あらすじ
哀しく、それでいて熱い旋律。沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。麗子は沢村が世話になっているヤクザ者・山城の溺愛する妹だった。麗子は美女の自殺志願者だった。そして、麗子は悪魔だった――。沢村はたった一度の麗子との快楽の代償として、ギタリストの命である指を失った。そればかりか巨大な野獣にいたぶられ、人間としての尊厳をも失った。すべては麗子の罠だった。沢村を指の動かない天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトにするための……。男女の、兄妹の、粘り付くような濃い愛憎を、物語を通して描き切った花村文学の真骨頂!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「エロス」と「バイオレンス」と言うところでしょうか。
ほかに花村萬月作品を読んだのが1つしかないのですが、それも同様に「エロス」と「バイオレンス」でした。
出てくる人物にまともな人がほとんどいないっていうのも面白いです。
ヤクザや芸能プロダクションのボス、近親相姦しているその妹、巨人症のオカマ、指を失ったギタリスト、ボスを篭絡しようとしてその妹にぼろぼろにされたシンガーソングライターと、比較的一般的なマネージャーの男っていうのが登場人物です。
脇でチンピラとか出てきますが、そもそも名前も出てこないのでモブです。
読み始めたところで主人公は沢村(ギタリスト)なのかなと思ったけど、芦原(マネージャー)が主人公なんでしょうねぇ。
群像劇みたいな感じなのかもしれないけど。
まともな人間が出てこないので、各キャラクターの思考や行動原理にいろいろ問題ありすぎてすごく面白いです。
あと、読んでいるうちにすごく興奮というか、テンションがあがります。
「エロス」成分で興奮するのではなく、なんかよくわからないけど、すごく興奮します。
面白くて、一気に読んでしまいました。
花村萬月作品はほんと面白い。