【感想・ネタバレ】エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディのレビュー

あらすじ

エコール・ド・パリ――第二次大戦前のパリで、悲劇的な生涯を送った画家たち。彼らの絵に心を奪われ続けた有名画商が、密室で殺された。死の謎を解く鍵は、被害者の遺した美術書の中に潜んでいる!? 芸術とミステリを融合させ知的興奮を呼び起こす、メフィスト賞受賞作家の芸術ミステリシリーズ第一作。(講談社文庫)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

各賞で大注目
本格ミステリ界期待の新鋭による
芸術探偵シリーズ第一弾!
呪われた画家たちの作品が、不可解な密室殺人事件を引き起こす――。

「エコール・ド・パリ」というのは定義することのできない、第二次世界大戦前にパリで活躍した「一人一派」の画家たちの総称を示す。
彼らの残した絵に魅せられた有名画商が密室で殺害された。
事件にあたるのは海埜刑事と、彼の甥・神泉寺瞬一郎。

めちゃ面白い傑作です。
それは「あとがき」でも触れられているように、作中作が美術評論として優れているだけにとどまらず、
事件の謎を解く重要な手掛かりにもなっていることや、
二重に塗りこまれた絵画の手法、また事件も二重の構造になっていることが、
それ自体も巧妙に書かれている「読者への挑戦状」などに見出せるものと思います。
そして何よりも本書のテーマが「人間を単純に善と悪に割り切ることはできない」という本質を持っているからではないでしょうか。

ミステリ:☆☆☆☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆

0
2012年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メフィスト賞受賞作家のシリーズ作、芸術探偵シリーズの
第一弾作品。1920年代、フランスのパリで悲劇的な生涯を
送った画家達...エコール・ド・パリを主軸にしながら、その
画家達の生き様と作品を、単純に知的好奇心を満足させる
作品としての側面と、その作中作とも言える、「呪われた
芸儒家たち」の章を伏線にしつつ、ミステリとしての好奇心を
満たす本格推理小説という、別の側面も待つ、実験的で
アクロバチックな作品。

その割には、案外、どちらの読み物としても
読み易く、しかも面白いというのは、なかなかの
力作ではないでしょうか? 基本的に全く興味の無い
絵画...しかも、どちらかというと超マイナーな画家たちの
作品や生涯にも充分面白く、興味深く読めます。

今作ではさほどメインとなって事件を解決するような
活躍を見せなかった探偵役の「瞬一郎」にやや肩透かしを
食った感があるのと、メインとなる画商の殺人事件が
繋がった形で露になる他の事件との関連が、どうもイマイチ
不自然に見えてしまった...というミステリ面での満足度が
個人的には...あと一歩っス。贅沢かしら?

0
2011年05月28日

「小説」ランキング