あらすじ
議題 検証・中田英寿という生き方
サッカー界の重要テーマを多士済々の論客に論じていただく『フットボールサミット』第2回目の議題は「中田英寿という生き方」です。
近年海外で成功した日本人選手の筆頭とも言える彼は、もじどおり日本代表でも別格の存在として数々の功績を残してきました。彼の存在なくして日本の躍進はなかったと言えます。
一方、突出した存在であるがゆえ、その言動にはサッカーファン、メディア関係者などからは
賛否両論が渦巻いていました。それこそがスター選手の証ですが、引退から4年以上がたったいまだからこそ、彼をアンタッチャブルな存在として敬遠するのではなく、冷静に客観的に、彼が
日本サッカー界にもたらしたこと、そして日本社会における彼の存在意義をここでしっかりと検証したいと思います。
また彼の生き方を改めて見つめ直すとともに、ひと握りのサッカー選手以外が直面している現実、つまり、現役時代同様、引退後もハードな生活を送ることが多いサッカー選手のキャリアについて、広く考えるきっかけになればと考えています。
『フットボールサミット』議長 森哲也
拝啓、中田英寿様
あなたはどこに行くのか?
大泉実成
中田英寿という生き方
「偏屈者」と呼ばれしサッカー界のトリックスター
大泉実成
背番号7は本当に異分子だったのか?
藤田俊哉が語る中田英寿というフットボーラー
元川悦子
松田直樹という生き方
魂のフットボーラーが語る過去・現在・未来と中田英寿
宇都宮徹壱
日本サッカー界がいまこそ中田英寿から学ぶべきこと
「嫌儲」思想からの脱却と社会的な視野の導入を
岡田康宏
NAKATAビジネスの正体
社会学の見地から中田英寿を読み解く
木村元彦
中田英寿とメディア
選手とマスコミの幸福な関係とは?
小澤一郎
TAKE ACTIONとは何か?
大いなる理想の前に立ちはだかる壁
大泉実成
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「フットボールサミット」は読み応えあるシリーズが多い。
この号は引退後の中田を中田をよく知る人物たちから紐解く一冊。
TAKE ACTIONとサッカー協会との関係は興味深い。
Posted by ブクログ
引退して4年以上経つのにも関わらず、未だに世間の関心を惹き付ける中田英寿の魅力はなんだろうか?
日本はこの答えを永遠に求め、永遠に探し続けるのかもしれない。
なぜなら中田英寿の生き方は、どこまでもロジカルだから。世間体に重きを置く日本人には、常に社会性で生きている彼の論理はわからないのだろう。
(鴻上尚史さんの「空気と世間」という名著が中田英寿の人物像を理解するのに最もわかりやすいと思う)
不器用でこだわりが強い。
目的意識がやたらと高い。
その上賢くてロジカルモンスターとくれば日本の大衆、そしてマスコミにとっては理解しにくい存在だろう。
ただそれだけであったら、マスコミに叩かれて終わったかもしれない。
しかし彼には日本人の想像を超えるだけの力が常にあった。
サッカーで成功する力。
個人としてのブランドを確立する力。
旅人として生きているだけの財力を蓄えた力。
そして今は多くの人を助ける力。
多くの中田英寿本が世の中に出ているが、引退後の彼とその活動を含めた姿を客観的に捉えようとしているこの本は興味深かった。
特にTake Actionの活動が日本サッカー協会ともめている件に関しては、「空気と世間」の対立構図と同じような気がしてならない。
この件に関して今後の中田の打つ手がひじょうに興味深い。
彼のこだわりは軋轢を生むのか、それともその理想が協会を動かすのか?
インタビューに関しては、本人はもちろん、彼に近い選手や指導者または所属事務所の声があったらおもしろいに決まっているが、それはきっと彼が達観する頃、もしくはかなりおじいさんなってからしかありえない話なのだろう。
彼がまだ人生のバリバリ現役である限り、その企画は実現しない気がする。
他におもしろいと感じた点は、サッカー界に潜む陰に中田が既に気付いていてアクションを起こそうとしている点。
選手のセカンドキャリアやステータスなどJリーグの今後の鍵を握るテーマがいくつか見え隠れしている。
次回の中田特集が実現するとき、中田英寿がその改善策に関わっている事を願いたい。
日本サッカー協会には、中田英寿という人物を使いこなせるぐらいの度量が欲しい。
彼以上の度量のある組織、バックボーンがないと、日本は世界で次のレベルへ行けないだろう。
本人のインタビューがないなどいくらでも突っ込みどころのある一冊と言えばそうだが、企画の趣旨とサッカーを真剣に考える志と、数多くある現在のサッカー協会などの問題点を示唆した点で、高く評価したい一冊。
読み手の感性とサッカーの知識が重要だろう。
でないと低く評価しまいがちな一冊。
Posted by ブクログ
面白かった。ただ、この本は基本的に中田に接触できた数少ない人物の証言であることを差し引いて考えなければならない。つまりこの「数少ない人物」は、今後も中田に嫌われない限り中田という存在を通して今後もメリット(金銭等)があるかもしれないということである。つまり中田の悪いことをいって得することは何ひとつないということである。この本自体は、試みは良いし内容もよかった。一方でもっと中田のダメな部分、ダメだと世間から思われている部分も具体的にあげ、それに対する意見も並列でのせれば信頼が増しただけに惜しい。