【感想・ネタバレ】破軍の星のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年03月29日

建武の新政で後醍醐天皇により16歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。
また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び...続きを読む起こすが・・・・・
一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。


主人公の北畠顕家や彼を取り巻く人物たちが魅力的です。
この時代にはあまり興味がなかったのですが、前回の「悪党の裔」あたりからすっかりハマってしまいました。
足利尊氏を棟梁に頂く足利一門などを相手に、痛快なまでに相手を叩きのめす。
大塔宮、楠木正成、北畠顕家、この3人ががっちり組んでいられれば、時代の流れは変わったのでしょうね。

足利一門はもちろん、後醍醐天皇やその側近の公家衆に敵意を覚えずにはいられませんでしたが、陸奥守の考え方や行動の1つ1つで読後感は最高でした。
陸奥守北畠顕家、もっと長生きしてほしかった人物です。

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Posted by ブクログ 2017年12月11日

北畠顕家のお話。若干20歳にして、時の足利尊氏が最も恐れた人物。

何を思って、駆け抜けたのだろう。
その胸からこぼれ落ちる思いを聞いてみたい。

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Posted by ブクログ 2016年10月18日

破軍星とは、北斗七星の7番目の星で、それが指し示す方角は不吉だと言われる。14歳という若さで陸奥守に任じられ、軍事の天賦の才で激動の南北朝時代に輝きを放った北畠顕家その人を表す言葉として、ふさわしい。

南北朝の面白いところは、世を統治すべきは公家か武家かを問うたところだ。武士である平家が貴族として...続きを読む政治に台頭し、源氏が武士として統治者となり幕府を作った。これが平安後期から鎌倉時代にかけての流れだ。そして南北朝時代では、腐敗した幕府に不満を抱く武士と、もう一度世を治めることを伺う朝廷の対立が垣間見える。

顕家は、父の影響もあって、朝廷こそ統治者たるべき存在だと考える。一方で、公家でありながら武将として武士と接するうちに(というか、彼自身、腐敗した朝廷をみながら感じてはいたのだろうが)、足利尊氏が武士たちの支持を集める理由に気づき始める。

南朝側についた武将を見るのが一番面白い。鎌倉幕府は腐敗したとはいえ、一時でも武士たちをまとめ日本の統治者足りえたわけだし、足利尊氏のリーダーシップも申し分なかった。加えて、朝廷は一部を除いて腐敗しきっていた。楠木正成も、北畠顕家も、朝廷には任せられないってことにどこかで気づいていたはず。それでも、彼らは朝廷のために最後まで戦い、散って行った。

少しそれるが、作中では人々の支持を集める一つの要素として血筋が挙げられている。楠木正成がいくら戦上手でも、兵を集めることはできない一方で、なんだか頼りなく思慮深さに欠けてはいても新田義貞のもとにはたくさんの武士が集まってくる。顕家も尊氏も、血筋に大いに助けられた部分は大きいだろう。これは、情報の流通度が低い社会におけるレッテルみたいなもん。そして、この血筋が、統治者が誰であるべきかって議論にもかかわってくる。

・・・・アーまとまんない。w


勤王の思想は、幕末と重なるところがあるよね。

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Posted by ブクログ 2016年03月02日

北方謙三の描く太平記。若くしてその命を散らすこととなった北畠顕家を主人公とした本作は、顕家の若さとその短い生涯を鮮烈に描いた。疾走感のある文章とストーリーは、1日で読み終えてしまう程に夢中にさせてくれる。北方謙三の歴史小説への入門編。

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Posted by ブクログ 2015年06月02日

大河ドラマ「太平記」が大好きなので、基本的には尊氏びいきなのだけど…。

顕家もかっけ〜な!

自分の正義にしたがって平和をを求めれば求める程、誰かの思いとぶつかり戦になる。

その矛盾と葛藤のなか、清冽な精神と志をもった顕家が駆け抜ける。

基本的には顕家視点で書かれているが、時々カメラが移り、尊...続きを読む氏や直義、斯波政長などもクローズアップされる。

嫌なやつなんて、1人もいない。みな、己が信念に忠実なだけ。

「太平記」ももう少し顕家をかっこよく描いてもよかったかもね〜。そしてゴクミじゃないほうがよかったかも!?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年04月29日

南北朝時代。『武王の門』の懐良親王の活躍より少し前。
足利尊氏、楠木正成の名は知っていても、「北畠顕家」という公家の存在は恥ずかしながら知らなかった。

才気煥発な若すぎる公家武者の苦悩と葛藤が悲哀を滲ませている。
もう少し早く生まれているか、もう少し遅く生まれていれば、大塔宮か懐良親王と連携して違...続きを読むう歴史を生み出していたかも知れないね。

懐良の兄に当たる大塔宮の従兄弟になるんだったか?
顕家に夢を託した奥州藤原の流れを汲む山の民。
大塔宮は山の民を組織化して武家に対抗する武力を持とうとしたとかなんとか。

こうなればもう未読の『楠木正成』と『悪党の裔』も読まなければ。

歴史を逆に辿って行くのもまた楽しいもんだね。

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Posted by ブクログ 2014年03月06日

南北朝時代、足利尊氏を追い詰めた若き公家、北畠顕家の物語。

南北朝時代のことをほとんど知らずに読んだけど、顕家の魅力がたっぷり伝わりました。

この人のためなら死んでもいい、夢を託してもいい、と思える人に出会ってみたいものです。本当に惜しい人を失ってしまった、という感じでした。史実的には戦死なのだ...続きを読むろうが、それを思わせない終わり方をするところが、本書の憎いところw 終わり方うまい!

顕家、カッコイイ!そして、顕家に人生を捧げた武将たちもカッコイイ!個々の才能や生き方の違いはあれど、カッコイイ生き方をしたいものです。カッコイイって恥じないってことかな!?

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Posted by ブクログ 2022年11月22日

若き天才の一生は星の瞬きが如く強く輝きどこか儚い。この星が強く永く瞬いていたら日本の歴史は変わっていたんじゃないかと思わせる、北畠顕家とはそんな漢だと感じます。
足利尊氏、楠木正成、北畠顕家、違う立場違う人生のおとこ達が見据える夢のかたちは一緒には為し得なかったのだろうか。
そう考えさせられる北方謙...続きを読む三が描く浪漫が詰まった一冊。
あっぱれ。

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Posted by ブクログ 2022年10月03日

歴史上最強と謳われた公家、北畠顕家の短い生涯を北方謙三の硬派な筆致で描いた作品。全くの無知な南北朝時代だったため世界観が分からなくて最初は苦労もしたが、1度目の足利尊氏討伐のために京へ上る場面からはめっぽう面白くなった。戦国時代以上に何のために戦うのか?というのが問われる時代に無能な朝廷のために戦う...続きを読む姿はカッコよさがありつつも読んでいて寂しく辛くなる。彼の能力があれば陸奥の夢もかなえることが出来たかもしれないのだが「大義」がそれを許さなかったのだろう。まさに「一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子」だった。

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Posted by ブクログ 2022年07月30日

読めば君も”北畠顕家”推しになること間違いなし!一般的に複雑でとっつきづらいとされる南北朝時代の世界にハマるためのゲートウェイドラッグともいうべき快作。楠木正成や新田義貞のような時代を代表するスターも多数登場するため一冊で満足度は高い。

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Posted by ブクログ 2021年11月14日

ほんの少年であった頃に鎮守府大将軍として奥陸奥に下向して以来、無敵の強さを誇った北畠顕家の生涯です。本当に強く、敵に恐れられた将だったのが分かります。
本領安堵という実利をもって勢力を拡大する足利尊氏に対して、親政の旗印という理念で戦うのは分が悪かった、といった背景もよくわかりました。にもかかわらず...続きを読む、知力を尽くして勝利を重ねる顕家の姿が、さわやかな一陣の風のように描かれています。

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購入済み

南北朝物の代表作

2019年11月15日

「武王の門」と並んで北方謙三の南北朝物の代表作である。
ハードボイルド調の文体であるが登場人物が生き生きとしていて読みごたえがある。
ただし北方謙三の歴史物作品全般に言えることだが、主人公の性格 イメージが似通ってしまう。
この「破軍の星」の北畠顕家と「武王の門」の懐良親王の印象が重複してしま...続きを読むう。

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Posted by ブクログ 2017年04月24日

北畠顕家の骨太の生涯を描いた小説。戦国時代の大谷刑部と重ねながら読んだ記憶がある。初期の北方はレイモンドチャンドラーの真似のような甘い言葉の羅列で読むのがきびしかったが、歴史小説を手がけて開花した感があった。大好きな小説。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年03月03日

南北朝時代、東北から中国大返しもビックリな上洛軍を仕立てて活躍した北畠顕家の物語。そんな人物像に興味を持って手にした一冊。

鮮やかな合戦・布石で清冽なデビューを飾る前半、成長とその先で出会う葛藤の後半という構成でテンポ良く読み切れる小説でした。
特に「民」という視点を得ての国への揺れる思いが胸に淡...続きを読むい期待を抱かせつつ終盤へと向かわせてくれたのですが…。

楠木正成・足利尊氏など当代の魅力的な人物、そして戦国時代の東北にもつながる南部・伊達・結城・斯波といった武将の登場が物語に彩りを添えています。

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Posted by ブクログ 2014年02月01日

ハードボイルド系の作家の北方謙三が書いた歴史小説です。

南朝方の有力武将の一人北畠顕家を主人公としています。どちらかというと、歴史物の小説は、「義」や「生き方」にかける「滅びの人」を主人公にした者の方が好きだったりするので、とても面白かったです。

最初に足利尊氏が反旗を挙げて時に、東北から京都ま...続きを読むで軍勢を率いて16日で到着し、豊島河原合戦で勝利するというのはすごいことだなと思ったりします。こういう武将を戦略で死なせてしまう建武の新政は上手くいかなくて当然なんだろうなと思ったり、雪深い東北を拠点としなければもう少し歴史は変わったのかなと思ったりしました。

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Posted by ブクログ 2013年08月16日

古本で購入。

“麒麟児”と謳われた北畠顕家は弱冠16歳で陸奥守に任命され、義良親王を奉じて陸奥へ下向。
父の親房や結城宗広ら有力武将に支えられ、奥州経営を始める。
後醍醐天皇の下で推進された新政は大塔宮と足利尊氏の対立を孕む、極めて不安定な状態にあった。
若き公卿顕家は遥か陸奥の大地で国のありよう...続きを読むを自問する。
山の民と結びついた顕家は、彼らの夢と己の抱く「理想の国」を重ね合わせていく。
陸奥において夢を追うか、朝廷の臣として足利と戦うか。
二者択一を迫られた顕家だが、ついに足利討伐のため西上する。
その行く手に輝くのは破軍星だった―

という、南北朝時代前夜を舞台とした小説。
日本史をテーマにした北方謙三作品としてはこれが初です。

以前読んだ『水滸伝』『楊家将』にも劣らない漢たちの世界。これぞまさに北方ワールド。
主人公の顕家はもちろん楠木正成を始めとする朝廷方の諸将、そして敵方である足利尊氏・直義兄弟たちまで、熱き漢たちの想いが交錯する。
敵方が「悪役」ではなく「敵役(かたきやく)」として実に魅力的に描かれているのも、北方作品の醍醐味です。
まるでいいところのない新田義貞も、見方によっては可愛げのあるかわいそうな武将なのだ。

オリジナルの設定として、奥州藤原氏の末裔(を匂わせる)の安家一族を登場させている。
わずかな年月で陸奥を鎮めたという史実に、顕家の器量だけでなく「山の民」の力を絡めた、というのがおもしろい。

北方謙三の描く敗者は美しい。
敗者ゆえに美しいのではなく、たとえ閃光のようであっても全知全能を傾けて生き抜いた人間の死ゆえに美しい。
そう思わずにいられない1冊。
この人の作品はとにかく結末の余韻がいい。

しかしおもしろい、南北朝。北方の他の南北朝モノも是非読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2016年08月07日

参加しているSNS「やっぱり本を読む人々。」の100冊文庫企画にエントリーし、紹介文を書くために再読しました。下に前回が3回目の再読だとありますので、今回は4度目と言うことで。。
流石にストーリーはほぼ完全に覚えています。そして新鮮さは随分薄れています。それでも話の中にのめりこんで行けます。やはりこ...続きを読むの作品は私に良く合った作品なのだと思います。
小説の最後に主人公が後醍醐天皇に対し諌奏文を送るシーンがありますが、今回改めて調べたらこれは史実なんですね。そしてその内容も小説の通り。若干21歳でそのようなことが出来た事から見て、実際の北畠顕家は本当に傑出した人間だったようです。

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02-75〜2002/09/18〜☆☆☆☆☆
歴史的事実だけを引き出して再構築したら、顕家像はひょっとしたら酷薄・独善的人間像になるかもしれません。しかし、そんな事は考えずに物語に没頭すれば、なんとも爽やかな作品です。
「切れ」のある文体と迫力ある戦闘シーン。そして格好良過ぎる主人公・顕家とそれを取り巻く登場人物たち。いやあ、歴史ハードボイルドとしか言いようが無いですね。
ストーリーそのものは北方さんの歴史ものデビュー作「武王の門」に良く似ています。武王の門が上下二巻なのに対し、この作品は一巻でその分凝縮された感があります。今回は多分三度目の再読ですが、それも釣り込まれて一気に読み通せました。初回の衝撃もあわせて最高評価にします。

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Posted by ブクログ 2023年09月25日

某有名な作家さんがYouTubeのゲストで出演していた時にお薦めしていたので、読んでみたら面白い顕家が凄くカッコいい⁉️この歴史小説お薦めです

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Posted by ブクログ 2021年03月24日

南北朝時代、争乱のあいつぐ世で、京を目指して北天に光り輝く星、北畠顕家。21歳の若さで死んだ顕家。武家ではなく、村上源氏の血をひく公卿の名門であり、大塔宮とならび足利尊氏を最後まで苦しめており、本当に鮮烈な印象を与えてくれる。
奥州藤原氏の末裔を暗示する安家一族ら山の民を一緒に描く事で、物語に深みを...続きを読む与えている。

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Posted by ブクログ 2019年08月17日

北畠顕家の公家らしからぬ高い武力と、そのベースとなった教養とその呪縛。痛快で悲劇で、一気読み。後醍醐帝の陣営は大塔宮、楠木正成、北畠顕家と有能な人材をムダにしてしまうところに、物語発生の源泉がある。

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Posted by ブクログ 2019年02月27日

北方謙三の初期の歴史小説。
北畠顕家という日本史ではスポットの当たらない人物を主人公にしている点が北方らしさが出ていていいです。
足利尊氏も恐れた男の生き様が儚くも清々しい。

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Posted by ブクログ 2018年10月07日

北方が歴史小説に転身した割合初期の作品。それまでお得意にしてたハードボイルドが時代に合わず、リァリティが失われるのを、人間として芯の通ったカッコイイ男を描くためにこの分野に転身したのだろう。

その試みは作品の中では見事に成功し、熱い気持ちが滾らされる。顕家もそれを取り巻く主従も、仇方の斯波家長、上...続きを読む杉も見事にかっこいい。ただ、歴史的事実としては、顕家は10代後半、家長は二つ年下。年齢を考えると、思考回路があまりに老成しており、途端に現実味が薄れるのが弱点か。

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Posted by ブクログ 2018年10月04日

個人的に室町時代の歴史小説は敬遠しがちですが、これは面白かった。室町時代は鎌倉幕府倒幕からずっとダメだったんだなぁ。ある意味、江戸幕府や明治政府をつくった人たちはこの時代を反面教師にしたのでは。

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Posted by ブクログ 2018年01月02日

北方謙三の歴史小説が好きというのと、
南北朝時代の歴史を知りたかったという
2点から読むことにした本。

主人公像や周りのキャラは
題材としては悪くないんだと思うが
最近の北方謙三を知っている分、
まだ歴史小説に書き慣れていない感じを
個人的には少し感じてしまった。

北畠顕家が、若干完璧超人すぎる...続きを読む感じも
それほど惹き込まれなかった要因かも。

行動原理を含めた男の生き様を描く、
というのはこの頃から変わってないんだなあ
というのは感じた。

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Posted by ブクログ 2017年07月16日

人は何のために戦うのか。この頃は複数の尺度があった。武士は恩賞、土地を一族子孫に残すため。北条家が滅んだのは恩賞をくれなくなって武士たちが付いてこなくなったから。ちゃんと報いてくれるのは誰かって探して、最初は天皇かと思ったんだけどダメで、足利がその役目を果たしてくれそうっていうので、彼を選んだ。武士...続きを読むの頭領はなので結構しんどい。餌をくれなきゃ逆らう獰猛な犬を飼ってるようなものだろう。大義つまり天皇が統治する日本国を作るってのは武士にはどうでも良い、あくまでも明日のご飯。
北畠顕家は公家に生まれ、父親房に教育を受け、主上あっての国と基本概念を持つが、それが腐ってるってなった時に、陸奥国で新たな国をつくるという理想に心が揺らぐ。天皇の世でもなく、武士の世でもない、この3つ目の道には夢がある。そしてやっぱり夢だった。顕家は新たな国をつくることに挑む前に、仁義を切りに京都へ上った。辛くも生き残り、陸奥に戻ることもできたのに、果てた。戦でたくさんの部下を仲間を失い、兵や民を傷めたことに、自分には国をつくる資格がないと感じたかのようだった。
大河ドラマ「太平記」再放送中につき再読。前回は人物や背景がさっぱりだったが大河のお陰で理解が進んでた。前回は斯波家長と上杉憲顕のことしか書いてなかった…。でもやっぱりこの場面はグッとくる。しかし斯波家長の年齢設定が謎。

・・・・・・
2017/7/16
北方謙三の南北朝シリーズのとっかかり程度の気持ちで読み始めたのに、終盤でまさか泣くとは思わなかった…。第8章「西を指す星」、足利側の武士・斯波家長との鎌倉での死闘が1つのクライマックス。最初ダメ武士だと思った上杉憲顕と家長とのやり取りにしびれる。「負けを知る武将は強い」「新しい上杉憲顕を作るために、闘え」。家長自身が一度負けてるから言える台詞だろう。家長が討ち死にして以降、憲顕側からの描写はないが、次の章、顕家を追走してくる憲顕隊の姿だけですべてが察せられ胸を打つ。
物語は主人公、北畠顕家側からの視点が中心で、ときどき足利尊氏・直義の視点もあるが、それはあくまでも顕家の敵としてのポジション。それが第8章の家長側の描写はこの物語の主人公のようで、作者の家長への強い思い入れを感じる。唯一この鎌倉での戦いだけが敵方の家長側から描くことで1枚フィルターがかかったようで、顕家が有利なのか不利なのかがはっきりとはわからずもどかしさが募る。その後の場面転換など手法がすばらしい。
北方謙三は歴史物もなにも、実は初めて読んだが、司馬のような史観みたいなものも入ってこないし、池波や隆のようなエロもなく、ただひたすら男の美学をストイックに描いて切ない。ファンになるかもしれない…。
追記)斯波家長(1321年-1338年)ってこれ本当???17歳ですよ?北畠顕家より若い。どうなんでしょう。上杉憲顕は1306-1368と戦を生き延び、家長の後、鎌倉の執事役を務めたらしい。

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Posted by ブクログ 2017年06月15日

昔大河で、後藤久美子が演じていたような。
この辺りの時代を描くというのは、いろいろ問題がありそうだが、小説としてしっかりと描かれているのはいいですね。
北方謙三は、新田義貞をあまり評価していないんですね。
新田義貞が登場する小説をはじめに読んだのが、新田次郎の作品であるが、ちょっと印象変わりますねー...続きを読む

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Posted by ブクログ 2015年04月19日

南北朝時代の北畠顕家という若い公家の人物の話。序盤の陸奥平定時や1回目の上洛までの世界観は良かったが、後半はただ悲壮感とまでいかないが希望のない上洛という雰囲気があり、夢ということで陸奥を出発したのと乖離があり、少し違和感があった。

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Posted by ブクログ 2014年03月22日

流石です北方健三。熱い漢たちでした。(漢と書いてオトコと読む感じです(笑))
同じ南北朝時代でも、武王の門よりもこっちの方が好きだなぁ。
やっぱり北方健三さんの描く騎馬戦。大好きです。
しかし北方さんの本はのめり込みすぎて疲れる

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Posted by ブクログ 2013年12月31日

時代は鎌倉幕府から建武の新政を経て足利幕府へと移り変わる頃
楠木正成と言われれば思い当たる節もあるが…
という時代で、ここまでの小説が書けるとは!
北方謙三氏に感服しつつ、読み進める。読んでも読んでも減らぬ文量とは逆に疾走する物語。
読ませていただきありがとうございました、と

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年06月17日

16歳と言う若さで陸奥守に抜擢された南朝方の北畠顕家の話。
花将軍、麒麟児と謳われた彼に興味を持ち読みました。
やはり、彼の聡明さが際立っていました。
公卿でありながら武士でもあった彼。
他の公家達とは全く大違いの力量です。
21歳と言う若さで戦死しますが、戦死する前に後醍醐帝に書いた秦上文を弟(顕...続きを読む信)に託し、最期まで国の事を考えていた彼。
そんな彼をリスペクトします。

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Posted by ブクログ 2020年09月16日

R2.7.31~R2.9.16

(あらすじ)
建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。
また、足利高氏の反逆に際し、東海道を進撃、高氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さら...続きを読むに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、高氏追討の軍を再び起こすが…一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。

(感想)
北方謙三らしい一作でした。
少し期待を外れたため、低めの得点を付けましたが、決してつまらない作品ではありません。
北方謙三らしい一作でした。

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