あらすじ
英国人の心を常に惹きつけてきた、歴代国王や女王の肖像画。いつ、どんな思いを抱え描かれたのか――。史上最強の王室の輩出した誇り高き「役者たち」の素顔にオールカラーで迫る。
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Posted by ブクログ
ナポレオン戦争のときには、「戦争」はプロの軍人同士が遠い戦場で行うものと相場が決まっていた。しかし今や隣のおじさん、向こうのお兄さん、そして自らの父や夫や息子たちが、戦場で機関銃や毒ガスの餌食にされたていたのである。
著者は中野京子の『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』に触発されて書いたとのことだが、こちらは歴史寄りの視点から書かれており、私にとっては『名画で~』よりも興味を持った。びっくりしたのは、今でも王室の方々の肖像画が描かれているということ。しかも、エリザベス2世とチャールズ皇太子がやや元気のない姿で描かれている肖像画まである(これはダイアナ妃が亡くなった直後だったから)。写真ではないのだから、表情なんて好感が持てるように変えて描けばいいのに…リアリティあふれるところに、画家の腕が光る。まだご健在のエリザベス女王だが、「歴史」として過去の血縁から改めて振り返ると、連綿と続くイギリス王室に思わず鳥肌が立ってしまった。折からの不景気で今年のクリスマスパーティーもなくなってしまい、王室存続の危機がささやかれる中、一連のダイアナ事件で支持をなくしているチャールズの治世にどのような変化があるのか、今後も目が離せない。1日で読んでしまった。本当に面白い本だった。