【感想・ネタバレ】事業創造のロジック ダントツのビジネスを発想するのレビュー

あらすじ

競争戦略やビジネスモデルの理論や手法をクリエイティブに使いこなすための「考える力」を磨く――。それが本書のメインテーマです。経営学を学んだことがない人でも読み進められるように、経営学が教える基本を示しながら、基本を超えていくためのヒントを提示します。わかりやすい事例を分析しながら、ビジネスモデルの設計や革新に役立つヒントをふんだんに紹介します。

ビジネスモデルは「頭の中にある理想」であって、現実は「矛盾だらけ、制約だらけ」です。経営者が思っている通りに人は動きません。あるいは経営者の言っている通りにするとうまくいかないから、現場が工夫して、経営者が意図したビジネスモデル通りではないことをしている場合もあります。そういう現実の中を進んでいくためには、ビジネスモデルに埋め込むロジックに「できの良さ」が求められます。王道を行くか、クレイジーになるか。ダントツ企業の選択を紹介します。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

[読んだ理由]==================
新聞の書籍紹介コーナーにあって興味をもった。「定石を超えた独創的なビジネスモデルを構築した企業の経営方針をわかりやすく解説」という所が気になった。


[読んだ後の感想]==============
独創的な企業の例が色々と挙げられているけど、単発の紹介で終わるのではなくて、それを単なる偶然としてではなく、論理的な理由を持って説明してくれてるので、参考になった。


■出発点
・ビジネスモデルは「理想・意図」、対してビジネスシステムは「現実」。
 前者は整合性を志向するが、後者は常に不整合な部分を含んでいる。
 この不整合を如何に手直しし続けるかが、事業を進化させるという事。

・ビジネスモデル設計の出発点は「戦略モデル」。
 「顧客にとっての価値を高める」と、
 「競合との競争に持続的に勝てる」の2つを必須事項にして組み立てる。

■因果関係
・ターゲット/顧客を決めないビジネスモデル設計は有り得ない。
 やろうとしてるビジネスの「顧客は誰か」がはっきりしなければ、
 例えば5force分析時の「業界」も、厳密な線引きが出来ない。

・ビジネスのロジックは、筋が通っていなければ破綻する。
 その点、玉子屋のロジックは合理性が高い。
 「こうすれば、こうなる」という因果関係が上手く組み込まれている。

・企業は、ターゲット顧客を設定し、その顧客に大きなインパクトを与える点を持ち、
 劣る点が有ったとしても大きなマイナスを与えないようにするべき。
 後者については「グッドイナフ=十分満足」という評価を得られれば良い。

・経済性原理にはそれなりの一般性があるから、
 経済性原理を意識しておくと、ビジネスモデルを設計する時には参考になる。
 しかし意識し過ぎると戦略が縛られて、誰でも思いつく発想をする事になる。
 寧ろ例外を追求する戦略を取るほうが、大きな成功に繋がりやすい。

■妥当性と正当性
・新しいビジネスモデルは仮説に満ちている。
 そのモデルが実現する=「できる」と思えるかは「仮説(コンテキスト)」次第。

・2種類のコンテキスト
 1.妥当性:ビジネスモデルに現実性が有るかどうか。
   4つのポイント(価値、隔離、価値と隔離の連結、収益性)でチェック
 2.正当性:ビジネスに関係するステークホルダー(顧客や株主、従業員、取引先)
   にとって、「このビジネスは正しい」と感じられるかどうか。

・仮説/コンテキストが大胆であれば有るほど、
 なかなか成立しないかもしれないが、その分、追随してくるライバルは少ない。
 そういうリスクを取るかどうかを判断しなければならない。

■模倣困難性
・強い会社を分析して、何か参考にできることを見つけるときには、
 全体を見る事も重要だが、強く繋がっている部分を捉えることも重要。

・強い会社は、部分ではなく、全体の「システム」としての優位性が有る。
 部分だけを模倣しても意味が無い、システム全体を模倣する事はできない、
 しかし「部分システム」を真似ることは可能。

・部分システムを分析/提案する時は、差別化システムは「差別化」から書いていく。
 そして、それを支えている活動や資源は何か、と遡る順序で分析する。
 (差別化に結びつかない資源は、分析しても意味が無い)

・差別化システム論:
 資源と差別化のあいだに「活動」というレイヤーを加える。
 資源と差別化の直接的な繋がりを否定し、「活動」というレイヤーを加えて考える。
 資源は活動の手段でしかない。「活動」を如何に習慣化するか、が重要。

■発展性
・ビジネスは、やることによってますます強くなっていくようにする事が重要。
 同じようなことを繰り返しているようで、実は毎年良くなっている、
 そういう自己強化の構造を作り上げていくことが重要。

・自分がどういう自己強化のループを回したいか、意識化する必要がある。
 「どうすれば会社は良くなっていくか」の確信の共有。
 仕組みが強くなると成果が上がる。結果が出る事で確信が深まり、自己強化が進む。


[備忘録]======================


■第一部:出発点


■第二部:因果関係
一般的に弁当屋さんというのは何種類ものメニューを用意しているのが普通です。1品に絞るという考え方はふつうじゃない。その「常識」に挑むことで、玉子屋は成功しているわけです。

目先の競争に勝とうとする会社は、コストを下げたら価格を下げてお客さんを増やそうと考える。玉子屋はそうではなくて、コストを下げた文を食材に還元して質で勝負することにしたわけです。

「良い物をより安く」ということを素朴に追求する。そして、お客さんを増やして従業員にも還元する。玉子屋が競争優位に立つことができた理由は、古き好き日本経営のもっとも美しいものを追求したことに有るわけです。

ビジネスのロジックは、筋が通っていなければ破綻します。その点、玉子屋のロジックは合理性が高い。「こうすれば、こうなる」という因果関係が上手く組み込まれています。

ガンバリズムというのは、実際には他社とあまり差を付けられません。なぜなら、他社も同じように頑張ることができるからです。

例えばホテルなどで、意見を自由に書いてもらって支配人に届くようにしていることが有りますが、そういう意見には注意が必要です。その声がノイジーマイノリティーである可能性があるわけです。

企業は、ターゲット顧客を設定し、その顧客に大きなインパクトを与える点を持ち、劣る点が有ったとしても大きなマイナスを与えないようにするべきなのです。後者については「グッドイナフ≒十分満足」という評価を得られることが必要です。

「自分たちは「美味しさ」で競争したい。だから食材費は絶対にケチらない。その代わりに食材以外のコストを徹底して下げる。だから弁当の廃棄率を下げたい。そのためには配送効率をあげなければいけない。配送効率を上げるためには、配送員のやる気を高めなければいけない。だから給料は相場より高くする」そういうことを強く意識しているから、玉子屋は競争優位が持続する構造を作り上げることができた。経済性原理に従って規模の効果を発揮したいとか、「全体最適」にしたいとか、ビジネススクールで勉強するような概念からスタートしたわけではない。

経済性原理の場合は、例外なく全てのビジネスに当てはまるとは限りません。但し、それなりの一般生があるから、経済性原理を意識しておくと、ビジネスモデルを設計する時には参考になるわけです。

しかし、経済性原理を意識し過ぎると戦略が縛られて、だれでも思いつく発想をすることになってしまいます。寧ろ例外を追求する戦略を取るほうが大きな成功に繋がりやすいということは、多くの成功事例が物語ります。


■第三部:妥当性と正当性
ビジネスモデルのリアリティの欠如を回避するために、自分の頭のなかに有るビジネスモデルが現実と対応しているかどうかのチェックが必要になる。新しいビジネスモデルか仮設に満ちています。それが実現する=「できる」と思う理由は仮説なのです。

仮説とは、実現のための「前提」。コンテキスト。
1.妥当性:ビジネスモデルに現実性が有るかどうか。価値、隔離、価値と隔離の連結、収益性という4つのポイントに寄ってチェックできる
2.正当性:顧客や株主、従業員、取引先などビジネスに関係するステークホルダーにとって「このビジネスは正しい」と感じられるかどうか。

新しい事業構造を作る時には、将来に向けて仮説的前提を設けることになる。仮説的前提というのは、今、成り立っていなくても構わない。いかにしたら将来成り立つ可能性があるか、その前提を設計する。その前提が大胆であれば有るほど、なかなか成立しないかもしれないけれど、追随してくるライバルは少ない。そういうリスクを取るかどうかを判断しなければならない。


■第四部:模倣困難性
サウスウエスト航空は、他社にはない様々な要素がつながり合っていて、活動の相互依存性が高い。つまり高いシステム性がある。この高いシステム性によって、サウスウエスト航空は模倣困難性を実現している。
高いシステム性は、活動感に整合性があって、活動がお互いにフィットし、強め合う状況から生まれている。こうした「戦略的フィット」が競争優位と卓越した収益性を生み出す。

強い会社を分析して、なにか参考にできることを見つけるときには、全体を見る事も重要ですが、強くつながっている部分を捉えることも重要です。

部分システムを分析したり提案する時には、差別化システムは「差別化」から書いていく。そして、それを支えている活動や資源は何か、というふうにさかのぼるという順序で分析する。
差別化に結びつかない資源を分析しても意味が無いから。
差別化システム論は、資源と差別化のあいだに「活動」というレイヤーを加えた形になっている。つまり、資源と差別化の直接的なつながりを否定して、「活動」というレイヤーを加えて考えるのが差別化システム論です。


■第五部:発展性
大川さん(CSK)は、受託開発の技術をいに付けられるようなお客さんを意図的に選んできたと明かしています。五月蝿いことをいう相手だとしても、自分たちの資源蓄積になると思えるお客さんを選んできたというわけです。言い換えると、ファシリティーズマネジメントで、利益率のイイお客さんを選んでないのです。「システムの受託開発が出来る会社に変わっていくためには、このお客さんと付き合って行きたい」というお客さんを選んでいる。

ディー・エヌ・エーはモバオクをやっていた時に、出品者と入札者が頻繁にコミュニケーションするということに気づいたわけです。そのままモバオクだけ続けていくつもりなら、気づいただけで終わってしまうでしょうが、ディー・エヌ・エーはそうではなくて、「次」を意識した。そしてモバオクだけなら必要ないようなコミュニケーションツールを企画して、サービスを拡大するわけです。

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2014年09月07日

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