あらすじ
「値段」から社会のしくみが見えてくる!生活の裏側を、経済学を通して見てみよう。
身近な生活で接するものやサービスの価格を、やさしい経済学で読み解く。
「取引コスト」という概念で学ぶ消費者のための経済学入門。
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Posted by ブクログ
タイトルは煽りすぎですが,中身は真っ当で,いわゆるミクロ経済学として扱われるトピック(の一部)について,様々な事象・事例を用いて門外漢にも分かりやすく解説されています。
すでに他のレビューに書かれている通り,本書の主軸となっているトピックは,モノやサービスの価格・料金体系がどのように決まり,それらがなぜ現在のような形・あり方になっているのかということです。「スタバではグランデを買え」は全9章のうちの1章での著者の主張に過ぎず,本書の内容全体を代表しているわけではないので「煽りすぎ」というわけです。
私が個人的に面白いと思ったのは上記の主要トピックがかかれている部分ではない,第7章でした。理由は,経済学的な概念が,現実に働くということにかんして,どのような意味を持ち、また我々がどのように行動していったらいいのかの指針を与えてくれているからです。
第7章は経済格差について論じられているのですが,格差是正のために我々ができることについて書かれていることが個人的には「なるほどな」と思わせるものでした。まず,経済学の概念である「比較優位」を持ち出し,自分の能力をきちんと把握すれば誰にでもいくらでも仕事はあるのだということを述べています。この比較優位に基づく分業の利益を基軸として、付加価値を生み出すこと,その付加価値の大小を理解して人材の適材適所を進めることが大切であるということです。(考えてみれば当たり前のことでなのですが。)
さらに,付加価値の大部分は取引コストによって生み出されている(という本書の主張)からすると,「モノ・サービス・人・情報について,探す・知らせる・分ける・結びつける・運ぶ等を行うことで,何らかの取引コストの節約をするような仕事が,実は大きな価値を持っている」(p.184)ということも納得できます。著者はこのような仕事に必要な4つの資質についても述べていて,それらはこれから社会に出て行こうとする若い人たちにも良い指針となると思います。(このあたりは筆者が大学教員であるというこが多分に影響していると思います。)
本書に対する感想・評価としてはいささか変則的になってしまいました。しかし第7章だけでも読む価値があると思います。
Posted by ブクログ
会計の本を手に取ったつもりだったけど、
読んでみたら経済の本だった。
世の中のモノ・サービスの価格は取引コストによって
決まるというのが主旨。
確かに、自分が手にするまでの経済活動を想像して
分解してみるという視点は面白い。
Posted by ブクログ
だいぶ前にベストセラーになった本である。経済学のサービス対価に関する知識が得られると思う。
今の経済は第三次産業が主流でサービスで利益を得ている会社がほどんどだ。一口にサービスと言っても、目に見える接客型のサービスから目には見えない仕組みでサービスをしているものまで、サービスに対する考え方とその対価について述べているのが本書である。
実は通読しておらず興味のある章のみ斜め読みした。サービス業を経験したことがあるため対価についての考え方や経済的観念については飛ばし読みした。
タイトルのスタバの件で言えば、サービスコストは大差ないから大きいサイズを頼んだ方が客も店側もwin-winであるということだが、これは純粋にコーヒー提供に関してのコストで見た限りでありtakeout客なら本書の理論で通じるかもしれないが、滞在客についてはこの理論は当てはまらない。
また、2杯目割安サービスの価格設定についても触れられていない。スタバ側が著者と同じ理論で価格設定しサービスしているならともかく、そう断言できる根拠もなくまたおそらく違うであろうことは推察される。
経済感覚がある人なら楽しめる本ではあるが、そうでない人が読んでもおそらく経済観念は身につかないと思う。