あらすじ
大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起……。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。
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Posted by ブクログ
社会を拒絶するインテリパンクスを魅了してやまない思想。
あらゆる権力を否定し、何ものにも抑圧されない究極の自由主義思想。
アナーキズムの入門書。
日本のアナーキズム思想の流れがよくわかる一冊。
大杉栄の生き様に魅了されて仕方が無い。
「この個人的思索を欲しない輩は、いわゆる衆愚である、永遠の奴隷である。歴史を創ることなくして、歴史に引きずられてゆく、有象無象である。僕らとはまったくの他人である。」
私生活はもっぱら埴谷雄高に近いが。
アナーキズムは共産主義以上に空想的な思想だ。
人類には早すぎる。
ただ原始時代に戻るってわけにもいかないし、それではまた不自由な社会になってしまう。
単純ゆえに欠陥もあるが、それは人間そのものの欠陥なのではないかと思う。
アメリカの保守的な自由主義、小さな政府の考え方と社会主義思想の系統に属するアナーキズムの違いが分かっていなかったが、よくわかった。
どちらも似たようなもんで、自由民主主義も共産主義も究極に行き着けば、アナーキズムのような考えに落ち着く。
Posted by ブクログ
著者自身が述べている様に(P287)筑摩書房「現代日本思想体系」を底本としている。彼の本は60年代発行であり、本書はその後の思想史をカバーし、かつ「道具としての思想」を意識している。
日本のアナーキズム思想における重要書として10冊をあげている。
結局のところアナーキズムにとって最大の難問は「権力統制無しにいかにその運動を持続させるか」にある。
この難問にかつて数多のアナーキストが挑みそして失敗してきたか。
結局のところ、世間の中でなんとなく生きている人にとってアナーキズムなんて、思想的エンターテイメント以上の価値を持たないと思えてくる。