【感想・ネタバレ】自由をつくる 自在に生きるのレビュー

あらすじ

自由とは何だろうか。それは、単に義務がない状態のことではない。何でもしてよいと放り出された状況のことでもない。自分の思いどおりになること――これが「自由」なのだ。当たり前に思えるかもしれないが、このことの深い意味を知る人は少ない。しかし、これに気づくことが、人生をよりよく生きるポイントなのである。真の意味で自由を知り、自由に生きる。その秘訣について、人気作家がわかりやすく論じる。よしもとばななさん推薦本!【目次】まえがき――「自由」に対する誤解/1章 人生の目的は自由の獲得である/2章 他者からの支配、社会からの支配/3章 身近に忍び寄る支配/4章 支配に対するレジスタンス/5章 やっかいなのは自分による支配/あとがき

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

・コンテストや競技、あるいは競争というイベントの時だけに「やった!」という達成感がある。
とりもなおさず、それは自由を獲得したというよりかは、不自由から解放されただけで、単に自由の出発点に立ったにすぎない。

・目指すものは、自分で決めなければ意味がない。
本当の自由がそこから始まる。
目指すものに向けて、少しずつ近づいていく自分、それを体感する楽しさ、そして、おそらくはたどり着けないかも知れないそのゴールを思う時の仄かな虚しさ、でも、とにかく、その前向きさが、自由の本当の価値だと思う。

・考える。行動することは生きていることにほかならない。

・その人が見た夢より素晴らしい現実はない。

・好きにも、嫌いにも、人間は支配されている。

・自由とは、ほおっておいて成り立つものではない。
常に磨かなければならない。

・「生きる」とは結局「死」への抵抗だ。

・「型」に価値があるのではなく、そこに込められた「心」がコンテンツだ。

・願わない夢は叶わない

・諦めなければ挫折は訪れない

・生きているということはそもそも「目立つ」ということ。

・生きていること自体が不安定。

・自由も不安定。



0
2025年09月25日

Posted by ブクログ

普段考えない自由に関して深く考えさせられる本だった!
拘りや支配から離れ素直に自分の考えで自分を動かせるように日々努力していけるならそれが自由なのかなって思えた!仮に目標が達成できなくてもそこへ向かう事が自由♪

0
2020年11月23日

Posted by ブクログ

自由をつくる 自在に生きる。森博嗣先生の著書。私は自由が大好きで時として自己都合優先、自分の価値観優先で自分勝手に振舞ってしまうことがあって反省することも多いけれど、非常識人と後ろ指をさされるのも怖くて、どこか決まった枠組みやルールに自分自身を束縛してしまいがち。自分勝手な自分と周りの目を気にし過ぎる自分。二面性があるのかな。でも、森博嗣先生の言うように、自由をつくって、自在に生きることこそ、人間らしい生き方なのかなと思います。

0
2019年06月16日

Posted by ブクログ

自分が如何に不自由か、何によって不自由かを知ることから始まる、自由自在に扱える生きる秘訣についての本。
とても面白い。中高生から大人まで、ぜひ読むべきオススメの本。

他人の目や常識、社会のルール、人間関係、など。ありとあらゆるものに制限されて生きていることをまず自覚すること。そして、その制限や制約は必要かどうか再考すること。それが自分が望む生き方を見つける第一歩になるのだと改めて思った。

0
2016年06月16日

Posted by ブクログ

「自由」ってなんだろう。そんなことをふと思ったら、ぜひ本書を手に取るべし。ぼんやりとした自由についてのイメージや問いにたくさんのヒントをくれるだろう。
「自由を目指して生きる理由は、それがとんでもなく楽しいからである。」本著より。

0
2016年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自由とは何かを考えることは、自分がどう生きたいかに通じる。
学生だけでなく、今の自分の生き方に疑問を感じている人におすすめしたい。

自己分析をして行動、ブログなどのメディア社会や他者に流されない、飽くことなくよりよい自分を追求する。説得力ある内容で、あとがきラストの一文が明快。読んでよかった。

0
2019年05月25日

Posted by ブクログ

人間は気付かない内に支配を求めている。自由になる事を根底では拒否しているのではないか、そのほうが考えなくて楽である。著者の言葉には目から鱗である。
自由になる事はとても労力や忍耐力が必要なのかもしれない。まずは先入観や慣習から自由にしていきたい。もちろんこれを読んで自由を求めないという判断も懸命だと感じる。自由は思ったより楽ではない自分との戦いなのである。

0
2024年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白かった。

ダラダラすることが好きな自分にとって読み終わった感じたことは、生きるのは大変なことなんだなと。自由を得るためには、支配されている現状を理解しながら生き、自分の目標を持って日々のノルマを達成しながら過ごしていくこと。

メモ
ノルマを達成するコツは、下限ではなくて上限だと思うこと
自分で決めたノルマに支配されることが、より大ききな自由のためには不可欠となる。


0
2023年10月05日

Posted by ブクログ

『すべてがFにる』を読んで森博嗣さんのファンになった。なので、彼の作品を可能な限り読んでみたいと思った。その一冊が本書である。だれもが、自由でありたいと思う。支配されていたいという自由もある。意識しているかいないかもあるが、自由とはどんな状態で、どんな心情なのか?森さんの思考の断片を垣間見れる本だ。私にはない発送、思想があり、興味深く読ませていただいた。偉大な作家のほんの一房の髪の毛に触れた程度だが、より深みを知りたいので、他の作品も読み続けたい。

0
2022年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あとがきより


毎日が終わって、ベッドで少し読書をしてから、僕はライトを消す。
そのとき、明日も楽しいことが待ってるぞ、と思えること、それが幸せだと思う。
ときどきは嫌なこともあるし、どつしても回避できない障害だってある。
けれど、その向こうに楽しみが待っているら生きていけるのだ。
自由を目指して生きる理由は、それがとんでもなく楽しいからである。

0
2022年03月23日

Posted by ブクログ

支配されていることを自覚する。
この本を読んで、今までモヤモヤしていたことは「支配」されていることに対するモヤモヤだったのだと思う。そして私は自由に生きていきたいと思いながら、支配に甘んじて、安心している。そのことに不満も抱きながら、面倒で動かずにいた。
自覚して、方向を決めて、進んでいく。
森博嗣はいつも一歩踏み出すためのきっかけをくれる。常識を疑う勇気をくれる。
考えて考えて少しずつ進んで行けたらと思う。

0
2022年01月31日

Posted by ブクログ

「用意された楽しさ」の弊害.「楽しさ」他者から与えられない,「楽しさ」は自分だけのものか?→「楽しさ」を伝達することで他者を楽しませることができるなどは共感.

また「楽しさ」を伝達する際,勘違いしてしまう危険として
・自分の「楽しさ」を人に伝達することで優越感を得る
・伝達する行為に使命感を見出す
といった行為を指摘している.

FBをやる際,十分注意したいところだな.

0
2018年10月09日

Posted by ブクログ

森氏の文章は気持ちが良い。
筋道だててある文章が解り良いのは勿論、自分の頭のなかのぼやぼやっとしたものが言語化されるという快感がある。

数字に弱いが理系向きな思考回路をしている人間なので、理系に振り切っている人間が小説も書けるというのはとても羨ましい。

0
2016年12月24日

Posted by ブクログ

同意しかなかった。今まで感じてきたことをうまく言語化してくれた感じ。
最後の方にある「守ることよりも攻めることが自由なのである。」という言葉、私が応援しているサッカーチームの思想そのものですな。

0
2016年04月22日

Posted by ブクログ

思ったより自由と言う物はない
でもそれを自分で自覚出来るかどうかでまた色んな考え方が変わりそう
考え方の本として面白く読み物としても面白い

0
2016年03月10日

Posted by ブクログ

まことにもっともな主張。常に自分を縛っているタガを意識するという。でも、これこそ大変なのだ。「自由の維持」ほど努力が必要なことはないから。

0
2016年03月01日

Posted by ブクログ

同じ物事を観点を変えて見ることの大切さが描かれていた。
本当に重要な事は抽象的である。ピンポイントで応用の利く考え方などないのだろう。
数年後改めて読んでみるとまた違った感慨を得る様な気がする。

0
2016年02月03日

Posted by ブクログ

自由に生きるためには、目標を設定すること。

『大した苦労ではない。毎日少しずつ、自分の決めたことを実行するだけだ。たとえば、起きたいと思った時間に起き、しようと決めたことをする、というだけである。このように自在に生活できれば、既に自由の一部は実現している。計画さえあれば前進できる。すべては、最初の自分の位置を確認することから始まるのだ』

自由って、「無」の空間じゃないんだ。

目から鱗が落ちる思いでした。
自由って、
「枠組が何もないこと」、そのよう感じていたけど、
目標を達成すること、そこに自由がある。
その発想に。

そして目標に達成するためには、計画という枠がなければいけない。
枠に沿った生活をしていかなければならない。

でも・・・

『「努力をしろ」と無理にいっているのではない。そんなに苦しむようなことではない。苦しさが続くようなら、その方法を疑った方が良いだろう。楽しめなければ長続きしないから、自分に合ったペースで、一歩一歩自由に近づいているという感触を味わいつつ、旅行気分で前進する。その方がきっと上手くいくだろう。』

苦しい努力は必要ない。
旅行気分。
なんて心を緩やかにしてくれる言葉でしょう。


たしかに、「無」の中に停滞していることは自由ではないものね。

前進すること。そこに自由がある。
私も自由のために前進しなければ、心からそう思いました。


それから、アーティストを見る目。

『一度囚われると、人間はそこで立ち止まってしまうから、創作者に比べれば、それを受け取る側の人々は保守的になるし、どうしても「昔の作品の方が良かった」と感じるようになる場合がある。そういう懐古的なファンがいること自体が、創作者が前進し続け、大きくなっている証拠でもある。』

これは、今まで言葉に出来なかったむずむずとした思いを、明文化してくれたと、
心の中の積み木がうまく重なった感じ。


少なくとも森博嗣については、
まだ懐古厨にならず、先生についていきたい。
先生の大きさを感じたい。
無限の広がり。
先生の作品にはまだそれがある。

それが、この「自由」の概念から生まれているのですね。

0
2016年01月13日

Posted by ブクログ

実は外部的、内部的(自分自身)に支配され、自由を奪われているのだ、ということに気づき自覚すること。そこから自由が生まれるということらしい。
なんとなく良かれと思って習慣になっていることも疑ってみたい。

0
2016年01月10日

Posted by ブクログ

~は嫌い。とか、好きだからこその支配。拘り。
考えること、発することの『自由』。受け入れること。
自分がどのように変われるか楽しみ。

0
2015年06月19日

Posted by ブクログ

〇なにごとも「自覚」が一番大切なことであり、これがすべての改革のスタートになる。(43p)

〇自分で決めたノルマに支配されることが、より大きな自由のためには不可欠となる。(174p)

〇守ることよりも攻めることが自由なのである。(181p)

★私も大体同じことを考えてきたので、目新しさはなかった。もしかしたら、過去に森先生の文章を読んで自分の考えと思い込んだのかもしれない。

★他人から見たら支配されているようでも、自分がそれを選ぶのなら、とやかく言われる筋合いはない。自由である。しかし、もし他の選択肢に気づいていないだけだとしたら話は別である。だから、自覚が大事だ。今の自分の選択が、本当に自分が望むことなのか、考えることが大事である。

★自在になるためには、日々の鍛錬が必要で、それには少々の不自由が伴う。少しの不自由の積み重ねと引き換えに、大きな自由を得る、ということか。

0
2025年06月07日

Posted by ブクログ

面白かった。
自由にいきたいなーと思って買って読んだ。真新しい発見はなかったが、自由を自分の中で再度定義できたような気がした

挑戦とか、楽しいとかいうワードが出てきたのがよかった。

とくに文中の表現で印象に残ったのは
座右の銘が「なにものにも拘らない」で、なにも拘らないようにはどうしたら良いかという質問に「なにものにも拘らないようにすると、なにものにもこだわらないという方針にこだわっていることになります。だから、なにものにも拘らないためには、ときどになにかに少しこだわる方が良いでしょう」と答えたところ。
示唆的な文章ではないが面白かった。

0
2023年08月15日

Posted by ブクログ

文章自体はとても分かりやすいし長くもないのだけど(1時間程で読める)、本書に一貫するメッセージは何か、というのを咀嚼しきれていない。もう少し時間がかかる気がする。

第1,2章で書かれていた『大多数の人は他者から与えられた課題という支配を好むものだ』という要旨のことはよく理解できる。
子どもの頃、夏休みの宿題で計算ドリルは得意だったけど読書感想文や自由研究は苦手だった。自分で研究課題や課題図書を決めるよりは与えられた問題を解く方が楽だったからだ。今では違う。大人になって、より自由な人間になれたということなんだろう。

最終章である第5章「やっかいなのは自分による支配」は分かりやすかった。ここに作者のメッセージが一番込められてると思うし、この章だけでもこの本を読んだ意味がある気がした。

0
2020年08月02日

Posted by ブクログ

工学者かつ作家の森博嗣氏の「自由」についてのエッセイです。人間は長い間、生きていると次第に世間の考えに染まってしまって自分のやりたいことや自由から遠のいていしまうことを指摘しています。要約すると自分にとってワクワクすることを追究する姿勢が「自由」であるとしています。平易で読みやすい本です。

0
2018年09月09日

Posted by ブクログ

最終章の内なる支配という、考えてみれば何度も認識しているはずの概念が、再認識というよりも実感として入ってきた。「好きなものにこそ支配されえる」なるほど。確かに。学生向けのようだが、リタイア近い壮年層、つまり俺だが、にこそ刺さる内容であるように思う。

0
2017年11月11日

Posted by ブクログ

自由を束縛していたのは、乗り越えられないと信じていた困難、あると思い込んでいた限界。やってもみないうちから、それはできないと決めつけていたのではないのか。なんであれ、楽しく過ごすことが大切。回避できない作業を楽しいことだと認識する。そう思うことにより自由になれる。嫌なものだと思い込まないで、ちょっと考え直す。少しくらい良いところがあるのでは、と考えてみる。どう考えようが個人の自由。愚痴ばかり零していても解決にはならない。毎日少しずつでも良いから前進をする作戦が最も有効。自由な想像で一日一日を乗り越えたい。

0
2017年05月06日

Posted by ブクログ

自由を享受していると一般には思われている現代人。しかし、見えやすいもの見えにくいもの差はあれど、様々な支配がまだ続いていると筆者は指摘している。

支配に気づき、支配から逃れ、自在に生きることの大切さを説いた本。

0
2016年03月23日

Posted by ブクログ

「こう考えても良いんだ」という感想は、昔同著者の作品を読んだ時に思ったこと。それは僅かだったかもしれないが、あのときは確実に何かが自由になったなと思い出したしだい。

0
2015年03月17日

Posted by ブクログ

常識や世間の目、さらにはそれらを意識する自分の心の中の拘りが人間の自由や可能性を制限する。支配する方にとって一律化した方が楽なのは明らかだが、「支配されると楽」=悩まなくていい、責任を負わなくていい、という視点は新鮮。

0
2015年02月13日

Posted by ブクログ

着眼点がものすごく面白い。
「自由とは何か」ということについて根本的なところから考えた本で、とても論理的に当たり前のことを言っている本ではあるのだけれど、当たり前なことすぎて、普段なかなか考えもしないような部分をじっくりと検証していて、思いがけない気づきを与えられたところが多くあった。

著者の森博嗣氏自身、国立大学で研究をしながら、40歳を過ぎてから作家デビューしている人なので、ちょっと変わった経歴の持ち主ではある。その、どのようにして作家になろうと思ったかという経緯についても、自由を作り出すこととの関連で語られていて、興味深い。
世間の常識にとらわれずに自分の頭で考えるという思考が文章ににじみ出ていて、その、徹底的に基本に立ち返って、「どうすれば見えない支配に気づいて、自由をつくれるか」ということを真摯に考えていることが伝わってくる。

「自由」という一つの抽象的なテーマについて、これだけ徹底的に突き詰めることが出来るというだけでもスゴいことだと思う。その、みずからの意志で生活をより善くしていこうとする姿勢に、とても勇気づけられることも多い。
だいぶオリジナルな価値観も多く含まれているので、読み手によって合う合わないはあるだろうけれど、その論理的な語り方には、世間の固定観念を崩すだけの説得力が十分にあると思った。

テクノロジィの話をすると、きまって一部に眉をひそめる人たちがいる。科学は発展しすぎた、もっと自然に還らなければならない、都会を離れ、田舎に戻ってみんなで農業をしよう、自然の恵みによってこそ人間は生きられるのだ、というような主張である。
僕も、これを否定するものではない。そういう生き方は、個人的には認められるべきだ。ただ、社会全体がそちらの方向に進むことはありえないだろう。
そもそも農業というものが既に自然の営みではない。極めて人工的な行為だ。田畑で穫れる作物とは、ようするに「養殖」された植物である。自然とはほど遠い人工的な環境によって大量生産され、また品種改良された製品なのだ。
これを成し遂げたのは科学である。農業はテクノロジィの上に成り立っている代表的な行為だ。「人工」や「工業技術」を捨てて過去へ戻ることはできないし、まして現在の人口を支えることはまったく不可能なのだ。(p.45)

「支配」は形を変えて、より巧妙になって、大勢の「自由」を少しずつ奪っている。ただし、昔と比べれば、力で強制されるようなことは、少なくともなくなった。自分で見極め、判断をして、自分の自由を守ろうとすれば、ある程度は防ぐことができる。重要なことは、それが「支配」であると気づくことであり、その自覚があれば、その次には、どうすれば自分の自由をもっと広げることができるか、と自然に考えられるようになるだろう。(p.82)

抽象すれば、自分にとって合理的な理由で判断をすること。周囲の評価、定説、噂、世間体、そして常識、といったもので選ぶな、ということ。
非合理な常識よりも、非常識な合理を採る。それが自由への道である。(p.126)

世の中には無数の可能性があるわけだから、全部を自分で試すことはできない。だから、自分に入ってくる情報によってさっさとレッテルを貼って整理しないと落ち着かない。そうやって仕分けをして、安全な環境を構築するわけである。鳥が樹の上に作る巣みたいに、これはOKだろうというものを集めてきて、それらで周りを囲い、人はその中で生きていこうとする。情報が多すぎるから、とりあえず「嫌いそうなもの」には無関心になるしかないのである。
このように、「決めつける」「思い込む」というのは、情報の整理であり、思考や記憶の容量を節約する意味からいえば合理的な手段かもしれない。
しかし逆にいえば、頭脳の処理能力が低いから、そういった単純化が必要となるのである。動物がこの傾向を示す理由は、人間よりも脳の処理能力が低いためで、これはしかたがない。でも、人間だったら、もう少し柔軟になれるはずだと思う。決めつけず、柔軟に対応する方が明らかに得なのだ。(p.135)

反対の支配について書こう。これは、自分が「好きだ」と思い込んでいるものによる支配である。「嫌い」による支配よりも、一般にさらに見えにくい。ほとんどの人は気づいていない。(p.145)

このまえの作品はどうだったとか、原作を知らない人が観たらどうおもうとか、そんなことは作品の評価とは無関係であろう。自分が今、この作品からどう感じるかが、本来の価値である。「原作と違う」的なことを言う人は、森博嗣の作品がもの凄く好きなのだろう。しかし、好き故に、明らかに自分の視野を狭くしている。感性が鈍った老いた状態だと思う。真っ白な心で感じる素直な感性は、努力をしなければ維持できない。(p.155)

支配というのは、一旦それに気づけば、案外簡単に排除することができる。肉体的なこと、常識的なこと、平均的なことに、人は無意識のうちに染まっていく。そういうものに染まると、どんどん灰色になって背景に溶け込んでいくだろう。目立たなくなるから、敵に襲われる心配はないかもしれない。しかし、生きていることは、そもそも「目立つ」ことなのである。安定しているといえば、死んだ人間が最も安定している。生きていること自体が不安定であり、その不安定さこそ、生きている証といっても良い。そして、「自由」も「生きる」とほとんど同じくらい不安定である。せめて生きているうちは、自由でありたいものだ。(p.186)

0
2020年07月15日

「ビジネス・経済」ランキング