あらすじ
クラスでこっそりといじめにあっている転校生の小野佳純とそのいじめを見つけてしまった村井准一は、二人とも同じミステリー作家、月森和が大好きだったことを知って仲良くなる。その月森和が別名で他にも本を書いていることと、実はその秘密が既刊本の中にあるらしいという情報を得た二人は、図書館へ通って謎説きに夢中になるのだった──本が大好きな二人の淡い恋と友情の物語。
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Posted by ブクログ
大先輩にあたる人のイチオシの本だったけど、すごく納得できてしまった。
6年生の主人公二人は、どちらも問題を抱えている。准は離婚した父がどうやら再婚するようで、一緒に暮らす母はどこか不安定な気配。転校生の小野さんは、荒れ気味なクラスで理由なきいじめに遭っている。
偶然にも同じ作家のファンだと知ったところから、ふたりの恋が始まっていく。
ふたりの恋は、ただ一緒にいるだけで嬉しかったり、安心できたり、互いを思いやりながらも周囲の目を気にしまくったり、ピュアで、読んでいると気持ちが柔らかくなってくる。
成長していくことを不安に思うふたりに、ようやく出会えた憧れの作家は、変わることを気に病むのではなく、未来を信じてゆっくり進めばいいとアドバイスをする。
私にはなんとなく無責任な楽観主義にも思えたが、たしかに…変わるだの、変わらないだの、未来を思い悩むことじゃないよなあ。
准も小野さんも、静かに深く相手を思いやれるところが、この物語の良さだったと思う。
素敵な物語だった。
Posted by ブクログ
久しぶりのYA小説。著者の「熱風」が面白かったし、期待して読んでみた。
いじめ、親の離婚とそれから来る色々な不和…。つらいことがあっても、ひとりじゃない。君がそばにいてくれれば、ふたり。温かくてぬくもりのある物語。「ふたり」という平仮名3文字のタイトルが抜群に内容と合っている。
そばにいて本を読むだけの時間、それはどれだけかけがえのない時間なんだろう。そういうひとりと巡り会えたことは、どれだけ素敵なことなんだろう。
大人になって変わってしまうものはあるけど、確かに変わらないものはある。信じよう。ひとりじゃない、って本当に素敵なことだなぁ。
物語としては、謎解きがあって続きが気になるし、学校や家庭での事件、サイン会というピークがあり、飽きずに読むことができる。
個人的にはいじめの描写や親の描写は弱く、もっと主人公たちを落としても良いのではないかと思った。
それから、初めてふたりが手話で会話するシーンや約束の指切りをするシーン、ロマンティックすぎ(笑)