【感想・ネタバレ】アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門のレビュー

あらすじ

大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起……。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。

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Posted by ブクログ

個人的にこれまでアナーキズムを深く考えたことがどれほどあっただろうか。アナーキストなど何を考えているか得体の知れない完全なる他者だと確信していた。それは無意識のうちに信念として存在するほどに。その思想は社会を国を共同体を破壊して何を達したいのかと疑問に思うだけで、こちらから知ろうともしなければ、あちらからも呼び掛けられもしない存在。それがアナーキズムであり、アナーキストであった。

しかし本書は呼び掛ける。
「我々誰もが、徹底すればアナーキストにならざるを得ない」と。我々の生活する社会の原理原則を突き詰めた先にアナーキズムはあるということだ。自由、平等、反権威などを建前として暮らす以上、人はその究極においてアナーキズムと無縁でいられない。目が覚める思いをした。近代性の妥協を排した極北としてアナーキズムは存在するということだろうか。
一見するとアナーキズムは解釈次第でいかようにも定義されうるように見える。本書では大杉栄などのビッグネームはもとより、任侠のヤクザや漫画のキャラクターなどを例として提示している。しかし、そこに通底しているものは何だろう。ある種の純真さみたいなものかもしれない。大人になれない子供の精神なのかもしれない。もしくは過剰な程に潔癖なのかもしれない。
近代の原理原則を、知行合一よろしく究極のかたちで自分の生き方とすること。それは、保守思想がニヒリズムのうちに諦めたであろう権力という必要悪を、その潔癖さゆえに諦めきれない生き方のように思う。あたかも求道者のように。

つまり本書を読めば今よりもアナーキズムを身近に感じることができる。

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2017年01月17日

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