あらすじ
水柿君は、N大学工学部助教授のままミステリィ作家になった。なんとなく小説を書き始めたら、すぐに書き上がり、それをミステリィ好きの妻・須摩子さんに見せたが、評価は芳しくなかった。しかし出版社に送ってみたら、なんと本になって、その上、売れた! 時間があれば小説を書き続け、幾星霜、いまではすっかり小説家らしくなったが……。
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Posted by ブクログ
多分先に読むべき作品を飛ばしてこっちを読んでしまったのですが、とても楽しめました。
なりたくてなる小説家……というものじゃなく、
奥さんのために書いた結果小説家になった。
毎日2〜3時間書いてそれを積み重ねて結果すごい速さでたくさんの本を出した。
お金の使い道に困る。
などなど、夢のある話としてクリエーター小説家になるまでの経緯を書いたのではなく
当然の成り行きのように、劇的な出来事もなく、ただ職業小説家になった、という描写がとても心地よかったです。
森先生もこんな風なのかなと思いました。
Posted by ブクログ
水柿助教授シリーズ二作目。
今作は前作みたいにミステリィとは如何みたいなお話よりも水柿君が小説を書き始めて衝撃的(と本人はあまり思っていない)デビューをするまでの物語。須磨子さん相変わらずかわいい。
このシリーズはあれですね、Wikipediaとかで森博嗣という人物のバックグラウンドを頭に入れながら読むと面白いですね。
奥様との不毛な喧嘩もやりとりがリアルで笑ってしまいます。
女子学生やファンとの不倫を疑って嫉妬してしまう須磨子さんかわいい。かわいい。
Posted by ブクログ
水柿助教授シリーズの第2弾である。水柿君=作者 森博嗣 ととらえていいと思う。多分。普段の森博嗣はというか、この時期辺りの著作はGシリーズを書き始め、スカイ・クロラシリーズも手掛けており、無駄のない洗練された文章がウリになっていた。が、しかし本書は無駄が多い。ダジャレやこの前置きはどこまで続くんだ?というような叙述トリックもびっくりのグダグダっぷりにぶん投げたくなる購入者もいるかもしれない。
そういう意味で、評価を1つ下げている。が、作家 森博嗣がある意味のびのびと好きなことを書いているととらえれば、これほど自由に書いている作品もそうそうないだろう。奥さんへの惚気かわからないが、ミステリー作家になったのは(あくまでも主人公は水柿君なので森博嗣と同一視するのはどうかと言われそうだが、匂わせまくっているからもういいでしょう笑)奥さんを驚かせたい一心であったというのはなんとも心温まる話ではないか。
ただ、奥さんにはものすごく不評だった(西之園萌絵ちゃんと思しきヒロインのキャラがあまりにも立ちすぎてて腹が立ったらしい)のに、出版社に持ち込んだらデビュー。そして、今まで節約していた奥さんもだんだんと好きなものが買えるようになり、幸せな作家生活を送ることになった…というハッピーエンド。
勿論、現実はそうではないのだろうけども、小説だもの、いいじゃない。上記だけを見ると「小説家になろうかな~」とか思いがちですが、でも森氏のように才能がないとね…とは思います。
期日を守るのが当たり前と思っていた水柿君。しかし、小説の業界だとむしろ異端児だったというのはなかなかに驚いた。普通いついつまでに書いてくださいと言われたら納期は守るもんだが、本書の言葉を真実とするのであれば「いや、やはりちょっとうまく行きませんでしたわ~」で締切が延びるのは小説を書くというのもひとつの「芸」ゆえだからか? という事は…と色々と邪推したくなる気持ちをぐっとこらえたくなる。
とまぁ、脱線しまくりでそもそも何の話をしてたんだっけ?になりがちな本書だが、そういう出版の裏側や作家デビューのいきさつを「水柿君」という人物に仮託してしあげたシリーズ第2弾。とても面白く読ませてもらった。
Posted by ブクログ
水柿助教授シリーズ第二弾。
まるで、森先生自身のことについての面白エッセイのようだけれど、あくまでも”小説”である…らしい。
ミステリィ作家になり、お金が儲かるようになり…赤裸々に述べられていく生活。
「儲かっている」とちゃんと書いちゃうところが森先生らしい。
須磨子さんともなんだかんだで仲良しで、いつも楽しそうである。
きら~くにきら~くに読める森作品。
本格ミステリ、いつもの森ミステリを期待していると、肩透かしをくらいます。
ラスト、油断しきって読んでいたら、森作品にあるまじき(!)爽やかさで終わり、不覚にもぐっときてしまった。
ずるい。