あらすじ
アメリカ・ペンシルベニア州で、夫婦の冷凍死体が発見された。5歳の息子は行方不明のまま、事件は迷宮入りする。一方、日本では、異常な兆候を示す少女がいた。数年後、恋人を亡くし、重度障害児施設に赴任した女医・志度涼子は、保護室に閉じ込められた少女に出会う。そして、運命の歯車は容赦なく回り始めた。人類という種が背負った哀しい宿命を、壮大なスケールで描いたヒューマン・ミステリ。第20回横溝正史賞正賞受賞作。
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Posted by ブクログ
私はもともとあまりミステリーは読まないほう。読んだのっていえば
中学時代に読んだ辻真先と山浦弘靖(ミステリーというより少女小説に近いか?)、江戸川乱歩もミステリーに入れていいですよね。。。。ぐらいでした。それら以外でミステリーを読もうと思ったのが、この本。
きっかけは・・・本書の筆者は私が以前勤めていた精神病院のDrなのである。病院主催のフリマでちゃっかり購入し、サインまで頂いてきちゃいました(ちょっと気恥ずかしかったが)。この本、まだ実家にあります。
あらためて思いましたが、ミステリーってこんなに面白いなんて!というのが率直な感想。映像化してほしい作品のひとつなのですが二時間ドラマにされたらイヤだなぁ。。
最初の読みすすめはいつもの私からは信じられないぐらい遅かった(作中に出てくる用語が結構難しいので)のだが、途中からはやめられなくなりました。ミステリー好きには身に覚えのある体験ですな(^^)
ベトナム難民船から救出された妊婦、冷凍庫で凍死していた老夫婦、異常なまでに優れた知能をもつ幼女とその親、医師国家試験を控えた女とアメリカの研究所行きが決まった男のカップル...これらのエピソードがストーリーを読みすすめていくに従ってだんだんとひとつにまとまっていくところが、ジグソーパズルをはめていく感覚ですっきりした読後感だった。まるで映画を見ているかのようなストーリー展開で。映画の構成では「トラフィック」 のような感じかな。
ただ、特に前半は断片的なエピソードがボツボツとあるので、何回もページを戻ったりして確認しながら読みすすめないと内容がわからなくなるのがツライけれど...(^^;)最初のほうは付箋片手にエピソードごとにチェックを入れておくと読みやすいかも??
Posted by ブクログ
最後に意外などんでん返しが待っていて、なかなか面白かった。こういう展開は私の好みに合っているらしい。
命というものが関わってくる点でちょっと重めの内容ではあったけど、進化という面での話としては興味深かった。
Posted by ブクログ
すっごいスケールの大きな小説なので外人が書いたみたいになってます。
のめりこんで気づくと「そうだ、日本人が書いたんだよな~」って思い出すほど。
最初は、シーンの展開が早く、いつの間にかに年月が経ってたりして、「あれ?」と思うとこがあったんだけど、それを乗り越えれば、ぐいぐい読めてしまいます~。
精神病患者とその染色体に関する背景は、まさに精神科医兼医学博士兼作家のなす技で、こんなわたしにもよくわかりました~。説明して箇所は何箇所かあるけど、その説明もしつこすぎず、簡潔にわかりやすく書かれてたので読んでて苦にならなかったし、小説としてもミステリとしてもおもしろく、最後は「あーっ!」と言わせてくれたわ。
犯人はもう前半で分かってるのに、このゾクゾク感たまらないです。
長編なのに一気に読める面白さ。お奨め。