。
なんでしょう、この「しゅららぼん」も万城目ワールドに違いないのだけれど、先述した3つとは少し違う感じがするのは私だけでしょうか。特別な力を持つ「湖の民」って、なんか本当に大昔に存在してそうです。そしてその力が消えつつあるというのも妙に万城目ワールドとしては現実的です。だからなのか、京都・大坂・奈良ときて、滋賀だからなのか、今回の再読まで少し影の薄い存在でしたが、さすが、面白かったです。結構大変な宿命を背負っているのに、ちょっとおとぼけの主人公涼介と、「いや、高校生にしては色々と悟りすぎやろ」、と思うくらいどっしりとしたナチュラルボーンの殿様、淡十郎とのちぐはぐ感が良かったです。涼介の心の内は等身大の高校生で、クスッと笑わされるところは万城目作品あるあるでした。
わりと分厚い本なので、序章ではないんでしょうが、物語が進み始めるまで少し長く感じますが、話が進むにつれて、涼介たちが背負う宿命、不毛な争いがどう落ち着くのか目が離せなくなってきます。そこにまさかの展開が。日出家と棗家を石走から追い出そうとする強力な力の持ち主が判明してから、棗広海の決断と秘術の決行まで、なんと切ない時間だったでしょう。こんなにも切ない物語だったかしらとやはり初読みの記憶は戻らず、新鮮な気持ちで切なくなりました。やはり神から与えられた力など人間には不要なのでしょうか。切なすぎて、棗広海の秘術で、両家の力なんて消えてしまえばいいのに、と思ってしまいましたが、そうなってしまっては、なんだかな~ですが。
というか、先代、ひどいでしょ。自分の研究のため、自分たち一族のためといって、人ひとりの人生を変えちゃってるじゃないですか。先代がいけないですね、ホントに。
この両家の力が、少し理解しづらかったです。後出しじゃんけんのように、清子はあれができるとか、広海はすごい強い力を持ってるなどとわかってくるし、両家の力を合わせるともうなんでもできるような気がして、「え、そんなこともできるん?」と少し置いてけぼりになりました。
結局、これでまた湖の民が減ったということですよね・・・
事件(?)が終わってからの少し物悲しい時間を過ごす淡十郎と涼介に起こる、ラストシーンは素敵でした。
少し長いですが、やはり楽しいです、万城目ワールド。琵琶湖か~、いいところに目をつけたな~、ッカ~!と思いました。
Posted by ブクログ
タイトルからどんな話か全然わからなかったけど、なかなか面白かった。
たんじゅうろうのキャラは大丈夫か?と最初思ったけど、終わってみればとても愛らしい奴でした。
青春ありファンタジーありという感じ。ただ、あんなに分厚さが必要だったかな、、とも感じました。
とは言え、読後感も悪くなかったのでよかったと思う。