【感想・ネタバレ】オムニセクシュアル ジェフ・ライマン傑作選(オムニフィクション)のレビュー

あらすじ

[海外SF叢書《オムニフィクション》第1回配本]

世界は受精する――武器を妊娠する女、他人の子を孕んだ男。
記憶と歓び、土地の痛み、肉塊から抉り出される濡れた希望の物語。
ポストコロニアルSFの最高傑作「征たれざる国」「ポル・ポトの美しい娘」が蘇る。さらに「バース・デイズ」「影たちは笑う」ほか多彩な作品を厳選する日本オリジナル傑作選。

◇ ◇ ◇

故郷を追われた少女は、子宮で育てた武器を売って暮らす。泣き声をあげる生きた家、生物兵器、凄惨な強制移住。生の極限を幻想的にえがく傑作中篇の増補版「征たれざる国――ある一代記」。
亡霊の憑いたプリンタが、死者の写真を出力する。携帯電話、テレビ、ロボット犬が、亡きひとの声で語りだす。娘の物語が土地の傷を照らす「ポル・ポトの美しい娘」。
精子同士の受精に成功し、腸にあまたの子を宿す男性たちの魅惑の楽園がひらかれる「バース・デイズ」。
単為生殖の女性だけが住む静かな島で、訪問者が独善的な恋をする「影たちは笑う」。
地動説派と天動説派の対立する諜報の場に若きシェイクスピアがもし居合わせたら、彼はSF戯曲を書いたのか。奇想天外な歴史改変もの「ロザリオとゴールデンスター」。
民族対立と歴史的トラウマの刻み込まれた運命に抗う家族の物語「ぼくたちが見つけたもの」。
ほか初期から後期にいたるまでのライマンの傑作を選りすぐった全9篇。

◇ ◇ ◇

わたしたちは駆け抜けねばならない。
みずみずしくも血生臭い皮膚、まなざし、言葉、臓腑、粘ついた呼吸、とめどなく何かのあふれる身体が無数の脚で踊りつづけるところまで。

[あらゆる身体に捧ぐ 海外SF叢書《オムニフィクション》全6巻]

「今、ここに、わたしの身体と心の置き場所がなくても、SFの中にはいつもあった」——池澤春菜

「いずれも楽しみな作品ばかり。まさに期待値マックスなシリーズで、どの作品から読むべきか、悩んでしまう」——小川公代

「役者は揃った、再び未来を始めよう」——伴名練

◇ ◇ ◇

*『オムニセクシュアル ジェフ・ライマン傑作選』
ジェフ・ライマン 著 鯨井久志 編訳 中村融・古沢嘉通 訳

*『あなたが辿りつけない時間 夏笳自薦作品集』
夏笳 著 立原透耶・上原かおり 訳

*『世界の壁をのぼって』
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著 小野田和子 訳

*『わたしの死 リサ・タトル怪奇SF選』
リサ・タトル 著 若島正 編訳 堀川夢・戸田由美子・幹遙子 訳

*『花咲くフベアの下で』
アンヘリカ・ゴロディシェル 著 宮﨑真紀 訳

*『母親とその他の怪物』
モーリーン・F・マクヒュー 著 小澤身和子・岸本佐知子・柴田元幸 訳

◇ ◇ ◇

装幀=大倉真一郎

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あらゆる身体に捧ぐ、、と銘打たれているのに惹かれざるを得なかった
SFであり幻想小説も沢山あって面白かった

好きだったのは、
「オムニセクシャル」ちょっとソローキンみを感じた?
男は世界を愛した。とうとう、ようやくにして折り合いをつけたのだ。精液が千のまぶたの下から噴き出してきて、目を焦がした。それはウツボの口から、多くの肛門から、たくさんの性器から流れだし、月光の色をした飛び跳ねる合唱となった。陰嚢がつぎつぎと破裂した。ちょうどケシの実のように。男はもはや男性ではなかった。みずからの血と汗と性液の池のなかで眠った。(p.87)

「ポル・ポトの美しい娘」
画面には名前も番号も出ていない。
「おめでとう、愛する娘や」温かく親切そうな声がした。
「どなた?」セットは訊いた。可能性は極めて限られていた。
「おまえのあたらしい父親だよ」と、コル・ヴィリエクボッは言った。風の音がする。「おまえを養女にしたんだ」
百万もの声がいっせいに言った。「われわれはおまえを幼女にしたんだ」(p.152)
こういう贖罪の形があるのなら、と願ってしまう物語だった。

「征たれざる国ーある一代記」一番好きだった
必死に懸命に生きて、恋をして、理不尽に失って、それでも生きて、生きて…最後霊魂となって関わった人と再会しながら天に還っていく場面が圧巻

「ぼくたちが見つけたもの」
SF的なものと、人間的な歴史がうまく絡み合った作品で、上手いなあ〜と

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2026年10月24日

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