あらすじ
パレスチナ紛争は、ユダヤ人国家の建国と占領に端を発し、中東地域と国際関係を不安定化する危険な要因だ。その歴史的背景に加え、超大国アメリカとイスラエルの結びつきによって特異な性格を持った紛争は、自爆テロと軍事侵攻の応酬で多大な犠牲を出し続け、今も混迷は続いている。両者の思惑がぶつかりあう中東和平交渉、それぞれの和平派と反和平派の苛烈な権力闘争を追い、紛争の実像に迫る。
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Posted by ブクログ
[進展と後退と]解決への歩み寄りが見られたかと思えば、次の瞬間にはテロや敵対行為により、更なる混乱がもたらされてしまうことが重なるイスラエルとパレスチナ間の中東和平構想。その歴史をたどるとともに、著者自身の目から見たこの紛争の本質を考察した一冊です。著者は、共同通信社入社後、エルサレムやロンドンなどで勤務をされた船津靖。
主に1990年代からの動きがまとめられていますので、「イスラエルとパレスチナ間の問題ってなんだろう?」と疑問に思った方が手に取るのに適した作品だと思います。現地で取材された著者ならではの情報も盛り込まれており、中東和平問題について遠目から引いて見た画と近くに寄って見た画が共に入手できるのではないかと思います。
また、中立・公正という姿勢を取ることが問題の性質上非常に難しいイスラエル・パレスチナ問題を扱うにあたり、その中立・公正を原則としている1人の報道人が、その原則から(おそらくは無意識的に)「離れて」記述している箇所が散見されるところも本書の(なんともうがってはいますが)読み応えのあるところかと。その「離れた」場所にこそ、この問題の難しさが宿っているように思います。
〜紛争の行為を左右する大組織を動かす最高幹部の多くは、野心や闘争本能が人並み外れて強い。……重要なのは、行為が合法的であることや、カントの普遍的な道徳規準に合致することではない。大切なのは「いま、ここ」で勝者となることである。〜
類書は多いですが☆5つ
Posted by ブクログ
ラビン首相の暗殺を序章に、イスラエル建国前後から現在に至るまでのパレスチナ問題の経緯を、自身の経験を織り交ぜながら解説。だから単なる事実の羅列ではなくて、実際にどんな人が何を思っていたのかってのが伝わってくる。パレスチナ問題について知るのにとてもいいです、良書。
Posted by ブクログ
パレスチナにおける紛争について、
20世紀以降の話題を中心に概説する。
著者が現地にいたこともあり生きた言葉で書かれており、
時折挟まれる著者の体験や思いも興味深い。
>「一人死亡」「数人負傷」ぐらいでは割愛するほかない。
>だが(中略)短い文や数字の中に、
>自分が死ぬより辛いわが子の死や、
>守ろうとして守れない家族の泣き叫ぶ声が詰まっている。
当然、読んでいて胸がすく内容では決してない。
むしろ苛立ちがつのる内容ばかりだった。
しかし入門としては分かりやすく、入りやすい良書だと感じる。
Posted by ブクログ
近年(2000年以降)のパレスチナ問題を中心に書かれた本書。テロのことが厚く記述しており、テロ=悪のイメージを払拭させる内容で非常に参考になる。シャロン政権のところは必見。
Posted by ブクログ
船津靖『パレスチナ』
ニュースで目にする中東の映像は、あくまで「結果」の一部に過ぎません。
断片的な情報だけでは、この紛争の深淵は理解できない。
まずは、その全体像を俯瞰する視点を持つことから始めたい。イスラエル建国とパレスチナ自治区。そしてその歴史を作った欧米やアメリカ。
この悲劇の罪深さは、権力闘争の道具として、現場の人々の生活がチェスの駒のように翻弄され続けてきたことだ。
和平の道筋は幾度もあった。それなのに事態は改善せず、袋小路に追い込まれ続けている。
双方が被害者であるという事実と、他者の平穏を奪っていいという理屈は別物だ。
出版から15年。いまだ解決の糸口はない。無関係な人々を巻き込むテロも、軍事侵攻も、決して権力維持の手段であってはならない。ニュースの向こう側にある「一人一人の人生」を想像し続けること。若者たちの犠牲をこれ以上積み上げないために、遠い日本から私たちが持つべき誠実な視点かもしれない。