あらすじ
星の製造工場に勤めるカナタは、亡き恋人を想い残業中にもかかわらず酒に溺れて、涙を零した。すると、研究していた素材の中から少年が生まれ出る。星以外の製造物は破棄する決まりだった。だが人の形をした彼を破棄することはできず、アルレシャと名付けて育てることに。喪失感で苛まれていた日々に、そっと寄り添ってくる無垢な瞳にカナタは……。
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やっぱりイイなぁ
青井さん独自の世界観は緻密で美しく関係性はBLだと言い切るには曖昧な雰囲気があって人間愛のよーな印象。平素の私であれば物足りないっと感じる類いなんですが、作品の持つ異次元感とそこに住む人々の「温度のなさそうな優しさ」に呑まれちゃうとゆーか読了後は不思議な満足感があります。本作のは表題作とスピンオフに一つ短編入ってますがどれもユルりと淡い展開で絵の構成も文句なく美しく外国の絵本のよう、思いっきり青井さんの世界が堪能出来ますよ。
静謐で美しい
静謐なファンタジー作品。外国の美しい絵本を読んでいる気持ちになる。読後は静けさとノスタルジックな余韻に長く浸れる。
描き下ろしの短編、「窓辺にて」が穏やかで優しい時間が流れていて幸せを感じる。表題よりも短編の「真空庭園」が印象に残った。ケイ素を題材にした設定が面白い。BLでなくてもこの設定の細部をもっと知りたくなる。
モチーフとストーリーは作者の「爪先に光路図」の方が好み。しかし、こちらも穏やかで満ち足りたような気分になる。私も誰かを照らす温かな光でありたいと思った。
Posted by ブクログ
ファンタジーの中のファンタジー。
『巷にあふれている、いわゆるBL』を望むのならこれは肩透かしかもしれない。
でも美しくきれいな絵とストーリーは一読の価値があると思う。
私は大好き。
Posted by ブクログ
隅々まで堪能しました。控えめで繊細な作風だけど、いつまでも心に残ります。
タイトルがいいですよね。星を製造するなんて、夢だったりファンタジーだったりSFだったり…あらゆる想像ができてしまいます。
なのに、先端を行くというカッコよさじゃなくて、どことなくノスタルジック。
自然や宇宙をテーマにした作品に接すると、いつでもいずれかの思いを抱くことになりますが。
特によかったのは、人としての思いに優しさがあふれていたところです。
星を作る研究材料に、亡き恋人を思って零してしまった涙が混入してしまい、星の子が製造されてしまいます。
本来ならば星以外の製造物は廃棄するきまりなのですが、カナタは自分の作り出してしまった少年にアルレシャという名前を与えて育てることに。
やがてアルレシャは、亡き恋人を思って苦しむカナタの魂を救う存在へとなっていきます。
自然の摂理と相反するようなアルレシャですが、すべてが繋がってめぐりめぐっているのだと改めて考えさせられるストーリーです。
「埋み火」は同じ星製造所に勤めるキケとレオシュの話。
キケはカナタと同僚で、優秀な彼に密かに憧れと嫉妬を抱き、劣等感にも苛まれていました。そして、カナタの苦悩に気づく事が出来なかったことでさらに自信を失い仕事を辞めようと思いつめます。
そんなキケに、レオシュは励ましの言葉を伝えるのですが、キケが気付かなかった真実がそこにあったのです。
年の差愛。すてきでした。
描き下ろしの「窓辺にて」が、すごくよかった…!
アルを見つめるカナタの優しい視線が何ともいえません。キケとレオシュもいい関係だとわかるのがうれしいです。
「真空庭園」では、こういう話に弱いということを再認識。
互いに選択の余地がなく、依存しつつも与え合う関係。ツボです。
そして相手の幸せのためにその関係に悩み苦しみ、ある決断をしようとする透。
そしてそのことが透とはるかの間に誤解を招くことに。
こういう展開、弱いです。うるっときました。逆転ギャップ萌えもありの。
またまた、ノンブル脇のミニイラストにきゅんときました。かわいい。
Posted by ブクログ
長野まゆみ好きは好きだろう、という感想を見かけて購入。
はい。好きです。
このカップル萌えー、ではなく、作品の空気感と設定がまるっと好みで、恋愛とかは二の次って感じで好き。
星を作る科学者と、その作業中にうっかりで生まれてしまった男の子の話が表題作。
だが、巻末にあった、二酸化炭素を取り込んで光合成し、身体から植物が生える男性の話がすごくよかった。
Posted by ブクログ
初読み。とても丁寧な絵を描かれる人だ。星の種を作る研究所で働くカナタ、アル、キケ、レオシュの物語。「…ゆっくり低温で燃える やさしい光だ」と言う台詞がとてもいい。
『真空庭園』透の体から生える葉っぱをはるかが摂取し、はるかから吐き出される呼気で生きる透。循環する二人。こんな設定は正にファンタジーでしかないのだが、作者の絵の持つ静謐さがファンタジーを補うに余りある作品世界構築に絶妙にリンクしている。共依存関係に甘えず、はるかの為を思う透。とても短い物語なのに胸が詰まる。伊東七つ生さんの『ロマンスの箱庭』クラス。ファンタジーって、言ってしまえば所詮作り物でしかないわけだが、そこに情動を揺さぶられるものが含まれると感じてしまうのは、現実社会で人間の汚さに触れなければしょうがない大人の中にこびりついた「垢」を薄く削り取ってくれるからかもしれん。とにかく雰囲気が出来上がっていて、そんな人間がいる訳ないじゃない、と思う間もなく読み進んでた。ファンタジーは「没頭」させてくれないと現実と照らし合わせる作業を頭が勝手にし始めるんだよね。
Posted by ブクログ
青井さんの(当時)新刊を発売日に買ったにもかかわらず、何故か読めないでおりました。
忙しいのもあったんですが、何故かファンタジー設定のBLって苦手な事が多くて。
多分、設定がファンタジーだと人外とか平気でいるので、ゲイなんてなんでもないじゃない!人間なだけマシ!という事になってしまうからじゃないでしょうか、何となく。
それで読んでみましたが、普通に良かったです!
もう少し早く読めば良かった!
よくよく考えてみたら、青井さんの著作でゲイだからっていう葛藤はほぼなかったですね。それよりも個人が受け入れてもらえるかとかそっちの方向性でした。
星を作る工場の話でしたが、美しい画面で綴られる淡々とした物語に癒されました。
あらすじ読んだ感じだと長野まゆみが好きな方にはいいかなあと思いましたが、あそこまでこてこてじゃない上に少年趣味でもないので、ちょっと外れてしまうかも。
逆に長野まゆみは卒業してしまった私には、とても好みです。
でも、青井さんの著作は「爪先に〜」の方が好きかなあ。
どちらも素敵ですけれど。
Posted by ブクログ
青井秋さんの描かれる世界観大好き!ほんとおとぎ話みたいで素敵なお話でした。表題はもちろん、「真空庭園」すっごくいい!最後ウルッときた~;;その後の2人のお話読みたいな~。