あらすじ
2013年に三島賞を受賞。14年に第一回フラウ文芸大賞受賞作の文庫化。クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。
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Posted by ブクログ
自分は男子校出身ということもあり、ここまでドロドロとした学生生活を送ってきたわけではない(と思っている)が、そういえばあんなことあったな、と胸がチクチクした。
p.218「あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。」
主人公の性暴力が肯定される点は確かに違和感。伊吹は大人すぎるというか、どこか現実離れした印象はあった。その点で、安易に他人に薦められる小説ではないかも。
ただ、自分の気持ちを丸ごと受け止めて、愛してあげるということに関して、勇気をもらえた。嫌なことを正直に嫌と言うことは悪いことではない。
解説 p.319「
私たちは未だ、価値観の奴隷だ。知らぬうち、誰かに与えられた価値観に寄り添って生きている。
誰かをおかしいと思うとき、それは本当に、自分の気持ちから立ち上がった思いだろうか。美しくなりたいと願うとき、その美しさは本当に、自分が心の底から思った美しさなのだろうか。
私たちは、自分たちを、本当に、心の底から認めてあげられているのだろうか。社会という化け物が作った価値観から外れないように、私たちは自分たちの切実な想いを殺してしまっているのではないだろうか。
私たちはもっと、自分を愛してあげることが出来るのではないか。
自分の中に見つけたもの、それがたとえ醜さだったとしても、私たちはそれすら愛さなければならない。なぜなら、それを含めて大切な大切な私だからだ。
」
Posted by ブクログ
小中学生たちの心理描写が巧みだっただけに、主人公の性暴力が残念だった。キスまではまだ分かるけど終盤のアレはやり過ぎ。あのブレーキのかからなさが思春期特有のものであると分かってはいても、ノイズがかかってこの小説をどう評価していいのか悩んだ。
信子は嫌いなタイプだが、彼女を綺麗だと評した主人公の気持ちは分かる。カースト上位の男子に喧嘩を売り醜態を晒しながらもめげない精神は凄い。これができる中学生は中々いない。
もっと嫌いなのは井上。ただただ下品なだけの荒木より「俺面白いこと言ってるでしょ?」が透けてる井上は生理的に無理だ。主人公が殴りかかったものの失敗したのが残念。一発痛い目見て欲しかったな。
主人公はこれからも世間一般の価値観では冴えない学生時代を過ごすのかもしれないけど、ずっと思いを馳せていた伊吹と物語のラストでああいうことできたのは勝ち組なのでは?と思った。伊吹に好意を抱いている小林にざまぁって言いたくなった。
Posted by ブクログ
人間が生む醜さを凝縮して描く一方で真っ白なニュータウンと比較して進んでいく物語がずっと奇妙さを孕んでいてその奇妙さがよかったと思う
真っ白なニュータウンが舞台じゃなかったらもう少し味気ない小説だったと思う
舞台って大事だなと思った
相変わらずの表現のグロさに途中諦めようかとも思ったが最後醜い自分と周りを認めた上での立ち直りがよかった。グロい部分ももちろん描くが、ちゃんとそのグロさや醜さも弱さも含めてすごく人間臭い登場人物を真っ直ぐかけるのが村田沙耶香の良さなんだろうなと思った
自分すらも下に見ていた女子生徒がカーストが上の男子に歯向かっていくその姿を初めて自分の感覚で綺麗だと思ったと言った主人公がなにか吹っ切れたようですごく心地よかったこれでいいんだと思えた感覚が今の自分と重なった
以下引用
「その言葉で、私には輪郭ができた。誰かに言葉で触るということは、輪郭ができることなのだと思った。」
「私には値札がついてて、その数字がすごく低いんだ。でも、私、それとは関係なしに、すごく綺麗みたい」
誰かから作られたぼやけた輪郭じゃなくて自分が自分の美学を持てることを輪郭ができると呼ぶ表現が好きなのですごく刺さった
村田沙耶香には珍しく最後明るい終わりだったんじゃないかと思った。
でも村田沙耶香読むのはこれからもきっと勇気がいる。体力がいる。そこが良さかもしれないけれどまた心の準備ができたときに読みたい
Posted by ブクログ
身に覚えのあるような生々しいエピソードが多く、時折学生時代を思い出し苦しくなった。どこの学校も輪郭はきっとみんな同じなんだろう。伊吹だけは光すぎて、そこだけフィクションの世界で、物語唯一の癒しだった。
小学生時代は媚びるような性格が嫌いだったけど、諦めず立ち向かい続ける中学生の信子はかっこいいと思った。
最後は結佳が自分に正直になれてよかった。
Posted by ブクログ
最終的にオナニーに終着して行くのがなんかすごく良かった。(最終章は蛇足では?)
ありもしない過去の光景が思い出されて、加害者的にも被害者としても読んでてキツかった
最近は純粋な悪人が出てこないストーリーも多い中でそういう人が出てくると、ああこっちがリアルなのかなと思ってしまう
Posted by ブクログ
表現の仕方と言葉の選びが好きだと思った。
でも、最後、伊吹と関係を結ぶところは詩的すぎて
引いてしまった。正直、あの場面は必要だったのか
と疑問に思った。別の形で伊吹に対する結佳の気持
ちを消化、表現する方法はなかったのか…作家さん
がそうしたのは、それに意味があったということだ
ろうけど、もやもやしてしまう。
小中学生が持つ性への興味も、好きな人に触れたい
と思う気持ちも否定しないし、理解も出来る。
でも、美化するような表現に危機感を感じた。
結佳の性格を考えると違和感はなかったけど、つい、
子を持つ親視点で見てしまった。
叶わないけど、小中学生の頃に読んでたら、私はど
う感じただろう… 無性に知りたくなった。
伊吹は理解があり、ありのままを受け入れてくれる。
そんな友人が誰にでも一人はいたらいいなぁと思う
男の子だけど、結佳というキャラにとって、都合の
良いキャラになってる感は否めなかった。鋭い指摘
はあったものの、善良なためか人間くささがあまり
感じられなかった。
ヒエラルキーのあるクラスの状況や雰囲気がひしひし
と感じられ、結佳が解析する描写は素晴らしくて、
読んでいて息苦しささえ感じた。
中学校のあるクラスの話だけど、そうじゃないとも感
じた。社会でも、職種や地位など様々なヒエラルキー
を意識して、その価値観で過ごしてる人、そうじゃな
い人が混在している。
作られた価値観ではなく、自分の価値観で自分自身を
はじめ、全てを見る事ができたら、多少生きやすく
なると思う。それを中学生で知った結佳は幸運だ。
鋭く胸を突くような表現の中、鋭くても少し笑えて
心が軽くなるようなものもあった。
「めくれたジャージの裾とか、かかとを潰した上履き
とか、一つ一つそんな欠片を集めて、妄想を積み重ね
ていく」
「女の子は妄想と現実を絡み合わせて、胸に巣食った
発情を処理できずに、体の中に初恋という化け物を
育てていく」