あらすじ
野村絹枝の背中に蠢(うごめ)く大蛇の刺青。艶美(えんび)な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。それは胴体のない密室殺人だった――。謎が謎を呼ぶ事件を解決するため、怜悧にして華麗なる名探偵・神津恭介(かみづきょうすけ)が立ち上がる! 江戸川乱歩が絶賛したデビュー作であると同時に、神津恭介の初登場作。
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Posted by ブクログ
たぶんお初の方の作品。神津恭介の名前は知っていたものの、作品をきちんと読むのは今回が初めてだった。戦後まもなくという混沌とした時代に、刺青というアングラな存在に翻弄された人たちを描くミステリ。文章がとても読みやすく、かつそこまでグロテスクでもない。密室はあるもののそこまで難しいネタではないため、誰でも読めそうな印象を受けた。犯人は何となく分かったものの、トリックや関係者までは分からなかったが、なるほどと思わせる展開がとても上手だと思った。機会があれば他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
背中に刺青がある双子と言う事でほぼ想定通りだったかな。でも、細かい部分のトリック(特に密室)は分からなかったです。逆に外部で殺害して分割して狭い窓から中に入れたパターンかと思った。
最初、珠枝の写真を加工したかと思ったがそもそも珠枝(の脚)には刺青が無かったのね。そう言って珠枝の描写に戻って読み返すと確かに、際どいけど脚に刺青があるとまでは書いてありませんでした。
また、絹枝な死を想定させる描写(冒頭)や銭湯のシーンも微妙にぼかして書いてありますね。
文章は古典なのに読みやすかったです。ただ、技術が当時のものなのでリアリティラインの線引は難しいかもしれません。