【感想・ネタバレ】山魔の如き嗤うもののレビュー

あらすじ

忌み山で続発する無気味な謎の現象、正体不明の山魔、奇っ怪な一軒家からの人間消失。刀城言耶に送られてきた原稿には、山村の風習初戸(はど)の“成人参り”で、恐るべき禁忌の地に迷い込んだ人物の怪異と恐怖の体験が綴られていた。「本格ミステリ・ベスト10」二〇〇九年版第一位に輝く「刀城言耶」シリーズ第四長編。(講談社文庫)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

三津田信三2作目。
刀城言耶シリーズの四作目。
首無よりおもしろかった。
相変わらず話はおもしろくなかったけど、犯人の動機になるほどねーと思ってしまったので笑
犯人自体は自分もだけど1番みんな予想してそう。
トリックはやっぱりほとんど全部おもしろくなかった。自分だったら気づくのにと思っちゃったりするし。
最後の20ページくらいの話の終わらせ方、演出がよかった。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

冒頭の手記の恐怖感がピーク。決して悪くはないにもかかわらず、いまいちハマリきれなかったのは、前作があまりにも凄すぎたからでしょうか。

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2017年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇 概要
 郷木靖美という人物が忌み山で遭遇した数々の怪奇現象。最後には一家が家から消失してしまう。その謎を解くために,刀城言耶が奥戸という土地を訪れる。奥戸で起こる連続殺人事件。六地蔵の童謡の見立てにより起こる連続殺人。その謎を刀城言耶が解明する。多段的に解明される謎解き。最後の最後で明かされるその驚愕の真相は…?

〇 総合評価
 時代設定は,1954年。戦後すぐの時代設定で書かれた本格ミステリには,独特の味がある。怪奇的というか,猟奇的というか…。この作品も,その例にもれず,怪奇風味を味付けにした古き良き時代風のミステリとなっている。長所としては,どこかで見たような雰囲気の作品なので,安心して読めるという点があげられる。短所としては,既視感=マンネリ感があり,オリジナリティに欠けるように思えてしまうところがあげられる。京極夏彦の百鬼夜行シリーズにも雰囲気が似ていると言えなくもない。 
 とはいえ,冒頭に郷木靖美の手記を置き,そこで郷木靖美が体験した怪奇現象を描き,本編のラストで合理的な解釈を付けるという展開はなかなか面白い。本編の殺人も,六地蔵の童謡の見立てにより,派手な殺人が6つも起こる。
 解決編で,いくつもの推理を上げていくが,一つの推理を披露している途中で,その推理を否定するという形で推理が進むので,ややインパクトが薄れる。一つの解決を示す→矛盾を指摘→次の解決を示す→…真相という感じではなく,一つの解決を示す→その途中で別の解決の可能性を示唆→別の解決の方が正しそうな雰囲気→いつのまにか別の解決にすり替わる…という感じ。
 最後には,ちょくちょく目撃者として証言していた胆武という僧侶が犯人と推理し,その胆武が鍛炭立造の息子というこれまで登場しなかった人物と推理。そして,それをなし崩し的に否定して最後は胆武が郷木靖美だったという推理で終わる。
 この解決が好きか嫌いかで評価が別れそう。考えながら推理するというか,真相が畳みかけられる解決が好みなら傑作と感じるだろう。これに対し,いまいち驚きに欠ける。もう少し綺麗に解決,矛盾,解決と示してほしかったと思う人には物足りないだろう。私は後者
 そういう意味でラストが惜しい。トータルの評価としては…★3で。

〇 サプライズ ★★★★☆
 真犯人が,郷木靖美だったという点は素直に驚くことができた。「はじめに」で,「郷木靖美の原稿の登場人物には被害者も犯人も含まれていない」と書かれていた点も見事なミスディレクションになっていた。郷木靖美が忌み山で遭遇した怪奇現象は,ほとんど獣の仕業だったのはご愛敬。一家消失も,郷木靖美に対する立一一家の嫌がらせだったというのはちょっとしょぼい。とはいえ,その嫌がらせの仕返しに一家虐殺を行い,とばっちりで揖取力牧まで殺されてしまったという展開も,まぁ驚けた。

〇 熱中度 ★★★★☆
 最初の郷木靖美の原稿がやや長かった。殺人が起こってからは割とテンポよく進み,この話をどう収束させるつもりだ…?と熱中して読むことができた。熱中度は高い。

〇 インパクト ★★★★☆
 六地蔵の童謡に見立てて6人の人間が殺されるので,ストーリーのインパクトはある。冒頭の郷木靖美の手記にあるいくつもの怪奇現象もなかなか。全体的に漂う,古き良き時代の本格ミステリっぽい怪奇的な雰囲気もいい。総じてそれなりにインパクトはある。ラストの畳みかけるような真相も,ちょっとやり過ぎ感はあるが,インパクトがあるといえる。★4で。
 
〇 読後感 ★★★☆☆
 郷木靖美が犯人で,行方知れずになるだけでなく,郷木高志まで行方不明になるというラストは,やや不気味。読後感はよくないのだが,物語全体が明るめな雰囲気なのと,登場人物やストーリーにリアリティがなく,それほど心に残らない。総合的に見ると,読後感はよくも悪くもない感じ。

〇 キャラクター ★★★☆☆
 探偵役の刀城言耶,編集者の祖父江偲,警察の鬼無瀬など,少し昔の,古き良き時代のミステリに登場してきたような登場人物が目白押し。容疑者の鍛炭家も,いかにもという人物ばかり。これは狙ってやっているのだろう。この作品ならではの個性というものは薄いが,これはこれで,キャラクターは立っているともいえそう。★3で。

〇 希少価値 ★☆☆☆☆
 人気シリーズの刀城言耶シリーズの第4作。各種ミステリ・ランキングで上位にランクインしている。人気作であり,希少価値はほとんどない。

〇 メモ
〇 「はじめに」で,「郷木靖美」の原稿の登場人物の中には被害者も犯人も含まれていないことをあらかじめ申し添えておきたいとあるが,これはミスディレクション。確かに,原稿の登場人物には被害者も犯人もいなかったが,原稿を書いた郷木靖美が犯人だった。
〇 冒頭から131ページまでは,郷木靖美が書いた原稿という設定。全体の5分の1。ここで郷木靖美が体験した怪奇について,刀城言耶が一応,論理的な説明を付ける。
〇 郷木靖美の原稿の中の謎
〇 不気味な赤ん坊の声
→野狐の鳴き声か,青鳩の囀り
〇 賽の河原
→三山と乎山の境目の河原だった。
〇 正体不明の空中の絶叫
→発情期の野狐が互いに呼び交わしていた。
〇 おぞましい視線
→狐や貂などの野生動物
〇 山女郎
→世間から虐げられていた老婆が人知れず獣道を通っていた。
〇 火の玉のようなもの
→ムササビ
〇 山魔の呼び声
→靖美を探しに来た兄たちの呼び声
〇 姿なき山女郎
→ユリという子どもの変装(靖美を脅すため)
〇 山荘から家族が失踪(密室)
→ユリという子どもだけが残り,密室にした。ユリは靖美がいた部屋に隠れた。
〇 嘲笑った山魔
→ユリという子ども(靖美を脅すため)
〇 ダミーの解決
→立一一家は,太平一座の役者達だった。
〇 真相
→立一一家が立治一家と同一人物だった。
〇 ダミーの犯人=揖取将夫
→犯人足り得る条件はあるが,犯人ではない。
〇 ダミーの犯人=鍛炭立造の息子
→鍛炭立造の息子=胆武という僧侶
〇 真犯人
→郷木靖美
→郷木靖美が,胆武として犯罪をしていた。

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2017年06月10日

Posted by ブクログ

久し振りの「刀城言耶」シリーズ。
作品の雰囲気を忘れかけていたが、序章「忌み山の一夜」から「気味の悪さ」は全開。一気に引き込まれる。
山里に伝わる古い習わし、旧家同士の確執、忌み山に住む山魔。そして謎の一家消失事件、童歌に見立てた連続殺人。
横溝作品を思わせる禍々しさと世界観をしっかり堪能できた。
トリックの真相や真犯人はかなり強引さを感じたが、ラストもしっかり「不気味」でした。

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2017年01月21日

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