あらすじ
「これからの千年を人類はどう生きるべきか?」
千年の射程で人類のビジョンを示す、日本を代表する社会学者による奇蹟の対談集。
二千年紀の最初の一〇年の経験は、現代の国際関係と科学技術と経済システムだけでなく、これらを通底する社会の原理と思想の前提とを問い返すことをとおして、新しく人間と社会の存在の<見晴らし>を切り開くという、射程の大きい共同の作業の開始をわれわれに要請している。――見田宗介(まえがきより)
ほんとうに尊敬できる先生との出会いは、誰でも訪れる幸運ではない。いや、それは、実に稀なことである。私の場合、それは、大学に入学して間もない、一八歳の春の出来事であった…。私にとって、先生との対談は、あの三五年前の先生との会話、紀伊國屋書店新宿本店の裏側にあった「らんざん」という喫茶店での先生との会話の継続である。――大澤真幸(あとがきより)
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「これからの千年を人類はどう生きるべきか?」
震災をはさんで『atプラス』でおこなわれた対談に加筆を加えて収録するとともに、90年代の重要な対談、そして大澤さんの原発事故に関する論考 を収録。ものごとを大きな射程でとらえるという前提に立ち、「人間とはどう生きるべきか、社会はどうあるべきか」について、真摯に語り合っていた だいています。
日本を代表する社会学者による師弟対談集。
Posted by ブクログ
これからの千年を人類はどう生きるべきか?千年の射程で人類のビジョンを示す、日本を代表する社会学者による奇蹟の対談集。
私の『社会と思想』に関わる思考の基礎は、見田さんとの出会い、見田さんの本から出来ていると思う。
そんな見田さんの対談集。全てを読み込むことは出来ていないけど、見田さんの思考の一部が、私の中に溶け込んでくる感覚が堪らなく好きだ。
『気流の鳴る音』、『現代社会の理論』、『社会学入門』…にして、何度も何度も読み返す中で、体に馴染んできたように思う。
この本も、何度か読み返しながら…『時間の比較社会学』、『自我の起源』も少しずつ読み進めたいとは、思っている…自分の思考の基礎を、積み上げていきたいと思う。
今回読んで、特に印象に残ったところは、
○虚構のシステムはリアリティの一点から破綻する。
○スモールワールド・セオリー…小さな交響的な共同体がたくさんできれば、全体の人間を覆うような大きな共同体を構築することができるのではないか⁈
○利己性と利他性が問われる地平そのものが、どんどん問い詰めていくと、そこが抜けていく。
○他者性を他者性として繰り込むという契機がどこかにないと、近代性の主体としての自我は存立しない。
○災害の破局は、革命の好機でもあるのだ。
○リスク社会のリスクの特徴…全体として危機に陥るほどの破局である…生起する確率が小さ過ぎて計算不能である。
○第三者の審級の許可が絶対の成功を保証してくれてから、踏み台したいという気持ちがあるから、物事は正しいだけではなかなか前進しない。
○第三者の審級による承認を待っていたら、決して、革命に匹敵するような決定的で本質的な選択はできない。
○未来の他者との連帯はいかにして可能か?その連帯を正当化するどのような理論が可能なのか?
これらの千年を生き抜くために必要な社会と思想の断片的ビジョンを手に入れた私は、自らの実践をもって、これらのビジョンをカタチあるものにしていきたいと思う。