【感想・ネタバレ】遅れてきた青年のレビュー

あらすじ

地方の一山村に生れ育ち、陛下の勇敢な兵士として死をえらびえた筈の、あの戦争に間に合うことが出来なかった一人の野心的な青年が、やがて都会に出て、外面的には社会的な成功を充分にかちえていながらも、その内面においては、限りない絶望感と失落感にさいなまれざるを得ない、言わば現代の「赤と黒」的な主題を中心に、戦後世代に共通する体験を描出する、半自叙伝的小説。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

大江健三郎の描く戦後文学は、戦後生まれの僕達にとって、もはや神話である。
鬱屈した自意識過剰な主人公。
19世紀西洋小説的。
ロマン・ロラン的。
文庫本あとがきによると、大江健三郎自身が終戦当時、そのような感慨を抱いていたらしいが、この長編は、第2次世界大戦の戦線に立つのに”遅れた”という意識を持つ青年が主人公であるところが、戦争を全く知らない僕には興味深い。
ある意味、必然的でない後半の犯罪が、小説に影を彩る。

0
2019年11月27日

「エッセイ・紀行」ランキング