【感想・ネタバレ】泣き虫しょったんの奇跡 完全版 サラリーマンから将棋のプロへのレビュー

あらすじ

中学選抜選手権で優勝した男は、年齢制限のため26歳にしてプロ棋士の夢を断たれた。将棋と縁を切った彼は、いかにして絶望から這い上がり、将棋を再開したか。アマ名人戦優勝など活躍後、彼を支えた人たちと一緒に将棋界に起こした奇跡。生い立ちから決戦まで秘話満載。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

あまり将棋界のことは詳しくはないのですが、それでもこの本を読んで良かったなと思わせられました。幼い頃からプロの棋士になることを夢見て、人生のほとんどを将棋に費やしてきた男の葛藤、奇妙な縁、奇跡が描かれていました。何事にも勝負は付き物で、勝っても負けても人生は続いていく。勝負の世界の残酷さと共に、研鑽に励むことの楽しさも伝えられていたように思います。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

プロ棋士になるための奨励会に入ったが年齢制限のために退会することになり、会社員として働いていた瀬川晶司さんが失意から夢を取り戻し、プロ編入試験に合格するまでのお話。

当時プロ編入試験で棋士になったのは、1944年に特例で受けられた花村元司九段しかいなかった。
制度化もされておらず、奨励会で三段リーグを勝ち残った人だけがなれる世界だったんだけど、年齢制限という大きな壁があり今までも沢山のドラマが生まれてきた世界。

この本にも三段リーグだけではなく、色んなドラマがあって何回か涙ぐんでしまう場面だったり、「えっ⁉︎」って思わず声を出してしまうシーンもあった。
そして、何より夢を追いかけていく姿に感動。

私でも知ってるような有名な棋士の方たちが沢山出てきて、その方たちのエピソードも面白かった。

将棋を知らない人でも十分楽しめると思うし、他の将棋の本もまた読みたくなったよ。

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2021年11月23日

Posted by ブクログ

大好きな豊田利晃が捕まって、私は見よう見ようと思っていたしょったんの映画を見ていなくて、まだ見れそうにないので買ってみた。これが豊田利晃が惚れ込んだだけあって面白い。こんな映画の脚本のような実話があるのか。物語の動きもさることながら、どのように書かれたのか分からないが、始めから終わりまで瑞々しく爽やかで素直に読める素晴らしい文体。感服した。しかしまあ挫折を描いてはいるのだが、生まれ育ちから周りの環境にはものすごく恵まれていると言えるだろう。それでもこれだけ苦労する。これだけ恵まれてないとドラマにならないということなのだなあとは思う。

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2019年04月25日

Posted by ブクログ

サラリーマンからプロ棋士になった瀬川プロの人生が描かれている。
感動する場面が多く、読んで良かったと思える小説。
奨励会を題材にした『将棋の子』とも通ずるところがあり、良かった。
父の「やりたいことをやれ。すきなことだから、苦労にも耐えられるんだ」という言葉には、周りに流さればかりの自分はハッとさせられた。

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2019年02月10日

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フィクションかと思ったらノンフィクションでした。
それくらいドラマティックな展開。

「好きなことを仕事にする」

好きなことを仕事にするからといって楽しいことばっかりではなくて、苦しいこと・辛いことがたくさんある。
好きなことが嫌いになりそうになる。

夢を叶えた人の現実は、希望を与えるのか奪うのか楽しみに拝読ください。

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2018年10月16日

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本書は、先月公開された映画の原作でもある、現役プロ棋士の瀬川五段による自伝です。
中学生棋士誕生で注目される将棋界。プロになるには奨励会という年齢制限もある狭き門を突破しなければならない。その過酷さはあまり知られていません。
「勉強も運動も冴えなかった僕」が、挫折し、もがき苦しみながら好きな道を進み、恩師や仲間の大きな後押しを受け、将棋界を動かした嘘のような実話です。

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2018年10月09日

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26歳までに奨励会で4段にならないとプロの道が閉ざされる将棋界。一度はあきらめた棋士になる夢を、35歳にしてかなえた瀬川さんの奇跡の物語。
彼を支えた両親、友人、恩師とのエピソードなど、実話とは思えない感動のストーリーです。それに、瀬川さんの文章は棋士とは思えないほど、うますぎ!今年の80冊目にして、最高の1冊です。

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2018年09月30日

Posted by ブクログ

私は将棋好きが高じこの本に辿り着いた 瀬川さんの静かな闘争心を文章から感じ取る事が出来て見方が変わった 挫折を繰り返してそれでも頑張っている人達に是非読んでほしい 私は将棋好きなので奨励会のシステムや空気などが入り込んできやすかった しかし心配はいらない瀬川さんの文章力は凄い 将棋を知らない人にも薦めたい一冊である

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2018年08月06日

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ネタバレ

一度はプロの道を挫折し、プレイヤーでありながら将棋会の絶対的なルールを変え、アマチュアからプロに編入した棋士の回想録。見えない未来と走り続ける胆力。プロの厳しさを思い知らされる日々。それを支えてくれるたくさんの思いやり。自分の甘さに打ち勝つ力。様々な人間関係の中で筆者が感じたことが率直に述べられている。どんなに輝いている人にも闇を抱えていると思うが、その気持ちを晴らしてくれる一冊。今の自分を作ってくれた周りの方々への感謝を思い出させてくれます。

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2018年05月20日

Posted by ブクログ

すごく読みやすくて一気に読めました。

飾り気ない言葉で書かれているので
素直な気持ちで読むことができました。

最初にタオルケットを手放さなかった
子供時代のエピソードが出てきましたが
自分もそうだったので親近感が湧きました。

これからの活躍に期待したいと思います。

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2012年07月15日

Posted by ブクログ

この本は、今は無き「たなぞう」の感想から知り、読んでみたいと思った本であった。
読み終えてこの満足感。ノンフィクションで久しぶりに心がぐぐっと動かされました。
プロ棋士を目指していた瀬川晶司さんの半生。
いったんは奨励会を退会したものの、紆余曲折を経てプロ棋士になることができた過程が書かれている。
生い立ちを読むだけでもすでに面白い。
さらにその時々で出会い、人生を左右することなった人たちの話に感動があふれてくる。
小学校の恩師の言葉、教え子を見つめ導くやさしさに泣けて泣けてじんとした。
将棋センターの今野さん、ライバル渡辺健弥くん、お父さんの言葉、奨励会の仲間たち。淡々と回想するかたちでかかれているけれど、瀬川さんの文章にそれぞれの人を思い感謝の気持ちでいるのが表れているように思う。
夢への思い、一途な気持ちが瑞々しい。瀬川ファンになった。

プロ棋士になるための奨励会に年齢制限があることは知っていた。
そのため不本意にも退会していく者たちがいること、いかに狭き門であるか。
挫折し、遅れて入った大学、アルバイト、そして就職。
サラリーマンとして生活しながらアマ名人となり、そしてプロへの夢をかなえた。
人生半ばにして経験しているこのドラマチックさが驚きだ。
まさにめったにない奇跡に出会えた喜びに立ち会えたような気持ちになった。
この感動を味わいプロ編入試験合格おめでとう!と思ったあとにも第5章、いまだからいえること、第6章、解説。
思わずうなってしまう沢山のエピソード満載で、この本に出会えて本当に良かった。

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2011年12月23日

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単行本と合わせていったい何回読んだことか。おそらく十回は超えてる。読むたびに涙が出る。大事な大事な一冊。

瀬川さんが、異例のプロ編入試験将棋に合格してプロ棋士になったことは、当時かなり話題になった。この本はそこに至る経緯を述べたものであるけれど、ノンフィクションとして非常に面白いということをはるかに超えて、彼と周囲を取り巻く人たちの生き方に深い感動を覚えずにはいられない。

最初に語られる小学校時代の恩師(という言葉がこれほど似合う人もいないだろう)のエピソードに私はいつもまず泣かされる。試験将棋の初戦に負け、内心深刻な危機に陥っていたセガショーに届くドラえもんの葉書。そこにある短い言葉の何と温かく深いことか。本作を読んで以来、それは私のお守りの言葉となった。

瀬川さんのご両親、将棋センターの今野さん、兄と慕った小野さん…、他にも瀬川さんの周囲には芯の通った大人達がいて、その群像が読みどころでもある。著者の人間観察力の確かさ、洞察力の深さをしみじみ感じる。

文庫版解説で大崎善生さんが次のように書かれている。
「まるで青春小説を読み終えたかのような鮮やかな余韻は、全編に漂うトーンが成功者の物語ではなく、やはりどうしてもぬぐうことのできない挫折感に支配されているからなのかと思う」
これを読んで、なぜこれほど自分が深く心を揺さぶられるのかわかった気がした。そうなのだ。消えることのない挫折感があるからこそ、「今」の重みがある。一度はプロへの道を断たれたセガショーの絶望に心寄せるゆえ、結末が心にしみる。

瀬川さんが、急死したお父さんの眠る墓前に、試験将棋合格を報告するときの言葉がとてもいい。
「好きな道を進むのは大変だったよ。でも、がんばってみて本当に良かった」
気負いのないサラリとした言い方に人柄がにじむ気がする。

この文庫版が出ているのは息子が教えてくれた。彼はあまり本を読まないのだが、気に入ったものはじっくり徹底的に読み倒す(その点、多読速読の私や娘とは全く違うスタイルで、こういう読み方もあるのかと驚く)。本書は数少ない彼のお気に入りの一つで、細かいエピソードや人名に至るまで実によく覚えている。プロになった後のしょったんの様子もずっとネットで追いかけていて、時々教えてくれる。ご多分に漏れず不機嫌な思春期真っ最中の息子だが、しょったんの話をするときは子どもの顔だ。

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2011年09月22日

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奨励会三段からプロになれなかったその苦しみはいかほどか…
そんな中、夢を諦めない強さをこの本から学んだ。

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2010年10月14日

Posted by ブクログ

良かった。人の出会いとか挫折とか挑戦とか、人間にとって普遍的なものが書かれている。著者の人柄があらわれたような、優しくて上手い文章も良い。あの人がいたから今の自分がいるっていうのは、やっぱり胸を打つなあ。

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2010年05月08日

Posted by ブクログ

次どうなる?どういう人生になる?これが途切れることなく数時間で一気に読みました。終盤、胸が熱くなり、込み上げてくる場面がいくつもありました。再挑戦できる世の中、やり直しができる世の中。しくみや制度を変えることで歴史は変わり、救われる人もいれば、立ち直る人もいます。こんな世の中になれば幸せが広がると思います。
読み終えた翌日、藤井聡太棋士が「名人」を獲得し七冠も達成しました。拍手!

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2023年06月02日

Posted by ブクログ

将棋のプロ、棋士になる道は険しい。奨励会と呼ばれる将棋のプロを目指す者がしのぎを削る場所に入会し、そこで勝ち抜いていかなければならない。奨励会には、現在ではたいていの場合、小学生の間に、5級あるいは6級で入会する。その後、4・3・2・1級から初段・二段と昇級・昇段していった先には、最後にして最大の関門である三段リーグがたちはだかる。三段リーグは年に2回開催され、それぞれの上位2名のみが四段、すなわちプロ棋士になれるという仕組みである。すなわち、年に4人しかプロ棋士になれないのである。また年齢条件があり、26歳までにプロになれない者は奨励会を退会しなければならないという決まりがある。
本書の筆者、瀬川晶司は奨励会に入会するが、残念ながら26歳の年齢制限にひっかかり、いったんはプロ棋士の道をあきらめざるを得なくなる。その後、大学に進学し、就職し、アマチュアとして将棋を再開した彼は、アマチュアの世界でのトップ棋士となり、プロとの対局にも大きく勝ち越すようになる。一時はプロとの対戦の勝率が7割を超える状態となる。そのような状態の中、周囲の声にも押され、また、自らも望み、瀬川は将棋連盟に対して、例外的にプロ棋士としての途をつくって欲しいという嘆願書を提出する。その嘆願が通り、瀬川はプロ棋士6人と、3勝以上プロ編入認定という条件で対局を行い、無事に3勝をあげ、プロとなる。
本書は、瀬川の生い立ちからプロ棋士になるまでを自ら綴った物語だ。色々なドラマがあるが、私にとっての一番のドラマは瀬川の三段リーグ挑戦と挫折だ。26歳になるまで、ある意味で、将棋に人生を賭けてきた者が、その賭けに敗れる。これはかなり残酷だ。
瀬川の人柄か、三段リーグでの挫折以外の部分は、ほとんど暗さや悲壮感を感じない本。爽やかな読後感がある。

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2021年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私なら夢を諦め、安定した職について平凡に過ごすだろうと思うけど(現に今そんな生活を送っている)、
瀬川さんは挫折しかけた小さい頃の夢を諦めず、プロの棋士として活躍されている。

先生やお父さん、棋士仲間たちがいたから瀬川さんの夢が叶ったのもあると思うが、
お父さんの言っていた好きなことを選びなさい、好きなことを仕事にしなさい、という言葉通りに意思を貫き夢を実現したことは本当にすごいことだと思うし、とても感動した。

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2021年03月24日

Posted by ブクログ

奨励会の厳しい年齢制限。26歳までに4段に昇給しなければ、プロ棋士になる道は完全に閉ざされる。
青春と情熱のすべてを将棋に注いだ若者にとって、その恐怖と絶望がいかほどのものか。想像するだけでも恐ろしい。
そんな将棋界に、アマチュアからプロ棋士になり、異例の「プロ編入制度」足掛かりを築いた、瀬川棋士の自伝。

瀬川棋士のプロへの軌跡と、諦めずに進んでいけば、必ず夢は叶うというメッセージが詰まった1冊です。
瀬川さんを含めて素敵な登場人物がたくさん。
子どものやりたいこと、好きなことを応援し、見守ってくれた両親。時び厳しくも励ましてくれた兄たち。
すこし風変りだけれど等身大の子どもの姿を見続けてたくさん褒めてくれた小学校の先生。
そして不思議な絆で繋がった奨励会の仲間たち。

中でも今私が子どもと関わる仕事をしているからこそ余計に感じるのかもしれないけれど、小学生の先生の子どもたちへ与える影響の大きさは計り知れないですね。
本当に素敵な先生ですね。良いところを見つけて褒める、ってすごく大事。

「好きなことを仕事にする」とは、奇跡のような素晴らしいことで、とても自由で、同時に強く自己責任が求められる厳しい世界。
あとがきの時点では、プロ編入制度へ挑戦した人が4名いたけれど、厳しい条件を前にプロ入りは叶わなかった。そこから11年経った今、その制度を使ってプロになった人が4名いることが調べてみたらわかった。

条件も厳しく、間違いなく高いハードルであると思うけれど、瀬川さんたちが巻き起こした革命は、年齢制限で諦めずにプロになれた棋士を誕生させたんだ、と思うと
胸が熱くなりますね。

読書感想文などの課題図書に選ばれるのも納得の素敵な1冊でした。

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2020年05月30日

Posted by ブクログ

数週間前(8月末)、NHKの「ごごナマ」という番組のゲストに、この本の映画で主演した松田龍平さんが登場した。ちょうどこの本を読んでみようかと気になっていたところだったので番組を見ていたら、なんと著者の瀬川さんも登場。

なんて優しそうな人……。私はそれまで、プロ棋士というとなんとなくシャープで冷たい印象を抱いていたのだが、瀬川さんはあたたかくて、親近感すらわいた。この人なら将棋を優しく教えてくれそう。実際、番組で優しく解説してくれていた。

そして本を買ってきて読んでみた。
瀬川さんは文才もあるようで、まるで小説、するすると読めてしまう。
これまで将棋とは無縁の生活を送ってきた私にもわかりやすく、将棋の世界が少し身近に感じられるようになった。
新聞で目にする将棋の記事の中に、この本に登場した人の名前を見つけると「あ、あの人だ!」とちょっとうれしくなったりもして。

読んで良かった。
やっぱり何事も「楽しい」と思えることが一番。
プロ棋士の卵たちを、心から応援します!

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2018年09月13日

Posted by ブクログ

プロ編入テストを受けてプロ棋士になった瀬川晶司の自伝。

・三兄弟の末っ子で、文字通り泣き虫で次男からいじめられてた幼少時代
・将棋を始めて自信を持つようになる小学生時代
・すぐに同級生のライバル(渡辺健弥;のちのアマ竜王)を見つけて切磋琢磨して中学生名人になる中学生時代
・奨励会時代の甘くも苦い思い出
・25歳制限でプロへの道を閉ざされ神大二部に入って学生生活を謳歌しながらも将棋を忘れずにアマチュア棋戦に出場するようになる
・NECの子会社に入ってサラリーマン生活を過ごすも、銀河戦その他でプロに7割以上の勝率を上げて嘆願書を提出し、3勝してプロになる
・プロ棋士になって苦戦するも、無事フリークラスを脱出し晴れてC級2組に昇級。

どこを切っても面白かったけど、やはり波乱万丈で最終的にプロ棋士になれたところが一番ですね。
なのでプロ入り6番勝負のところはもう少し詳しく読みたかった。
プロ入り後に十分な活躍ができてないのは、本人も書いてたけど、それが実力ってことなんでしょう。

それでもアマからプロへの道を花村九段以来60年ぶりに開けて、将棋史には名前を残したわけだから、今後も頑張ってほしいです。

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2017年10月08日

Posted by ブクログ

実話に基づいた内容なのに、単調にならず、将棋のプロへの道の厳しさや本当にごく一握りの人しかプロになれないこと、今名人をとっている人がどれだけすごいかなどが伝わってきて面白かったです。将棋は久しくやっていなかったのですが、いろいろと見るようになりました。

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2010年06月12日

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