あらすじ
“異法人”が現代に出現した意味を我々は問い続けなければならない。世界がどんなに進歩し豊かになろうと「死刑」は存続している。ゆえにその刑罰は人が幸福になるために必要なのだと王は断言する。だが、王の裁きに「救い」を見出すことができない少年は、己の信じる正義を貫くため再び聖塔へ。“異法人”の赤い正義と少年の青い正義、今、人類が必要とする法はどちらなのか。
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Posted by ブクログ
完結した、この巻で
何度も読んでみた
時間、流す音楽、精神状況が違う時に
その都度、肯定または否定を示したい台詞、心を打ってくるシーン、同じじゃなかった
けれど、このレビューを書く事を決めた今でも、この作品の内容、もしくは誰が、正しいのか、それとも、間違っているのか、決められていない
多分、これからも、結論は出ないだろう
知らない誰かを殺した事も、知っている誰かを殺された事もない私には、きっと出せない
願わくば、ずっと悩み続けたい
一つ言えるのは、この作品の隅々まで、己が思っている事、考えてきた事、伝えたい事を詰め込み切った山本先生を、私は漫画家としても、人間としても尊敬する
読みきり、拙くも、こうやって感想を書いた者としては年代の違う多くの人に手に取って欲しいが、やはり、最も読んでほしいのは、アオナと同じ年の子だ
これを読んで、世間一般的に正しいか、歪んでいるか、そこは脇に置いても構わないから、自分だけの論を持って、友達や先生、親とぶつけあって欲しい
全巻通して、面白い、でなく、自分と会話をしたくなる、この『異法人』は私は己の中の殿堂入りにする
Posted by ブクログ
設定は至極SF的だが、底辺に流れるテーマは現在も毎日のように誰にでも問いかけられている「何故人を殺してはいけないのか」「人を殺した者は死刑が妥当な刑罰なのでは?」だ。
律の「意志をもって相手を許そうとすることは‟無抵抗”じゃない!」「どんなことがあっても人を殺すという選択をしないことが 僕の戦いだ!」…律が辿り着いた答え、それは何があろうと誰もが人を殺さないという法。
単純に思えるが、誰もが「他者を殺さない」を遵守すれば、死刑制度も復習も必要が無いのだ。机上の空論かもしれないが、考える事を放棄すれば人は簡単に殺す方にも殺される方にもなってしまう、と言う事を考えさせられた。答えは出てない、が考える、考え続ける事の重要さに気づく。