あらすじ
半世紀を経ていまなお光を放つ、本多哲学の集大成! 設計図なくしては、いかに老練な建築家も立派な家を造ることができないと同様に、まず「人生計画」を樹てることなくして、完全な意義ある人生を築き上げることは難しい――偉大な先人・本多静六が後世に生きる私たちに贈った処世訓。幻の名著!
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Posted by ブクログ
70年前に、すでに、人生100年時代への言及があった驚き。
備忘録
四十までは勤倹貯蓄、生活安定の基礎を築き、六十までは専心究学、七十まではお礼奉公、七十からは山紫水明の温泉郷で晴耕雨読の楽居、かつ毎日一頁以上の文章執筆と、月給四分の一天引き貯金の二つの行。40歳で利息が本俸を超え、宿願――万巻の書を読み、万里の道を往く――を実行、海外旅行十九回、三百七十冊余の著書を発行した。60歳定年後は人並み以上の財産や名誉は子孫のために有害無益と喜捨し、再び働学併進の簡素生活に戻った。七十歳までの十年間、宗教・哲学・歴史・経済・法制等の新刊書を耽読し、相対性理論に啓発を受け学び直しに入った。
「若くして長上に交わり、年老いて若い人々に交われ」福沢諭吉
老人自戒7則
若者に先に話させ、アイデアを活かす支援をする。相手が聞きたがるまでくどくど教えない。
Posted by ブクログ
東大教授から蓄財の神様に。理想を実現した成功者が
送る豊かに暮らすための設計図。本多哲学の集大成。
(底本は1952年の刊)
本書は、次の3つの項目からなっている。
人生計画の立て方
人生計画の立て方・進め方
我等いかに生くべきか
自序のなかで、著者は「人生計画」を思いついたのは
第1回目のドイツ留学中の事としている。森林経営学
の考え方に「林業計画」というものがあり、年々の事
業を合理的に経営していくものであるが、人間の営み
にも計画性が必要ではないかと痛感したという。
そこでドイツ帰朝後に「人生計画」をたて、これを実
行にうつす一方、その後の体験と研究に基づき、しか
るべく体系づけようと考えつき著作したものが本書で
ある。
著者が25歳で立てた計画は
第1 満40歳までの15年間は勤倹貯蓄により一身
一家の独立安定の基礎を築くこと。
第2 満60歳までの20年間は職務(大学教授)を
通じてもっぱら学問のため、国家社会のために
働き抜くこと。
第3 満60歳以上の10年間は、国恩、世恩に報い
るため、一切の名利を超越し、勤行布施のお礼
奉公につとめること。
第4 幸い70歳以上に生き延びることができたら、
居を山紫水明の温泉郷に卜し、晴耕雨読の晩年
を楽しむこと。
第5 広く万巻の書を読み、遠く万里の道を往くこと。
というものであったという。
本書では、自身の体験に基づき、どの様に生きていく
べきかを解り易くアドバイスしている。ポイントとして
は、経済的な安定(本業に専念し倹約貯蓄に励むこと)、
健康的な生活(腹八分)を行う事。
次に学校教育と職業選択について論じている。
著者は、実業学校を廃した戦後の学制改革を改悪と評価
している。誰もがただ漫然と大学に行く事には反対とし
ており、出来るだけ速やかに、出来るだけ的確に、その
子弟に適した職業に進み得るよう実業過程を選定すべき
としている。これは「人間が15から20の数年間に習
い覚えた職業はほかのいかなる期間に身につけたものよ
り確かなものであって、この間に一所懸命修行を積めば、
生じっかな学校教育を受けるよりもはるかに職業上の優
位がかち得られる」という考え方によるものである。
今日の日本の状況をみるになかなか興味深い見方である。
職業選択。サラリーマンついて、誰でも一応のところま
では達し得られる職業としている。ただ漫然と過ごして
しまいやすい危険があり、人生計画が必要と説いている。
我等いかに生くべきかでは、後進への道の譲り方、遺産
相続の仕方などを論じている。これらは本来、自分で決
める事であり人に聞くべき術も無いことから、貴重な意
見であるといえる。
本書は、1952年の著作ながらいまだに古びていない。
前半部分は、若い人が早く読めば早く読むほど刺激とな
ろう。逆に後半部分は人生の後半戦を迎えた方におスス
メである。さてこれまで漫然と生きてきた中年の身とし
てはいかがしようか。著者に習い本業に精進する事が大
切かもしれない。